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環境Q&A

光化学オキシダント=オゾン? 

登録日: 2006年12月19日 最終回答日:2006年12月25日 大気環境 大気汚染

No.19909 2006-12-19 09:56:56 万田力

 今日、少し前の雑誌を読んでいておかしい記述を見かけました。
 N経エコロジーの記事で、

> 地表付近のオゾンは、人間が放出したNOxと炭化水素が大気中を浮遊しながら光化学反応して生成される。

と言うものです。
 私の乏しい知識からすると、『オゾン』のところは『光化学オキシダント』であるべきなのです。
 引用しているのは国立環境研究所の論文とのことなので国立環境研究所のホームページを探したところ、それらしいものを見つけました。
 それによると、
> 首都圏で放出された大気汚染物質が輸送の途中で光化学反応を受けて種々のオキシダントや酸性物質となり(…中略…)。光化学オゾンが森林地域に到達すると………

と、どうも『オゾン』と『光化学オキシダント』とを混同しているような記述がなされており、最近は『光化学オキシダント』=『オゾン』なのかと思っていると、

> 日本に流入してくるオゾン濃度(以下、バックグラウンドオゾン、と呼ぶ)に及ぼす越境汚染の輸送メカニズムと寄与分を定量的に明らかにした。その結果、(…中略…)日本の環境基準である60ppbを既に越えていること、(…中略…)が分かった。

とありました。
 ご承知のように、環境基準は光化学オキシダントを0.06ppm(=60ppb)と定めていますが、オゾンの環境基準は定めていません。
 国立環境研究所のホームページから見つけたものですので、いい加減な物では無いと思うのですが、どうもすっきりしません。
 私の理解が間違っているのか、それとも法律の解釈(光化学オキシダントの定義)が変わってきたのか?この辺りの事情をご存じの方がおられましたならご教示お願いします。

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No.19921 【A-1】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-20 18:27:16 火鼠

>知らない人間が、発言するのは、失礼ですが勘弁してください。どうも、オキシダントと、オゾンと、炭酸ガス、炭化水素、フロンは、ころころその時の用途において適当に学説が使われているように感じられてしょうがない。炭酸ガスの温室化現象は、もう30年前のサイエンスに載っていた。NOxの問題も、20年前にはあった。なにか。論点のすり替えをしたいがための、コメントなのかと疑いたくなりますね。

回答に対するお礼・補足

> 論点のすり替えをしたいがための、コメントなのかと疑いたくなりますね。

 これは私に対しての言葉でしょうか?もしそのように受け取られたとしたら心外です。
 現時点(12月20日21時30分)における皆さんからのご回答で、現在では「光化学オキシダント」≒「オゾン」とされているらしいことが分かりました。
 リンクを張ってくださった資料等を読み込んでみようと思います。ありがとうございました。

No.19922 【A-2】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-20 19:24:39 一歩一歩の14000

門外漢ではありますが、ネット検索してみました。
複数のサイトで確認したところ、「光化学オキシダント≒オゾン」が最近の学説でしょうか?

http://www.k5.dion.ne.jp/~naokinz/HyEnv/050427/040421.htm

http://www.env.go.jp/earth/suishinhi/jpn/latest_newsrelease/h17/press_20051108.html

回答に対するお礼・補足

 現時点(12月20日21時30分)における皆さんからのご回答で、現在では「光化学オキシダント」≒「オゾン」とされているらしいことが分かりました。
 リンクを張ってくださった資料等を読み込んでみようと思います。ありがとうございました。

No.19924 【A-4】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-20 20:22:24 papa

回答するにはちょっと専門外ですが、昔は大気汚染の仕事にも少しかかわったことがあるので参考まで。
光化学オキシダントが問題になった頃には、国内にはヨウ化カリウム法の計測器しかなくて、大気中の酸化性物質を包括的に計量する手法として採用されていたと教えていただいたことがあります。諸外国ではオゾンメーターがすでに使われていたと記憶しています。しかし光化学オキシダントの大部分はオゾンであることは当時から常識だったのですが、計測器の普及状況により機器更新期まで行政的にはそのままであったと思います。
光化学オキシダント=オゾンでよいのではないかと思います。
現在では行政的にもそのような扱いと思います。
http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=1000009

回答に対するお礼・補足

 現時点(12月20日21時30分)における皆さんからのご回答で、現在では「光化学オキシダント」≒「オゾン」とされているらしいことが分かりました。
 リンクを張ってくださった資料等を読み込んでみようと思います。ありがとうございました。

No.19930 【A-5】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-20 22:39:09 東京都 / こん

「光化学オキシダント」≒「オゾン」というのは少し抵抗を感じます。
上述の資料をみて、「通常の気象条件においては」もしくは「その測定方法によれば」、光化学オキシダントは→大部分が「オゾン」ということのようですが、
逆に、オゾン→光化学オキシダント、ではオゾンをみくびることになりそうです。
また、確定した化学物質と抽象的な語句を同様に扱うと対策の誤りにつながるように思います。

回答に対するお礼・補足

 ご回答ありがとうございました。

> 確定した化学物質と抽象的な語句を同様に扱うと対策の誤りにつながるように思います。

 実は、私が疑問(抵抗)を感じているのはこのことなのです。
 行政が、運用上そのように取り扱うというのはまだしも、独立行政法人とは言え、このサイトを運営している「国立環境研究所」の研究者が公表している論文でこのような使い方をされているので、皆さんにお尋ねしたしだいです。
 自分なりに、背景や用法についてもう少し調べてみたいと思います。

No.19948 【A-6】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-21 14:28:43 今回は匿名

 何年か前に大都会の中心より西側の住宅地に・・・処理施設がありまして(今でもあります)周辺で頭痛などの奇病が流行りました。
 そこではオゾン脱臭を使用していました。今では装置はありますが動かしていないようです。
 現在では奇病は治まっています。

 はっきりとした因果関係は誰にもわかりませんが・・・

No.19952 【A-7】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-21 17:45:57 火鼠

失礼しました。万田力さんに言ったつもりはありません。
万田力さんに賛同してます。すみません。言葉たらずで。

No.19961 【A-8】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-22 10:12:14 東京都 / 君山銀針

光化学オキシダントの環境基準を定めた環境庁告示は、光化学オキシダントを次のように定義しています。http://www.env.go.jp/kijun/taiki.html
 「光化学オキシダントとは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレート(PAN)その他の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を除く。)をいう。

つまりイコールではないとしていますが、平成8年の測定法追加で、オゾンの測定値=光化学オキシダントの値として差し支えないという扱いになったようです。


参考 酸性雨研究センターパンフレット「増えつづける対流圏オゾンの脅威」の「オゾン」と「光化学オキシダント」の項 http://www.adorc.gr.jp/adorcjp/doc/ozone.pdf

測定法追加に関する通達の内容
【大気中の二酸化硫黄等の測定方法の改正について】
公布日:平成8年10月25日 環大企346号 http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=1000009

 今回追加された光化学オキシダントに係る紫外線吸収法及び化学発光法の測定対象物質はいずれもオゾンであるが、次の(1)及び(2)に示した事実を踏まえれば、中性ヨウ化カリウムを用いる従来の測定方法による光化学オキシダントの測定値に対するオゾン以外の成分の寄与は極めて小さいと考えられ、1年間のフィールド試験によっても従来の測定方法による測定値と紫外線吸収法又は化学発光法による測定値はよく一致していることから、大気汚染の常時監視においては、紫外線吸収法又は化学発光法により得られたオゾンの測定値をもって光化学オキシダントの値として差し支えないこと。



No.19966 【A-9】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-22 13:47:09 畠山史郎

国立環境研究所の畠山史郎です。
日経エコロジーの記事でコメントしたり、論文が引用されていたりしたものです。君山銀針さんの丁寧な書き込みがありましたので、蛇足になりますがコメントさせて頂きます。

万田力さんのご指摘通り、環境基準で定められているのは光化学オキシダントです。これは単一の化合物ではなくオゾンやパーオキシアセチルナイトレート(いわゆるPAN)など中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離する、すなわち酸化力を持つ物質の総称です。光化学オキシダントの主成分はオゾンです。従来はオゾンの測定をまさしく中性ヨウ化カリウムを用いた測定法で行っており、またこの方法ではオゾンのみを測るということができないということもあって、光化学オキシダントが環境基準の対象になっていました。その後、オゾンのみを直接的かつ選択的に精度良く測定する方法が開発されました。現在では光化学オキシダントの公的な測定法にオゾンのみを選択的に測定する紫外線吸収法やエチレンを用いる化学発光法が加えられました。その意味で、本来は光化学オキシダント≒オゾンだったのが、現在では光化学オキシダント=オゾンと見なしたり、単に「オゾン」と記載したりする状況になってきています。また、従来の中性ヨウ化カリウム溶液を用いる方法ではPANを必ずしも100%捉えられていないなどの問題点があることもわかってきました。この様に光化学オキシダントという言葉の定義が曖昧となっている部分があります。しかし、環境基準が「光化学オキシダント」として定められていることや大気常時測定局で測定されている項目の正式名が「光化学オキシダント」であることから、大気汚染に係わる研究分野では「光化学オキシダント」の名称が今なお用いられていますし、光化学オキシダント≒オゾンの扱いが適当な場合もあります。我々の論文で「日本に流入してくるオゾン・・・日本の環境基準である60ppbを既に越えている・・・」とあるのは「日本のオキシダントの環境基準である60ppbを既に越えている・・・」と書くべきで、その意味では正確さを欠いた記述であり、お詫び申し上げます。
なお、地表付近のオゾンはNO2の光分解で生じるO原子と酸素分子の反応によって生成するものであり、「地表付近のオゾンは、人間が放出したNOxと炭化水素が大気中を浮遊しながら光化学反応して生成される。」という記述は間違いではありません。

回答に対するお礼・補足

 当事者ご本人のご返答ありがとうございました。
 背景その他、想像していたとおりのコメントで、(昨夜忘年会でこのレスを見るのが遅れたため、)言いたいことはA11でこんさんが全て言って下さいました。
 少なくとも「国立環境研究所」の看板を背負っての論文であるなら、こんさんがおっしゃられているとおり、語句の使い分けを厳重にしていただきたいと思います。
 ところで、常々疑問に思っていた専門用語のことについて、別項で質問をすべきことだとは思いますが、折角の機会ですので、国立環境研究所のスタッフである畠山さんにひとつお尋ねします。
 ナトリウムの塩化物は塩化ナトリウムであるように、塩化物とは塩素と化合している物質のことであるにも係わらず、塩素のイオンは「塩化物イオン」と言われています。
 私は「塩素イオン」と言うのが本当ではないかと思いますが、「塩素のイオン」をなぜ「塩化物イオン」と言うのか、ご存じでしたならご教示下さい。

No.19986 【A-10】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-23 00:10:02 東京都 / こん

 問題の経緯がすこしは理解できた気もしますが、心情として A-5 から変化はありません。素人のでる幕ではなさそうですが。
 学術的に検討し、対策(施策)を考える段階では「マスコミ的用語」から脱却し、真意を伝えうる用語に変えていくのがよいと思います。
 マスコミ的用語というと語弊があるかもしれませんが、「公害」「・・・シンドローム」(AIDSなど)、「環境ホルモン」なども同様です。問題を提起するにはよいと思いますが、問題の本質を見誤る可能性もあります。
 専門的に検討し、対策立案に結びつけようとするのであれば、できるだけ明確に、語句の使い分けをし、それを推進していってほしいと思います。

回答に対するお礼・補足

 畠山さんへのお礼でも述べておりますが、私の言いたいことを全て述べていただき、ありがとうございました。
 今後ともよろしくお願いします。

No.20019 【A-11】

Re:光化学オキシダント=オゾン?

2006-12-25 08:49:49 畠山史郎

畠山です。
私は化合物命名法の専門家ではありませんので、以下は大学の頃日本化学会から買った「化合物命名法」という冊子の記述です。この中に「イオンと基」という章があり、その中に「単原子陽イオンは元素名をそのまま用いる」「単原子陰イオンの名称は原則として元素名の語尾を変えて-ideとする。日本語では、―化物イオンと呼ぶ。」とあります。つまり塩素の陰イオンは塩化物イオンと呼ぶことに規則上決まっているということです。以下は私個人の考えですが、これはむしろ英語のchlorideが先にあって、日本語でもこの方式を踏襲したと言うことでしょう。つまりNaClがsodium chloride(日本の命名規則ではNaはソヂウムではなくナトリウムですが)であってsodium chlorineではないということです。この規則をちゃんと守らないといけないのが水素の場合で、水素にはH+もH-もあるので、H-イオンを水素化物イオン(hydride ion)と言わずに水素イオンと言ってしまうとH+のことになってしまいます。Cl-の場合、塩素イオンと呼んでも誰もCl+のこととは考えないとは思いますが、上記の規則に従っていると言うことでしょう。

回答に対するお礼・補足

 畠山様

 専門外とは言いながら、ご親切にご教示くださりありがとうございました。
 以前知り合いの分析屋に尋ねたところ、「自分もあんたと同じように感じているが、なぜかしらそう決められているので、成績書には塩化物イオンと書かざるを得ない。」との返事だったので、ずっともやもやしていました。
 おかげで、「塩化物イオン」という言い方には抵抗を感じますが、化合物命名法というルールブックに書かれていることがその根拠であること、そして、私のいう○○イオンにしてしまうと混乱がおこると言うことまで教えていただき、これまで疑問に思っていたことが解決しすっきりしました。(私も調べることをしない「教えて族」の一人であったかと反省しています。)
 最初に提起いたしました問題も解決いたしましたので、この辺りでこのスレッドは閉じさせていただきます。
 ありがとうございました。
                             万田力

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