Aさん―じゃ、いっそのことBODやCODを有機汚濁の代表的な指標とするのでなく、SSやDOを代表的な指標にできないんですか? どっちも環境基準が決められてるんだし。
H教授―SSの大半が有機性の浮遊物質だったらいいけど、条件次第で無機性の浮遊物質が多いことも考えられ、BOD、COD以上に、有機汚濁の指標としては信頼性がないということじゃないかな。単なる「濁り」というんだったらそれでいいと思うけど、豪雨や底泥からの巻上げからくる濁りを人為、特に排水規制でコントロールするのは難しいから、意味がないともいえる。
Aさん―じゃ、DOは?
H教授―風が強かったり、波が荒かったりすると空気中から酸素が補給されるから、これも有機汚濁の指標、特に発生源からの排水規制とのリンクということから考えると使いづらいんじゃないかな。
Aさん―じゃあ専門家は有機汚濁の環境基準や排水基準の指標としては何がいいって言ってるんですか。
H教授―国際比較という観点からはTOCがいいといってるらしい。原理は知らないけど、今じゃ測れるそうだ。
問題は、なぜ有機汚濁が問題かということだ。見た目の汚濁を問題とするのか、酸素消費による貧酸素化がもたらす漁業被害や生態系の攪乱を問題にするのか。
TOCってのはよく知らないけど、後者の観点からすると、易分解性のものも難分解性のものも一緒に測ってどういう意味があるのかが気になる。硝化を抑える方法もあるみたいだから、それでBODを測った方がいいような気もする。
Aさん―じゃあ、
透明度はどうですか。河川じゃムリだろうけど、海域や湖沼ならいんじゃないですか。それに専門的技術のない一般市民でもできそうじゃないですか。
H教授―透明度というのは、白い円盤をだんだん吊り下げていって、どこまでその円盤が見えるかということなんだけど、天候によって大幅に数字が変わるな。
Aさん―じゃ、他に何かないんですか? センセイだって簡易指標を開発する必要があるって言ってたじゃないですか。