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環境Q&A

植生自然度について 

登録日: 2001年10月09日 最終回答日:2001年10月12日 自然環境 身近な自然の保全

No.394 2001-10-09 19:05:17 Kiki

 今手元に昭和51年度の地方別植生自然度分布比率図があるのですが、これをみると中国地方において「自然度7」が56.4%を占め、自然度8,9,10が3%ほどです。
 「自然度7」は二次林に属しますが、なぜ中国地方では自然度7がこれほど多いのでしょうか?ため池が関係しているとも聞きましたが、誰かこれについて知っている方、是非教えてください。

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No.403 【A-1】

Re:植生自然度について

2001-10-12 17:59:41 東京都 / 自然児

 植生自然度は人と自然との関わり方を植物群落の状態から見たものですから、「植生自然度7」つまり二次林が多いということは、その地域では人と自然との関わりが濃密であったことを示しているのだと思います。地域の人たちが周辺の森林からいろいろな恵みを得ていたと言ってもいいと思います。
 中国地方は日本の他の地域と違って、山が比較的緩やかなので古くから山の奥の方まで人が住んでいたと思われます。かつては(昭和30年頃まで)、現在のように毎日の生活に必要なエネルギーとして化石燃料や電気は使っていませんでしたので毎日の生活に薪は必需品でした。この薪は周辺の森林から採っていたはずです。また、化学肥料もあまり使っていませんでしたので、畑や田圃の肥料として落ち葉を集めたりもしていたと思います。
 中国地方は炭焼きの盛んなところでしたから、炭焼きの材料や薪としても森林を利用していたと思います。焼き物の窯を炊く薪にも利用されていたと思います。さらに古くは製鉄や鉱物の精錬にも使われていたんだと思います。
 このような地域では常に人が森林からいろいろなものを採っていますし、また、数10年間隔で森林を伐採する事も多いので、山は二次林で覆われるようになったんだと思います。中国地方に二次林が多いのはこのような人と自然との関わりの歴史を持っているからだと思います。
 森林の生長に見合った適度な人と自然との関わりは「持続的な利用」としてまさに「人と自然の共生」なのですが、森林の生長を越える過度な利用は森林を貧弱にし、いろんな問題を引き起こします。また、逆に全く利用しなくなると森林は長い年月をかけて自然林に戻ろうとしますが、この場合でもいろいろな問題が生じるようです。
(このあたりのことについては里山保全の問題と言われています。)
人と自然の共生には何事も適度がいいようです。

回答に対するお礼・補足

ご丁寧に回答してくださりありがとうございます。
二次林の形成にふれて、改めて人と自然との共生の大切さを認識しました。

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