一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境Q&A

曝気ブロアのON-OFFについて 

登録日: 2015年01月14日 最終回答日:2015年01月30日 水・土壌環境 水質汚濁

No.39958 2015-01-14 13:42:00 ZWlf2b 花鹿

現在、「間欠曝気法」について調査しております。その中でブロアに
ついて分からない事が多くあり、教えて頂きたくお願いします。

 専門の方から見たら、全く、ナンセンスな質問かも知れませんが、悪しからず。

 [ブロア・間欠曝気法についての質問]

 @ 500kW程度の大型ターボブロア(風量調節弁とインレットベーン付き)の場合、間欠曝気を行う事(例えば、2〜3時間毎に、ON−OFF)は、可能ですか?
ON−OFFを繰り返すと、ブロアが不良に陥るといった不具合が生じるのではと危惧しています。


 A もし、上記の様な大型ブロアでは「不可能」と言う場合も、風量調節弁とインレットベーンを用いて風量を絞る事が出来る様ですが、その時に

   ・風量を、全開から、最大どの程度まで、絞れますか?

   ・全開から最大限下げる(または、その逆)のに要する時間は
    どの程度ですか?(500kW程度のブロアの場合)

    また、200kW程度のブロアならば、短い時間で絞れますか?


 B 間欠曝気(例えば回分式や農集排で使用)は、窒素除去では有利であると思われるのに、殆どが小規模処理場の様です。
   下水の大規模処理場で採用されていない理由は、何故ですか?

総件数 5 件  page 1/1   

No.39965 【A-1】

Re:曝気ブロアのON-OFFについてその1

2015-01-20 21:27:58 papa (ZWlbd18

>専門の方から見たら、全く、ナンセンスな質問かも知れません

かなりナンセンスですがお答えします。下水処理プラントの基本的な設計をきちんと学んでから調査を行なったほうがよいと思います。

> @ 500kW程度の大型ターボブロア(風量調節弁とインレットベーン付き)の場合、間欠曝気を行う事(例えば、2〜3時間毎に、ON−OFF)は、可能ですか?
 まあ、よほどの素人でない限りそのような操作を実行することはないと思います。理由は最後に書きます。可能か不可能かと素人から問われればプロはほぼ全員不可能と答えると思います。

>ON−OFFを繰り返すと、ブロアが不良に陥るといった不具合が生じるのではと危惧しています。
 ブロワーの消耗機械要素はほとんど軸受ですから発停時が最もストレスの大きいタイミングです。そのため最近では磁気浮上のような非接触タイプもありますが、電動機側まで考えるとやはり頻繁な発停を回避することが必要と考えます。また、起動時には吸込・吐出・放風弁や起動抵抗器のシーケンスがあり発停にはかなりの時間が必要になります。

>  A もし、上記の様な大型ブロアでは「不可能」と言う場合も、風量調節弁とインレットベーンを用いて風量を絞る事が出来る様ですが、その時に
> ・風量を、全開から、最大どの程度まで、絞れますか?
 実用的には50%くらいと考えておけばよいと思います



No.39966 【A-2】

Re:曝気ブロアのON-OFFについてその2

2015-01-20 21:35:38 papa (ZWlbd18

> ・全開から最大限下げる(または、その逆)のに要する時間は
> どの程度ですか?(500kW程度のブロアの場合)
 単機であれば数分でできますが、お問い合わせのサイズの機器であれば少なくとも日量数10万m3クラスの処理場ですから、複数機を台数制御で使用しているはずです。その場合は、処理系列に池風量制御弁などがあり連動運転となっていれば制御方法まで立ち入らないと一概には決められません。おそらくブロアは吐出圧制御と台数制御の組み合わせとなっていると思います。

>200Kw程度のブロアならば、短い時間で絞れますか?
回答は上記と同じ
>
>  B 間欠曝気(例えば回分式や農集排で使用)は、窒素除去では有利であると思われるのに、殆どが小規模処理場の様です。
下水の大規模処理場で採用されていない理由は、何故ですか?

理由は簡単で、小規模施設の間欠曝気は滞留時間が長い単槽を前提にして、時系列で複数の機能を分担しているからです。

普通の処理場では、嫌気槽、無酸素槽、好気槽がカスケード接続されており、それぞれのブロック毎に定められた機能が割り当てられているため間欠曝気する必要がありません。すなわち、間欠曝気を行なわなくとも生物脱窒、脱りんが可能だからです。

回答に対するお礼・補足

ご回答、ありがとうございます。

予想しておりましたが、やはり、困難であることがわかりました。

ただ、最終の「普通の処理場では、嫌気槽、無酸素槽、好気槽がカスケード接続されており」とありますが、カスケード接続されていない(所謂、標準活性汚泥法)所で、間欠曝気運転されていないのは、ブロアの問題が大きいのでしょうか?
それとも、その様な処理場では、窒素除去の必要性が低いからでしょうか?

No.39980 【A-3】

Re:曝気ブロアのON-OFFについて

2015-01-27 19:41:36 papa (ZWlbd18

お近くの処理場を何カ所か詳しくご覧になっていただければわかることと思いますが、実態として教科書にあるような「標準活性汚泥法」になっている処理場はほとんどないと思います。
もう20年以上前かと記憶してますが、公称「標準活性汚泥法」の処理場の標準設計は、既にカスケード4槽ステップ流入で硝化運転運転が可能になっていました。もっとも運転する職員のスキル不足で使いこなせない処理場も結構たくさんありましたが、今ではそのようなこともないと思います。
実態として、今の日本の流入水質(BOD,SS,N)と水温では、意図しなくとも硝化が進行し、沈殿池での浮上防止のため脱窒運転せざるを得ないのです。また、N-BOD対策としては少しくらい電力原単位が上昇しても脱窒運転のほうが運転操作上は容易です。散気装置の改良や返送汚泥ポンプのVVVF導入、浄化槽からアイデアを借用したようなエアリフト効果による硝化液循環により電力原単位の上昇もあまりこだわることもない程度となってきました。
旧設計の標準法処理場も15年以上経過していれば、機器更新時に隔壁などを後付けして槽内を分割しているケースがほとんどです。

No.39981 【A-4】

Re:曝気ブロアのON-OFFについて

2015-01-27 23:14:20 papa (ZWlbd18

硝化運転を行なっていない処理場もわずかに存在することも事実です。
その理由は、旧式の散気装置の更新が進まないとか、電力原単位をできるだけ低く抑えたいとか、処理池の滞留時間が確保できないとか、硝化に充分なSRTを確保できる構造の沈殿地になっていないとか、処理運転担当者に十分なスキルがないとか理由は様々ですが、ブロワーの運用方法が障害となっていることはまず考えられません。
生物処理で除去できる汚濁成分はできるだけ除去したいと考えるのが水処理技術者の習性ですが、りん除去後のMAP生成によって対応を誤ると汚泥系に大きな障害が発生する場合があるなどトータルで処理技術を見ていただければ、処理場の運営は経済的にも処理技術的にも広く見てゆく必要があると考えています。
単槽の間欠曝気は操作的には単純ですが、処理池の滞留時間は標準法の2〜3倍もあり、土木施設としてはたくさんのコストをかけています。
また、送気倍率も硝化運転の標準法処理場(コトバ的にはちょっと矛盾してますが)数倍となっていて、電力原単位も数倍になります。

回答に対するお礼・補足

papa様

 大変、詳しい解説、ありがとうございます。

 標準活性汚泥法と言われていても、概ね、窒素処理も行われている事等、良く分かりました。

 また、間欠曝気は省エネで有利では?と思っていたのですが、循環法ですら、省エネが進んでいるのであれば、メリットは少なそうですね。

 色々と、ありがとうございました。

No.39986 【A-5】

Re:曝気ブロアのON-OFFについて

2015-01-30 19:15:48 papa (ZWlbd18

ちょっと早とちりしてるみたいなので追記しておきます。
現状でふつうに作られているオキシデーションディッチの処理場は、間欠曝気を基本設計に建設・運転されてます。
ですから、特殊なものではなく、処理場数からいえば日本で最も多い処理形態です。
間欠曝気をどういうふうに運用するかでこのサイトにもたくさんのQAがあります。質問者も回答者も間欠曝気は当たり前と考えてQAが構成されているケースが多いため「間欠曝気」ではなく「OD」をキーワードにサイト内検索すれば参考になるQAがたくさん出てくると思います。

回答に対するお礼・補足

色々とありがとうございます。

規模的に、OD法は調査対象に入れて無かったのですが、参考にさせて頂きます。

総件数 5 件  page 1/1