Aさん―あーあ、夏休みももう終りか。センセイ、夏休みはどっか行かれました?
H教授――うん、沖縄は八重山諸島に行ってきたんだ。向こうで台風14号にぶつかっちゃって、帰りの飛行機が欠航。2日も足止めを食らった。おかげで東京での大事な会議もキャンセル。ひどい目にあったよ。
Aさん―大事な会議って?
H教授――環境庁出身の大学人でつくった「環境行政学会」【1】のメンバーなんかとの重要な打ち合わせだ。
Aさん―なんだ、飲み会か。
H教授――(図星をつかれて)シ、シッケイな!
Aさん―(無視して)で、何しに八重山諸島まで行ったんですか。
H教授―(あきらめて)家族サービスさ。で、30年ぶりに西表へ寄ったんだけど、自然はよく保たれてたよ。でも「秘境」という感じはもうなくなってたね、道路も見違えるほど立派になってたし。あそこまで道路整備する必要があるのかなと思ったよ。
Aさん―大きな自然破壊さえなけりゃ、いいことじゃないですか。住民にとっても、観光客にとっても。
H教授―西表には、上原と大原という2つの大きな集落が3〜40km離れてあるんだ。それを結ぶ道路がセンターラインの引かれたりっぱな2車線の道路で、幅広い歩道までついてるんだ。夜、この道をドライブしたんだけど1台も対向車に出会わなかった。そりゃ、道路整備は必要だろうけど、ここまで立派な道路が必要なんだろうか。ところどころ未改修の部分があるんだけど、これだってセンターラインや歩道こそないけど、すれ違い可能な舗装道路なんだぜ。これで十分じゃないかと思うけどなあ。
Aさん―授業でセンセイがよく言ってた、道路よりも道路事業って奴ですね。
H教授――そう、調べたわけでもなんでもないけど、直感的にそう思ったね。こんなオカネがあったんだったら、道路事業じゃなくて、もっとほかのこと、例えばごみ問題だとかに使うべきだったと思うなあ。
Aさん―はいはい、今月の無責任な放言はそこまで。前講以降の環境行政でなにかトピックスはありました?