一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州環境庁、森林火災対策には自然を活用した解決策が重要と報告
【自然環境 その他(自然環境)】 【掲載日】2025.11.12 【情報源】EU/2025.10.29 発表
欧州環境庁(EEA)は、森林の火災リスクを低減し、気候変動レジリエンスを高めるうえで自然を活用した解決策(NbS)が重要だと報告した。EEAが公表したブリーフィング(注)の要点は以下のとおり。
・欧州では気候変動や都市化、農地の放棄が進み、全域で森林火災が頻発・甚大化している。2000〜2024年には、年間平均3,770km2の土地(スペインのマヨルカ島の面積に相当)が火災に見舞われた。
・欧州の陸域の7.4%は、火災が発生しやすい林野と人の生活圏が隣接する高リスク地域である。
・火災対策の重点を、これまでの緊急対応と消火から予防と回復へと移す必要がある。NbSは、火災リスクの低減、森林の回復力や耐火性の向上、他の気候変動リスク(害虫被害など)に対する耐性の強化につながり、火災の管理において重要な役割を果たし得る。
・NbSは、地域の実情(リスクやガバナンス、社会経済的状況、等)に応じて選ぶ必要がある。利害対立(経済的利益と自然保護目標、等)を避け長期的な成功につなげるには、関係者の早期参画が欠かせない。
(注)「火災に強い森林へ:自然を活用した解決策」(Nature-based solutions for fire-resilient European forests)
NbSの例として以下が挙げられている。
火災リスクの低減や管理:再野生化、耐火性のある植生の優先導入、グリーンインフラ、防火緑地帯・緩衝緑地帯の整備、自然に近い適応型の林業、アグロフォレストリー、放牧管理、再湿地化と水循環の回復、枯死木の管理、火入れ
火災後の管理:在来種や多様な樹種による再植林・造林、自然再生、土壌侵食対策、土壌微生物群の回復
【欧州環境庁】