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環境Q&A

ICP前処理に使用する酸の効果 

登録日: 2010年08月16日 最終回答日:2010年09月07日 環境一般 調査/研究

No.35374 2010-08-16 16:31:12 ZWld756 おち

前処理の回収率を調査した時に感じたことついて質問します。

有機物を含有する溶液試料に標準試料(金属不純物量が既知の試料)を添加し、どれだけ回収できるのか回収率を調査した時のことです。

@サンプリング
Aホットプレート上で試料を乾燥
Bガスバーナーにて1分燃焼(有機物の燃焼のため)
C硝酸1%溶液になるように調製し、ホットプレート上で加熱
D冷ましてから回収

※白金るつぼを使用

このような方法で定常的に前処理を行っているのですが、
BとCの間に硝酸+フッ酸を入れた調査を行ったところ一部の元素において倍程度の回収率の改善が見られました。
(Mg:50%→100%、Ca:50%→100%、Cu:5%→5%)

MgやCaに関してはこのような現象から、ガスバーナーにて燃焼した後の溶出手順は高濃度の酸を加えると良いことが分かりましたが、Cuについてはどこに消えたの??という状況です。

また、硝酸+フッ酸を加えた事で回収率が改善された機構も分かりません。
(試料にSi成分が入っている訳ではありません)

私の推測では
@ガスバーナーの温度(約1500℃)は白金の融点に近いことから白金るつぼ内にCuを選択的に取り込んだ。(Na,Mgはるつぼ表面に付着していた)
A燃焼の際にCuのみ白金るつぼ上から飛んでしまった。
Bアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属といったそれぞれの属性が影響している。

などなど、稚拙な考えが続出しておりますが未だに自分の中で解決しておりません。

同じ経験がある方、何かしら関連する参考文献をお持ちの方是非お教え下さい。


補足:測定時の干渉によってCuが低く検出された訳ではないことは検証済みです。

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No.35382 【A-1】

Re:ICP前処理に使用する酸の効果

2010-08-17 22:02:14 たそがれ (ZWla61d

「稚拙な考えが続出・・・」と表現されている割には理論体系に多少の自信があるように感じられます。

でもダメですよ。
ルツボ内は1500℃にはならないでしょうけどすべてこれがまかり通ったら開放系あるいは密閉系での湿式分解という手間は必要なくなります。
また、乾式灰化にしても温度管理が生命線なんです。(だから時間がかかります)

陰イオンとしてハロゲンがあるとCd Pb Cu等は低温で揮散しますがここまで温度管理がなされていないと固着等もあるかもしれません。
また、一般に高温で焼いた酸化物ほど酸で溶解しにくい、と言われています。その意味では「1%硝酸になるように加温」などは酸浸出といわれる程度のもので、濃い酸で分解すれば回収率が上がるのは一般的なことです。(硝酸ー塩酸等でも試してみましたか)

繰り返しになりますが乾式灰化を行うにあたって決定的によくないところは温度管理がなされていないところです。感覚的にいえば貴殿のケースは温度が高すぎるでしょう。
また、それらが完璧であっても元素、あるいは化学形態によっては完全に回収されないものもある、欠点のある方法だと言えます。

回答に対するお礼・補足

たそがれ様
ご連絡頂きありがとうございます。

>決定的によくないところは温度管理がなされていないところ
>感覚的にいえば貴殿のケースは温度が高すぎる

おっしゃる通りです。確かに私が行っている方法では温度管理ができていません。
また、温度が高すぎるとのご指摘もその通りだと感じました。

私も質問をさせて頂いたからには自分でも調査する努力はしないと失礼だと思い本件に関して調べておりましたら、重金属類は高温下で白金と合金を形成するとことが解ってきました。(Aの推測よりも@の可能性が高い)

そう考えると、私が実施しようとしている乾式灰化では温度管理が可能な電気炉などで今よりも低温+長時間で有機物を燃焼する方法がベストなのかなぁと感じました。

>高温で焼いた酸化物ほど酸で溶解しにくい
>陰イオンとしてハロゲンがあるとCd Pb Cu等は低温で揮散する

この情報は知りませんでした。有用な情報をありがとうございます。

ご回答ありがとうございます。勉強になりました。

No.35432 【A-2】

Re:ICP前処理に使用する酸の効果

2010-08-25 22:25:17 たそがれ (ZWla61d

他の方の回答も期待したのですが、複数の優秀な回答者がしばらく遠ざかっていることを残念に思います。
A-1の返信からひたむきな方だと感じましたが、まだまだおぼつかないところも多いように思いますのでもう一度回答します。

乾式灰化は電気炉が普通であり、温度は450℃〜600℃が検討範囲です。電気炉の温度目盛だって1200℃が上限のものが多く、それもアルカリ融解などで初めて900℃〜1000℃という設定になります。
したがって、「1500℃で白金ルツボと合金を形成」という考察は純化学としては素晴らしいのですが、それ以前の前提を知らないがゆえにたどり着いたものとも言えます。
失礼な話になるかもしれませんが上司、先輩といった組織の匂いが感じられないのです。また、やむを得ずその環境の中で頑張っておられるという気もします。
A-1に記したように乾式灰化はどんなに条件が良くても、出たとこ勝負のところがあり、これが排水のJIS等に採用されない大きな理由です。
しかし、目的、依頼者の要求レベルによっては全面的に否定されるものでもないと思います。
まさか、水銀や砒素に採用できるとは思っていないでしょうが、なるべく多くの元素に適用できるよう、私の経験に基づいてご説明します。

紙面の都合でA-3に続く


No.35434 【A-3】

Re:ICP前処理に使用する酸の効果

2010-08-25 23:13:34 たそがれ (ZWla61d

A-2 からの続き

まず灰化容器は、どこまで低い濃度まで保証するか(報告下限値)により濃縮率が違ってくるのではっきり言えませんが50mL〜100mLの石英ビーカーをお勧めします。(アルカリ金属の分析も可能になります。しかし当然、フッ化水素酸は使えません。)
ホットプレート乾固までは同じでよいでしょう。
灰化温度ですがNa Kくらいは食品でも多用されていることから550℃くらいでもよいと思われます。
他の元素ですが、水試料と固形試料の違いはあるものの、(独)農林水産消費安全技術センターのサイトにある「肥料等試験方法」が参考になります。5.3 カドミウムの前処理操作を確認してください。

http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub9.html

そこに載っているPb Cu Zn等も同じ方法です。
450℃で数時間灰化しても完全灰化になりませんがその後、王水を通して補う方法です。灰化により酸化されたクロムは酸では完全に溶解されないと言われていますが、それを可能にする唯一の絶妙な方法です。

多少の高温灰化を可能にする硫酸灰化等もありますが今後、勉強してください。また、ウェブサイト等で断片的に調べられているように感じますが、分析関連の書籍等で基礎を固められることをお勧めします。

回答に対するお礼・補足

たそがれ様

ご回答ありがとうございました。
また、こちらから質問したにも関わらず返信が遅れましたことをお詫び致します。

過去にも同じような経験をされて、自ら努力され壁を乗り越てこられたからだと思いますが、なぜか、たそがれ様にはすべて見抜かれているように思います。

実際、私は当分野は専門外で昨年から独自に勉強をしています。
それなりに装置の原理や前処理の方法も普段の流れの中で覚えていったものもありますが、実際の私の知識(化学の基礎知識も含め)は穴が開いているように思います。
ですので、今回のような問題が起こっても、何が問題かが分からないといった状態になる訳です。

脱線しましたが、改めて有用な情報をありがとうございます。
表題にもありますとおり、疑問になっていた酸の選択については王水を使う方法を検討してみます。

また、分析機関の分析担当者に問い合わせたところ、白金坩堝への金属成分の固着を心配するのであれば、やはりたそがれ様のおっしゃる通り、石英ビーカーにするのがベターだと薦められましたので、こちらも検討したいと思います。

沢山たそがれ様よりヒントを頂きましたので、本件に関しては解決できそうです。
むしろ、ここからは自分で解決していかないと成長できないと感じています。

長文にて分かり易く、私の勝手な判断かもしれませんが私に対して成長の希望を持ってご回答いただき、本当にありがとうございました。

No.35517 【A-4】

Re:ICP前処理に使用する酸の効果

2010-09-07 20:44:40 火鼠 (ZWl8329

銅の回収率が悪いと言われてますが、金属銅が、1%の硝酸で銅溶けますか?
ましてや、加熱により、難しい格好になったものなんてとけませんよ。
アルカリ金属や、アルカリ土類は、がちがちにかたまっていたって、水加えて温度上げれば溶ける物が多いけど。銅とか、鉄、マンガン、クロムなんて、加熱や、強酸で、へそまげさせちゃったら、強酸いれたって、まったく溶けなくなりませんか?

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