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環境Q&A

気候変動下での木材利用、温暖化対策か、国内林業振興か 

登録日: 2006年05月18日 最終回答日:2006年05月31日 地球環境 地球温暖化

No.16560 2006-05-18 03:14:01 そこからのひかり

 京都議定書上、伐採木材は即排出とカウントされる規定についてですが、木材のマテリアル利用促進、つまるところ国内林業活性化のためにはこの規定は見直されることがベターだと私は思うのですが、実際のところどうなのでしょうか。

 京都議定書のこの規定は木材のエネルギー利用の道を開く上では有効に作用しました。そこで問題となるのは今後のこととして、地球温暖化という追い風を受けて山間地域の活性化に期待が集まる中、木材利用がエネルギー利用としてであれ、マテリアル利用としてであれ、どのような制度設計をすればその期待にこたえるものになるのかということです。

 そこでなのですが、木材の適正(持続可能な)利用促進とそれにつながるであろう山間地域の活性化のためには、この京都議定書の規定は見直されるほうがベターなのでしょうか。見直されるとしたらどのように見直されるのが望ましいのでしょうか。


PS この問題私としてはどう頭を整理していいか、つまりどこに論点を持ってくればいいのか皆目わからずにいます。つまりエネルギー利用とマテリアル利用どちらに優先順位をつけるか。地域振興か温暖化防止かその木材利用の目的の優先度をどこに置くか。などの問題が絡み合うように思うからです。
 逆に、どのように目標を設定すれば、地域振興と温暖化防止の両者の目的が共通に達成されるか。その目標の達成に、京都議定書の規定(伐採即排出カウント)はそれほどの重みを持ってかかわるのか。このようなことが頭の中で混乱しています。
 特に最後の点について。国産材利用の現状からすれば、京都議定書の規定を見直し木材のマテリアル利用を温暖化防止の目的達成の手段の選択肢に入れることこそが、国内林業振興の近道だと考えて、私はこの京都議定書の規定改訂にこだわっています。国内林業振興のためにはほかに有効な政策オプションがあって、この私のこだわりは見当違いなのでしょうか。コメント願います。

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No.16570 【A-1】

Re:気候変動下での木材利用、温暖化対策か、国内林業振興か

2006-05-18 22:27:14 筑波山麓

「そこからのひかり」さんの質問を読んで、真面目ですね。真剣に考えておられると感心しました。

私は、たとえ、ロシアが入って批准された今日でも、最大の二酸化炭素排出国のアメリカが京都議定書を認めないことが、最大の問題だと思っておりました。そのために、アメリカが入ってこれるように改訂(改悪)もやむをえないか。それとも、アメリカの世論が変わって(今でも、議定書に入らないことを批判しているアメリカ世論がありますが)、アメリカが仲間に入ってくれないかと、そればかりを考えておりました。

したがって、「そこからのひかり」さんが言われるような京都議定書の見直しなんて、考えもしていませんでした。それで、以下のように考えをまとめてみました。

私は、まだまだ勉強不足ですが、要するに、排出カウントされた伐採木材の相当量を、植林により取り戻せば良いのではないでしょうか。排出権取引をビジネスとして利益をあげる人たちがいるように、例外を認めると、それを抜け道として、利益に結びつけるグループが現れるように思います。このような国際取引は、例外を一つ作れば、各国なりの例外、各国なりの正当な理由が出てきて、なかなか、公平な運用が難しくなるように思えますが、どうでしょうか。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
返事が遅れて失礼しました。
私が質問した内容、つまりはCOPやCOP/MOPの中では、伐採木材製品の取り扱いという形で議論が進んでいるようです。
 具体的には、4つの計算方式が提起されて、そのどれを選択するかというところに議論の焦点が集まっています。もっと具体的には、SABSTA25で議論されるとのことです。
 この計算式自体は、1999年ごろから提起されているものですが、それぞれの式が持つ意味合いやどういう関係者がどの計算方式を指示しているかは私自身まだ整理していません。今最もその解説が求められているので私自身もう少し勉強してみようと思います。

参考ページは
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=8102&hou_id=7161
http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/kokusai/lilleWS/lilleWS.html
http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/kokusai/kosai6/seeps2002hajimoto_gaiyou.pdf

No.16586 【A-2】

Re:気候変動下での木材利用、温暖化対策か、国内林業振興か

2006-05-19 11:11:19 東京都 / ちしゃ

日本だけを考えれば、伐採を促すような規定でも
環境政策としてマイナスにならないかもしれませんが、
違法・過剰な伐採が世界的な問題となっている状況で
「京都議定書」のような国際的な規定が
伐採を促進するような手法はとれないと思います。

また、議定書策定時の議論では、
森林を瞬間的なCO2吸収能だけでみる危険性も
認識されていました。

瞬間的なCO2吸収源という機能だけでみると、
古い森林をどんどん伐採して、
ユーカリなど成長が早い単一樹木を植えた方が効率がいいのですが、
生物多様性という観点からは
このような行為は生態系破壊以外のなにものでもありませんし、
地域の水源涵養などの他の機能も考える必要があります。

参考情報

http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=14355
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=8414
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=7506
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=5899
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=251

京都議定書における吸収源: ボン合意とその政策的含意
国立環境研究所地球環境研究センター 山形・石井(2001)
http://www-cger.nies.go.jp/publication/D029/D029.pdf
議定書策定時の論点がわかります。

林野庁 地球温暖化防止に向けて
http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ondanka/top.html
京都議定書での森林吸収の考え方
http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ondanka/b-2.html
(京都議定書では、森林による二酸化炭素吸収促進手法として
「新規植林」、「再植林」、「森林経営」という3つを示しており、
 現行でもこういった規定を通じて、森林の循環的利用確立に配慮していると
 思います)

No.16732 【A-3】

Re:気候変動下での木材利用、温暖化対策か、国内林業振興か

2006-05-31 11:19:31 東京都 / ちしゃ

SBSTAで現行のルールを超えた木材製品の議論が本格化してきたようですね。

http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=13272&oversea=0


参考
CDM吸収源事業説明会(COP11等報告会)財団法人 国際緑化推進センター
http://www.jifpro.or.jp/5promotion/disclosure/houkokukai_kiroku_COP11.pdf

回答に対するお礼・補足

この情報は確認しました。ありがとうござ慰安す。私の情報源は、環境省プレスリリース添付資料
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=8102&hou_id=7161

議論の状況、どういう主張を誰がしているのかという詳しい情報がわかれば引き続きお教え願います。

No.16742 【A-4】

Re:気候変動下での木材利用、温暖化対策か、国内林業振興か

2006-05-31 21:19:02 東京都 / ちしゃ

英文ですが、会議の議論の詳細はIISDのEarth Negotiations Bulletin が一番早く詳しいと思います。
議論の動向を知りたい場合の基本情報です。
http://www.iisd.ca/process/climate_atm.htm

公表は数日ずれますが、地球産業文化研究所の和訳もあったはず。

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