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環境Q&A

排出権取引について 

登録日: 2008年12月30日 最終回答日:2009年01月18日 地球環境 地球温暖化

No.30774 2008-12-30 21:52:02 ZWl7b25 筑波山麓

先の「ためしき」さんへの排出権取引の回答をしていて質問してみたくなりました。

以前より、この排出権取引を勉強していて、私はこの排出権取引について疑問を持っております。すべての排出権取引が計算上のみでCO2削減量そのものが取引されております。しかも、金額が数千万円〜数十億円以上という高額の取引です。欧州はもとより、日本でも一部上場の大手企業がどんどん排出権取引を行いつつあります。

この排出権取引は、途上国から先進国まで、種々雑多の商習慣、文化を持つ国々間、企業間、個人間の取引です。通常、このような取引には、物品と金銭の1対1の交換が存在しますが、この排出権取引では、商品は二酸化炭素削減量という計算上の数値のみです。一方、金銭は実際にやりとりされます。まあ、電気使用量、燃料使用量等の数値は把握できるのでしょうが、実際の排出二酸化炭素量は計算上のみの数値(量)です。

一方、自動車でも、テレビでも、商品には価値(量と質)が存在します。同じ排気量であっても、カローラにシーマの料金を払う人はいません。ブラウン管テレビに液晶テレビの価格を払う人はいません。

このような検証がない・検証方法が決まっていない取引でこれほどの金額が動く場合、過去の経験では、詐欺、欺瞞その他の犯罪行為が必ず生じております。これを防止するためには、公的・具体的・トレーサブルな検証が必要です。ところが、いまだに排出権取引に、この検証という考えが生じていません(私の勉強不足かもしれませんが)。当然、検証の後には罰則も必要となりますが。

私は、これを心配し、この検証を事業化することを提案し始めております(残念ながら、今のところ社内で理解される方は極少数ですが)。また、将来の事業化を考慮して個人的にですが検証方法も研究しております。しかし、1私企業の事業化・儲けを超えて、取引をされる方々全体で、この検証について考えていく必要があると思っております。

EICネットでの質問が適切かどうか分かりませんが、排出権取引が急速に伸びている現在、その必要性を鑑み、同様に考えていらっしゃる方と議論してみたくなり、敢えて書きました。

皆さんは検証の必要性についてどのように思われますか?
また、この検証について何か動きがあるのでしょうか?
また、この検証について何かご存知の方、いらっしゃいましたらご教示ください。

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No.30839 【A-11】

Re:排出権取引について

2009-01-09 23:57:38 ronpapa (ZWlba5

○印は情報源となったサイトです。
●印が興味を持った内容の部分です。(これだけでもよかったのですが)

【1999年/約10年前の見解と情報など】
○(財)地球産業文化研究所(GISPRI) 〔Ex.モリゾーとキッコロの「愛・地球博」など主催〕
http://www.gispri.or.jp/menu.html
○21世紀への戦略的思考(世界資源研究所アレン・ハモンド)…邦訳本「未来の選択―21世紀に人類が創る3つのシナリオ」 監訳者:竹中平蔵〔旧大臣〕
http://www.gispri.or.jp/newsletter/1999/9907-1.html
●公開シンポジウム「Session1: 日米の温暖化対策について」、「Session2: アメリカの国内排出権市場」_平成11年(1999年)5月25日
http://www.gispri.or.jp/newsletter/1999/9907-3.html
※京都メカニズムに関する日米の温度差や、手法発想の基となったSO2排出量取り引きシステムとの類似と相違点を知りました。今の10年後の姿を知った立場で読むと興味深い意見内容も多く含まれて面白かったです。

【2008年/約10年後の現在の姿と意見】
○(環境省)排出量取引の国内統合市場の試行的実施について
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/dim/trial.html
○(経済産業省)CO2排出量の算定・表示・評価に関するルール検討会(CFP制度実用化研究会と併合)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g81114aj.html
○産業構造審議会環境部会地球環境小委員会と中央環境審議会地球環境部会の合同会合(第32回__平成20年12月16日)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g81216cj.html
↓この中の末尾参考資料で、当日欠席された委員からの意見文書。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g81216c18j.pdf

※前後の内容を読み比べてみると、京都メカニズムの持つ功罪と排出量取り引きシステムの矛盾についても類推できそうな気にはなるのですが、経済原理を利用するつもりが、逆にそれによって振り回される現状に至っているように思えてきました。
以上、マナー違反の2カラムに渡っての書き込み失礼しました。

回答に対するお礼・補足

「ronpapa」さんへ。

再度の貴重なご意見ありがとうございます。

この質問が2枚目に移動した時点で、皆さんの回答にお礼を兼ねて総括の返事をし、クローズにいたそうかと考えていたところです。

私も、「Lake」さん、「ronpapa」さんからの情報により「アメリカでのSO2削減に使われた手法」を勉強したいと思っております。

今後、アメリカが京都議定書に参加すれば、CO2排出権取引がCO2削減の補助手段でなく、主たる手段になる可能性がありそうです。

「規制緩和は正しい」という考えの下に、適切な経済コストを図る手段として大々的に利用され、排出権取引が「住宅ローン担保証券」と同様な展開になってほしくないですが、現在の日本が考えているよりは、はるかにダイナミックに投機の対象になる可能性があると感じました。

今回の経済危機の反省から可能性は低いと思いますが、そのような展開になったら恐ろしいですね。

No.30845 【A-12】

悲観論と楽観論。理想と現実など。

2009-01-11 01:47:07 ronpapa (ZWlba5

何度もスミマセン。
『現在の日本が考えているよりは、はるかにダイナミックに投機の対象になる可能性があると感じました。今回の経済危機の反省から可能性は低いと思いますが、そのような展開になったら恐ろしいですね。』とのご意見。
そうですね。恐ろしいですね。怖いですね。(故・淀川長治さんじゃないですが…)
でもそうしたい意思が働けば、そうなるのではないでしょうか。

【悲観論?】
日本の金融経済バブルは、右肩上がりの経済成長を前提にした未来からの借金システムの崩壊でした。
アメリカの住宅ローンバブルも、低所得層からの無担保融資によるネズミ講システムの崩壊でした。
排出権取り引きシステムはどうなのでしょうか。先進国同士によるCO2市場価格高騰を目論む環境ビジネスバブルにならないとは言い切れない気がしてきます。

【楽観論?】
しかし逆の見方をすれば(これまでの意見のように)、それでCO2削減を達成できるのであれば、将来への意味ある負担と言えるようになるかもしれません。
(その時点での貨幣バブル投資としてもいささか膨大過ぎる被害額となるかもしれませんが)
そして、再々度の金融経済バブル崩壊の津波に遭わなくてはならないとしても、その悲観的なシナリオに備える知恵が生まれれば、なんとか生き残ることが出来ると思います。
地球生物環境と子孫に対する罪滅ぼしの代償と考えれば安いものです。どのみち、人間が作った金銭貨幣でしかないのですから。本当に価値あるものは何か?価値を問うよりも前に大切なものは何か?を何度も何度も学び直さなくてはならないのが人間の性であり、宇宙と地球からの繰り返し教育でしょうか。

【まだ結論はありませんが】
先のwmineさんのA-7.が、私にとって分かり易いご意見でした。だからこそ、筑波山麓さんの問われる『排出量取引における検証方法の必要性』が重要だと思えるようになってきました。私の学んだ経営工学(IEとかQCとかVEですが)のセオリーは「言葉でなく数字に語らせろ!!」というものでした。金銭という不確かな数字ではなく、公正な監視測定記録の数値データで語ることが必要と思います。その為の費用はプライスではなくコストですから、必要経費と思いますが。

もっと、皆さんからの意見が聞きたい思いです。

回答に対するお礼・補足

「ronpapa」さんへ。

度々のご意見ありがとうございます。

排出権取引は、その目的から、エネルギー源の選択・エネルギー効率増の手段等々、広範囲にわたり、単に「CO2の濃度と量を測定すれば事足れり」とならず、その検証手段は多岐に渡ると推測されます。

当然、公定法又はそれに準じる方法はなく、今後、種々の犯罪的問題が生じるごとに検討されていくものと考えております。

それを想定し、適切な検証方法・手段を今から準備・提示していくことにより、将来のビジネスチャンスをものにするという企業があっても良いのではないかと考えております。
今、このビジネスチャンスにもっとも近い位置にあるのは、日本では、計量証明事業者(ISO/IEC17025取得業者)、計量機器メーカー(自動計測機器)、ISO14001審査機関等々ですが、いずれも、一長一短あり、人材、資金、手段、ノウハウ等のすべての手段を所有する企業は極めて少ないと考えられます。

いずれにしても、オバマ政権移行チームの宣言を考慮すれば、アメリカの京都議定書参入は近く、どのような展開になるか?注目していく必要があるでしょう。
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=19667&oversea=1

No.30847 【A-13】

Re:排出権取引について

2009-01-11 17:21:10 まきまき (ZWlae13

アメリカのSO2の事例が出たので、浅学の身で申し訳ありませんが、一言。

確か1990年の改正大気清浄化法(CAA)では、従来の「有害」対策だけでなく、酸性雨という準広域な環境対策として、SO2排出枠取引制度が取り入れたはずです。
基本的な枠組みは、
 ・規制対象は火力発電所だけ(SO2排出総量の80%)
 ・削減目標は1990年水準比で1000万トン削減
  (1999年に890万トン)
 ・1999年段階からは恒久的な総量規制(キャップ)を実施
 ・削減技術が限定的で実施可能
  (燃料転換、低硫黄燃料化、排煙脱硫など)
 ・SO2の自動測定機も普及済みで「継続的な監視装置と記録」が可能

このような、実施&検証可能な(逃げも隠れもできない)枠組みがあったからこそ成果も上がったのだと思います。

これと比べて、CO2排出権の枠組みは、世界レベルで見た場合、
 ・規制対象業種は無し(CO2排出に関して何でもOK?)
 ・対象はCO2排出者ではなくエネルギー使用者
  (排出者対象のSO2規制とは大きな違い)
 ・一方でCO2吸収源提供者(植林事業等)の参加も想定
 ・削減目標は京都議定書で一応合意
  (ただし大量排出国の多くは未合意)
 ・削減に向けた具体の規制プログラムは無し
  (各国の内部での独自プログラムは整備中)
 ・測定装置、監視手法は未整備(または未統合)

筑波山麓さんのご質問にある「継続的な監視装置と記録」をいかに担保するのか、という点についても、アメリカのSO2規制の時とは大きな乖離があるように思います。
それゆえ、CO2規制では独自の枠組みを作らざるを得ないのではないかと。

整理できてない意見ばかりですみません。
もっと詳しい方のご意見も聞いてみたいです。どなたかよろしくお願いします。

回答に対するお礼・補足

「まきまき」さんへ。

ご意見ありがとうございます。

>それゆえ、CO2規制では独自の枠組みを作らざるを得ないのではないかと。

おっしゃるとおりです。
おそらく、どのような枠組みをつくるべきかを、明確に提示できる方はきわめて少ないのではないでしょうか?
今後、事件が生じるごとに枠組みを修正していくことになるのではないでしょうか?
そして、枠組みを修正するごとにビジネスチャンスが生じ、種々の事業が展開していくと推測しています。

No.30885 【A-14】

Re:排出権取引について

2009-01-15 22:08:56 k11marimo (ZWlb828

敢えてちょっとずれた視点から失礼します。

排出権取引、排出量の検証はすごく必要だと思います。ただ、本当に確実に検証できるかどうか、検証にどれだけのコストがかかるか、その辺が問題だと思います。中小企業にとっては非常にコストや労力のかかる難しい問題で、かと言って中小企業のCO2排出量だって無視できないわけで、非常に心配しています。

投機的な価格の情報を懸念として考える方も多いと思いますが(自分もそう思っていましたが)、逆に価格が高騰すれば排出権を買うより削減技術を開発したり導入する方が安くなって結果的にCO2の排出量削減を加速させるのではないでしょうか?単純に喜べることではないですが、悪いことではないのかも知れません。

逆に暴落させる要因として、使った燃料を使ってないことに偽装したり、そういうのが発生した場合、排出権は暴落して誰も削減しようとしなくなるでしょうから、是非本当にきっちりと検証しなければ排出権取引をしてはいけないと思います。

是非とも、格安で間違いの無い検証方法を見つけていただければと他力本願ながらお祈りさせていただきます。

回答に対するお礼・補足

「k11marimo」さんへ。

閉めようと考えていたところ、返事をいただきありがとうございます。

「是非とも、格安で間違いの無い検証方法を見つけていただければと他力本願ながらお祈りさせていただきます。」
ありがとうございます。

微力ながらも、なんらかの貢献ができればと思っております。
いかなるアプローチをしていくか?……
今後も皆さんと意見の交換をし、機運をそだてていければ幸いと考えています。

No.30924 【A-15】

Re:排出権取引について

2009-01-18 01:23:25 筑波山麓 (ZWl7b25

「Dr.ゴミスキー」さん、「Lake」さん、「環境担当者」さん、「おせんち」さん、「ronpapa」さん、「せららばあど」さん、「wmine」さん、「BATA」さん、「火鼠」さん、「ronpapa」さん、「まきまき」さん、「k11marimo」さん、貴重なご意見ありがとうございました。

柏手は「片手ではならず」です。皆さんのご意見を聞き、自分の考えを整理できる機会を得たことを感謝します。今後も、EICネット上で、皆さんと意見の交換をできることを楽しみにして締め切らせていただきます。



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