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環境ニュース[国内]

ジフェニルアルシン酸の健康影響に関する調査研究結果を公表

健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2006.11.29 【情報源】環境省/2006.11.22 発表

 有機ヒ素化合物・ジフェニルアルシン酸(DPAA)とその関連物質の健康影響に関する調査研究を進めてきた環境省は、平成18年11月22日までにこれまでの研究成果をまとめ、公表した。
 環境省の調査研究は、茨城県神栖市の井戸水から高濃度のジフェニルアルシン酸が検出された問題に関連してスタートしたもので、毒性研究班、臨床研究班、分析研究班、疫学研究班、サポート研究班の5班体制で進められてきた。
 このうち毒性研究班では、ジフェニルアルシン酸の体内動態、代謝、作用する生体物質、毒性発現機構などを解明するため、実験動物や培養細胞を利用した研究を進め、ジフェニルアルシン酸の生体への吸収率が高く、特に脳への分布が比較的高いことをラットを使った代謝過程研究で解明したほか、培養ヒト肝細胞を使った実験で、細胞内グルタチオンがジフェニルアルシン酸と反応して複合体を作った場合、強い細胞毒性を示すことをあきらかにした。
 また臨床研究班では、ジフェニルアルシン酸にさらされた人に対し、単光子放出断層撮影法(SPECT)検査を実施し、成人では小脳の血流低下がばく露後1〜2年以降から徐々に改善されるものの、小児では小脳、内側側頭葉、後頭葉で血流低下が持続する症例が見られ、精神運動発達遅滞が持続する症例も認められたという報告をまとめた。
 さらに分析研究班では、試料の測定手法確立に向けた前処理法の研究、ジフェニルアルシン酸とその関連物質、モノフェニルアルソン酸(MPAA)、フェニルメチルアルシン酸(PMAA)同時分析が可能な新分離、検出条件を検討。
 疫学班では、ジフェニルアルシン酸にさらされたことによる中長期的な健康影響の有無を明らかにするため、医療手帳を交付された健康被害救済事業の対象者を対象に追跡研究に着手した。
 このほか医療手帳交付者が日常生活を営む上での問題点把握と改善のための支援策を検討することを目的に設置されたサポート研究班では、医療手帳交付者を対象にしたアンケート調査を実施し、子供のいるの世帯の多くで「子供の体調不良」、「保護者の精神・心理面での問題」、「子供の精神・心理面での問題(元気がない、落ちつかないなど)」がが選択されていることを把握したとしている。
 環境省では今後もジフェニルアルシン酸と関連物質のの健康影響調査研究を継続していく方針。【環境省】

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