H教授―キューバは、米国がヘルムズ・バートン法などという稀代の悪法をつくって経済封鎖を行っている。国際法上からおかしいと国連でも再三非難されていて、日本も一応は反対している。なにしろ昨年の国連総会では米国非難決議に賛成183、反対はわずか4で、米国、イスラエルそれに米国の保護領のようなパラオ、マーシャル群島だけ、棄権が同じくミクロネシア1カ国。でも当然のごとく、ブッシュさんは馬耳東風。
それでも、日本は米国に遠慮して未だにキューバに対する本格的な援助ができないでいる。一方、冷戦構造崩壊以降はヨーロッパやカナダなどがキューバに相当の援助をしてきた。だから本格的な援助まではいかないにしても、ポスト・カストロのことを考えて、今のうちに唾をつけておきたいということなんじゃないかな。
そしてテーマが「環境」だったら、日米関係にも影響しないだろうということで、対象を環境マネジメントの研修ということにした。
Aさん―そうか、カストロさんは先日大手術を受けられたですもんね。
もう80歳でしょう?
H教授―うん。で、その研修の委託を受けたのが大阪にある財団法人のGEC(地球環境センター)。ここは
UNEPの支援法人でJICAなどの委託で途上国からの研修生の研修などを行っている組織で、大阪府、大阪市と旧環境庁、そして外務省の肝入りで作られたんだ。
で、ボクは昔、環境庁の環境研修センター所長をしていたもので、研修のプロとして、研修プログラムをどうしたらいいかなどを議論する委員会の座長を引き受けさせられたんだ。
Aさん―(疑わしそうに)研修のプロ? ホントかな?
H教授―(慌てて)ま、多少はそういうのもあったと思うよ。
本音のところは、事務局の言うことをちゃんと理解してくれる役人OB、それも顔見知りの奴がいいということになったのかも知れないけどね。