一般財団法人環境イノベーション情報機構

環境Q&A

酸分解-ICP分析法による鉛(Pb)の定量下限値低減方法について 

登録日: 2020年07月01日 最終回答日:2020年07月04日 水・土壌環境 水質汚濁

No.41645 2020-07-01 13:24:08 ZWlfd1a 定量下限下げ太郎

こんにちは。この度、ICPを定例分析に使用できるよう立ち上げを任命されたものです。
今はひとまず、方法定量下限値を出すために超純水100mlに対し、硝酸(超微量分析用)を5ml添加したものをホットプレート上で約15mlに濃縮し、その後100mlに定容したものを操作blとして、これを10本用意し連続で分析した標準偏差、14σで定量下限値を出しています。
環境省では鉛は環境基準値(0.01ppm)の1/2程度の値である、0.005ppm以下の定量下限値が望ましいとしており、上記の酸分解前処理-ICP分析では0.005ppm以下の定量下限値を出すことは出来ませんでした。(鉛は感度が悪いので覚悟はしておりましたが…)
となると、キレートディスクを使用した固相抽出前処理法-ICP法なら定量下限値の大幅な低減を図ることが出来るとは思いますが、今後のOJTや定例分析の頻度的にいかに簡便な方法で分析可能かがポイントになるため、出来れば避けたい状況です。
ネットで他社さんの鉛分析の定量下限値など見ていると、通常の硝酸による酸分析前処理-ICP分析法で定量下限値0.005ppmとされているところをよく見かけます。
一体、私どもと同じ酸分解でどのような工夫をされているのかが、気になります。
何か知見をお持ちの方いらっしゃいましたら、何卒ご教授頂きたいです。
よろしくお願いします。

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No.41651 【A-2】

Re:酸分解-ICP分析法による鉛(Pb)の定量下限値低減方法について

2020-07-04 13:13:27 たそがれ (ZWla61d

A-1に被せたような回答になってしまいました。
まず、ICP-MSや電気加熱型原子吸光の装置を保有しているなら当然そちらを考えるべきですがその辺の知識は持ち合わせている方と思われますのでそれを前提に回答します。

私も固相抽出がベストだと考えます。その理由は汚染の管理をしながら濃縮するのに最適だからです。液液でのキレート(溶媒)抽出では各工程で汚染が入り込みやすく、計算で求めた濃縮率では足りなくなります。まあ、工場排水や産廃用といったところでしょうか。

超音波ネブライザは溶液を脱水、霧状にし、装置に数倍量を導入するものでICP-MSが普及するまでは多くの検査機関で水道水の金属分析で使用されていました。私も使用したことがありますが、確かに5〜10倍の感度アップは期待できます。装置の値段は20万円〜30万円くらいするかもしれません。また、分析の最後に感度変動確認用の標準を打つと2割程度低くなってがっかりした記憶も何回かあります。聞くところによると装置の汚れが原因とのことですがメーカーに確認するなら、ポイントとなるところです。

酸を加えてそのまま濃縮についてはA-1と同意見です。私どもは原子吸光全盛の時代に無理して濃縮していました。

最後に定量下限の算出ですが、「方法定量下限」と明記されていますのでBL溶液をいくつも用意するのは正しいと考えます。しかし、確かに通則ではこれでもよいとなっていますが、本来、同様のマトリックスを含み鉛のみが陰性の試料(現実難しいですが)で算出するのが理想です。これにより近接線の重なり等、より条件が悪くなりますので今回行った条件で計算するなら感覚的には20σ以上が必要だと考えます。それを踏まえて濃縮率を推定してください。

回答に対するお礼・補足

たそがれ様、ご回答有難うございます。おっしゃる通りICP-MSがあればなぁ。と思う今日この頃です。
やはり、固相抽出がベストなようですね。手間暇言う前に、妥当な分析方法を選定するのが分析者が最も優先すべきことなはずなので、そちらを優先的に考えていきたいと思います。
超音波ネブライザは30万近く出しても、少しばかりギャンブルちっくな要素がありそうですね…。
ご丁寧にご教授下さり、改めて有難うございました。

No.41648 【A-1】

Re:酸分解-ICP分析法による鉛(Pb)の定量下限値低減方法について

2020-07-02 22:49:19 いずみ (ZWlfc52

とても興味深い質問です。

私が使用する同軸ネブライザー、アキシャル(軸方向)観察のICP発光分光分析装置のPbの定量下限値は0.01〜0.02ppmが限界です。
このような条件下で定量下限値0.005ppmを達成するには、@前処理時における試料の濃縮、A追加オプションによる感度の向上のいずれかになります。

@については、固相抽出法が良いと思います。たしかに手間かもしれませんが、一昔前の溶媒抽出法と比べれば、だいぶ楽になりましたよ。
Aについては、超音波ネブライザーというものがあります。私は使用したことがないのですが、感度が数倍向上するとか。
メーカーもしくは代理店に相談すれば、デモンストレーション用の装置が借りられると思います。

さて、本題に移ります。
私が以前勤めていた環境計量証明事業所では、固相抽出でも溶媒抽出でもなく、ただ煮詰めて濃縮していました。具体的には、100mlを40mlに濃縮したり、200mlを20mlに濃縮したりです。
当然、妨害成分も濃縮されます。プラズマの色が変わり、トーチが詰まったりもしますが、そんなのお構いなしです。納期までに数値が出れば良いというのが会社のスタンスでした。その後、ICP-MSを購入し、無茶な濃縮をすることはなくなりましたけど。

会社名は出しませんが、業界では技術力を謳った大手企業でこの有り様です。ですから、他社様がどのようにして定量下限値0.005ppmをクリアしているのか私も興味があります。

※勘違いしていた点があったので、投稿内容を再編集しました。

回答に対するお礼・補足

いずみ様の実体験から、具体的な解決方法の提案まで有難うございました。
どこの企業も利益を優先するのは当然なので、致し方ないのかもしれませんね…。
私でも色々と調べてみたものの、どうも酸分解-ICP分析法で定量下限値0.005ppmを謳っているところは胡散臭いなぁ〜。と思ってしまうほど、上記方法での定量下限値低減は難しいようですね。
お忙しい中、ご丁寧な回答を有難うございました。

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