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気候安全保障 環境用語

作成日 | 2008.04.30  更新日 | 2009.10.14

気候安全保障

キコウアンゼンホショウ   【英】Climate Security  

解説

気候変動問題を安全保障の問題として位置づける考え方。その背景には、次のような認識がある。(1)気候変動が及ぼす影響は、環境の変化のみならず、貧困撲滅や平和構築の努力をも妨げる大きな障害となる可能性があること。(2)気候変動が及ぼす影響は、特に脆弱な国にとって直接的な、また、世界的規模での経済撹乱によって多くの国の、安全保障上の問題となる可能性があること。(3)このような深刻な影響をもたらす気候変動問題は、それを緩和する対策についても、気候変動の影響に適応する対策についても、高い優先順位を持って取り組まなければならないこと。

気候変動の影響の深刻さを、気候安全保障という言葉で最初に明確に表現したのは英国のベケット外相であった。彼女は2006年秋に行った演説で、「気候安全保障なくして、国家安全保障や経済的な安全保障を確保することは困難である。温暖化によって気候が不安定になれば、政府の基本的責任である、経済・貿易・移民問題・貧困などへの対応は果たせなくなる」と述べ、温暖化への対応を英国外交の主要課題に置くことを表明した。2007年4月17日には、英国の主導で、国連安全保障理事会において史上初めて気候変動問題が「エネルギー、安全保障および気候に関する安保理公開討論」として取り上げられた。

気候変動を「気候安全保障」として捉えることにより、次のような国際政治上の効果が期待される。すなわち各国の首脳が直接関与すべきハイ・ポリティックスの課題として認識されることによって、本来気候変動に与えられるべき高い優先順位が正当に与えられ、その結果、国内対策や国際的な連携の促進が期待される。さらに気候安全保障が優先順位の高い政策項目とされることにより、低炭素で発展する経済社会に必要な技術や制度、ライフスタイルが促進されることも期待される。

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