協議会設立の経緯
2016年6月26日 設立宣言当日の様子
2015年7月、屋久島町より関係町村に対して、世界自然遺産登録地域間の自治体連携についての呼びかけがされました。白神山地と屋久島が世界自然遺産に登録されてから20年が経過し、2015年には知床が登録10周年を迎え、2016年には小笠原諸島が5周年を迎えるにあたって、世界自然遺産地域を有する自治体が共通の使命を認識し、自然資源の保護と活用の方策を確立するネットワークの必要性を提起したものでした。
関係町村からの賛同を得て、同年11月に関係町村の長が初めて顔を合わせ、連携組織の設立に向けて準備を進めることが確認されました。
2016年6月26日、小笠原諸島世界自然遺産登録5周年イベントに合わせて、関係町村長らが都内に集まり、協議会の名称や規約を正式に決定した上で、会長に選任された屋久島町の荒木町長が協議会の設立宣言を行いました。
協議会の概要
名称:世界自然遺産地域ネットワーク協議会
目的:世界自然遺産地域を区域内に有する町村の連携によって、日本の世界自然遺産地域の価値と魅力を発信し、社会的な環境保全活動を推進するとともに、協議会を構成する町村の地域振興を図る。
組織:世界自然遺産地域を区域内に有する8つの町村の長
・知床
北海道斜里町 町長 馬場隆
北海道羅臼町 町長 湊屋稔
・白神山地
青森県深浦町 町長 吉田満
青森県深浦町 町長 吉田満
青森県鰺ヶ沢町 町長 東條昭彦
青森県西目屋村 村長 関和典
秋田県藤里町 町長 佐々木文明
・小笠原諸島
東京都小笠原村 村長 森下一男
・屋久島
鹿児島県屋久島町 町長 荒木耕治(会長)
今後の取組について
これまで以上に関係町村間で情報交換を重ねながら、具体的な連携方法や事業内容を検討し、次のような活動に取り組みます。また、取り組みを推進するための支援を民間も含めた各主体に要請していくこととしており、有効な広報手段なども検討していきたいと考えています。
(1)日本の世界自然遺産地域の価値と魅力を発信
(2)世界自然遺産地域の社会的な環境保全活動の推進
(3)世界自然遺産を活かした地域振興の検討
各世界自然遺産地域の概要
(1)知床
登録年:2005年
関係町村:北海道斜里町、羅臼町
遺産としての価値:海氷が生んだ海と陸の生態系の豊かなつながりと北方系と南方系の種が混在する生物の多様性
主な取組:エゾシカの個体調整による植生回復、資源の保護と漁業を両立させる「知床方式」の推進、海と陸のつながりを回復するための河川づくり、ヒグマなどの野生動物と共生するための利用調整やエコツーリズムの推進に取り組んでいます。
ウトロ側の断崖が海鳥の営巣地に(斜里町)
羅臼岳と紅葉(羅臼町)
秋の知床五湖(斜里町)
流氷とオオワシ
(2)白神山地
登録年:1993年
関係町村:青森県鰺ヶ沢町、深浦町、西目屋村、秋田県藤里町
遺産としての価値:東アジア最大で、世界に類を見ない多様性を持つ原生的なブナ林
主な取組:生態系の保全と適切な利用を図るため、関係機関によるパトロールやエコツーリズムの推進とともに、将来の地球温暖化等による影響に備えるためのモニタリング調査を継続しています。
紅葉の日本キャニオン(深浦町)
白神の遊歩道(鰺ヶ沢町)
マザーツリー(西目屋村)
小岳山頂からの眺望(藤里町)
(3)小笠原諸島
登録年:2011年
関係町村:東京都小笠原村
遺産としての価値:固有カタツムリや植物など独自の進化を遂げた生態系
主な取組:希少動植物の保護増殖、在来森林生態系の再生、外来種対策とともに、エコツーリズムの推進による保全と利用の両立を目指しています。
水面に姿を現すザトウクジラ
アカガシラカラスバト
傘山から望む二見湾
テンスジオカモノアラガイ
(4)屋久島
登録年:1993年
関係町村:鹿児島県屋久島町
遺産としての価値:巨大なヤクスギ天然林の景観と、植生の垂直分布が顕著な島嶼生態系
主な取組:適正利用を図るために縄文杉への登山者対策やルール作りを進めているほか、ヤクシカの個体数管理を進め、植生保護などの生態系の維持回復を実施しています。