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環境Q&A

バイオマス由来の温室効果ガス 

登録日: 2004年08月02日 最終回答日:2004年08月03日 地球環境 地球温暖化

No.7127 2004-08-02 12:08:06 ドグラマグラ

 最近、または以前の書き込み等に見られる、「IPCCガイドラインによると、表題のガスは発生量から除外する」という件につきまして、少々疑問をもちました。
 どなたか、御教授頂けますでしょうか。


1.野焼きによる二酸化炭素排出は含めるのか
 発生源となっていたと思うのですが、変更されたのでしょうか?

2.動物性の物を焼却した際に出るガスは含めるのか
 動物が保有する炭素も、植物から摂取したものですので含めないのですか。

3.現状、生態系から離れ固定化されている炭素(家屋材・紙・植物油等)を燃焼させたときはどうなるのか
 かなりの量の炭素が固定化されていると思います。これらを仮に全て燃やしてしまっても、以前に植物が吸収したものだからと言うことで考慮外になってしまうのでしょうか。とすれば、処理方法は焼却も堆肥化も炭化も全て同じということでしょうか。
 また、以前植物が吸収し、現在固定化されている炭素という括りであれば化石燃料となんら変わらない気がします。

 議定書の本文やIPCCガイドラインのサイト等を見たのですが、今ひとつ納得できずにおります。

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No.7143 【A-1】

Re:バイオマス由来の温室効果ガス

2004-08-03 11:55:22 民間担当

教授できるだけの知識を持ち合わせておりませんが、ドラマグラ様の疑問に対して、私なりの解釈を投稿させて頂きます。

まず「野焼き」の件ですが、CO2やCH4,N2Oなどの温室効果ガスの規制はそのまま存続していると解釈しています。しかし、野焼きの場合はとくに煤をはじめとするエーロゾル(浮遊微粒子)が多く放出されるため、IPCC第三次報告書ではバイオマス燃焼の場合は「放射強制力」を負の効果として扱っています。これは、エーロゾルの「日傘効果」によって地球温暖化が半分から3分の1に抑えられているという研究結果に伴い、第三次報告書ではエーロゾルの「日傘効果」を新たに盛り込んだもののようです。このことから、地球温暖化防止の観点として、「野焼き」を規制しなければならないほど悪影響を与えるのか、逆に「日傘効果」をもたらすのかの断言し難くなったことから、この辺りのことがアヤフヤになっているのではなかろうかと解釈しています。

次に、「動物の焼却」の件ですが、動物も「焼却」の場合にはバイオマスとしての範疇に含まれていると解釈しています。ただ、一般的に「バイオマス=植物性バイオマス」という観念が強いことと、最初から動物を「バイオマス燃料」に設定することへの抵抗感から、「動物の焼却」には言及されていないだけだと考えています。たしかに、ドグラマグラ様が言われるように、元を質せば動物の起源は植物ですが、動物が生きている間の反芻や糞尿はGHGの対象とするのがやっとで、屍骸については「食物残渣」として扱おうということじゃないかと思います。

最後に、現状炭素固定化されている家屋材・紙・植物油等を燃焼させたときの件ですが、これはその固定されている期間をベースに判断された結果だと解釈しています。家屋材やパルプ材の対象となる木材は樹齢10年〜30年くらいですが、石炭などの化石燃料は数万年の固定期間です。現在の環境では天然木が石炭に炭化することは不可能で大半が風化による腐敗でメタンを発生させるだけで、化石燃料の場合は使用しなければそのまま炭素固定化され続けると考えます。もっとも、法隆寺のように数百年も家屋材として残存しているものもあれば、同じくらいの期間で部分炭化した亜炭のような化石燃料もありますので、私もドグラマグラ様と同じように「炭素という括り」に疑問を抱くケースも往々にしてあります。

回答に対するお礼・補足

民間担当様
丁寧且つ視野の広いお返事有難う御座います。

やはり、現状の算出方法に疑問を感じているのは自分だけではないのですね。

「野焼き」の日傘効果についてはまったく盲点でした。火山の噴煙でも同じ事が起こって居ますから、無視できるものではありませんね。しかし日傘効果も、結局は環境によろしくないものだと思いますから、やはり野焼きは規制するべきと感じます。日傘効果によって温暖化を防止しているということは、日光を遮っているという事で、植生にも影響があるでしょうし・・・。

温暖化問題はせいぜいがここ数十年での新しい環境問題ですので、個人的には木材等を焼却したバイオマス由来の温室効果ガスも全て含めるべきと思っています。但し、化石燃料という、人間が掘り出して使用しなければ固定化され続ける炭素の代わりとして使用した分、石油・石炭の変わりにバイオマス燃料を使った場合は、差し引くのが正解という気がします。
樹木は、ある程度生長してしまえば光合成よりも呼吸の割合が大きくなる為、伐採・植樹して利用することは理にかなっていますが、伐採木を家屋等に利用し、解体材を二次利用、さらに炭化するなどして、可能な限り固定化することは、意味のないことではないと思います。
京都議定書に限って言えば、ひとまずの比較対象が1990年の値なのですから、当時固定化されていたバイオマス由来の炭素も、温室効果ガスとして放出すればやはり計上するのが当然なのでは・・・。
総合的に考えることは大変重要ですが、どうもいまのままでは目標を達成できない為、対象を絞り込んでいるような印象を受けます。必死に免罪符を探しているというか・・・。
今まで、二酸化炭素の排出を削減しようとして努力してきた市井の人や、効率の良い廃棄物処理装置を開発してきた企業の努力は無駄だったのか、と感じてしまいます。
本当に、どれだけバイオマス由来の温室効果ガスを短期間に排出しても環境に影響がないのなら別なのですが。

追記:どうでも良いことですが、名前の修正有難う御座います。分かりにくい名前で申し訳ない・・・。

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