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環境ニュース[海外]

中国 環保総局、全国石油化学工建設事業の環境リスク調査結果を公表

環境行政 行政資料】 【掲載日】2007.05.25 【情報源】中国/2006.07.11 発表

 国家環境保護総局の潘岳副局長は7月11日、松花江事件後に開始した全国石油化工プロジェクト環境リスク調査事業の完了を発表した。結果によれば、総投資1兆152億元近くある7555件の石油化工建設プロジェクト中、81%は河川水域、人口集中区域などの敏感な区域にあり、45%は重大リスク源となっている。
 今回調査対象である7555件のプロジェクトのうち、国家級プロジェクトが127件あり、環境保護総局と各省級環境保護局が調査を実施した。省級以下のプロジェクトは7428件あり、各地の環境保護部門が調査を行った。中国石油天然気集団公司、中国石油化学工業集団公司の二大石油化学工業公司も各自所属企業の155件のプロジェクト調査を行った。
 全7555件のプロジェクト中、河川湖沼、沿海、ダム沿岸に設置されるプロジェクトは1354件あり、17.9%を占める。都市付近や人口密集区域にあるプロジェクトは2489件あり、32.4%を占める。飲料水源保護区上流(10km)にあるプロジェクトは280件で、3.7%を占める。大河川主流には535件のプロジェクトがあり、7%を占める。南水北調水源地・沿線にあるプロジェクトは100件で、1.3%占める。三峡ダムにある事業は86件、1.1%を占める。127件の国家級プロジェクトのうち、9件は河川湖沼沿岸にあり、7.1%を占める。都市付近や人口密集地区は60件あり、42.7%を占める。生活(生産)水源、自然保護区、重要な漁業水域と希少水生物生息地には37件あり、29.1%を占める。
 中国石油化工産業には、去年から続く突発的水環境汚染事故の激増に端を発する、深刻な立地性環境リスクがある。これらは、過去数十年にわたる産業構造不適切の蓄積によってもたらされたもので、環境安全措置の強化や産業構造調整から挽回するしかなく、短期間での抜本的な解決は見込めない。現在四級環境保護部門は既に3745企業に対して改善命令を出し、49企業には移転を求めた。歴史的な原因で形成された立地が不適切な開発区・企業には、新規事業による既存事業改善、整理・移転・閉鎖や産業構造調整などの措置により改善することとした。適切な措置を採れないものには、新プロジェクト建設の許可は出さない。
 今回の調査は、中国の環境影響評価事業に存在する弊害を明確にした。これらのプロジェクトは、個々を見れば環境保護基準に達しており、先進的基準に達しているものさえあるが、区域の環境容量つまり区域全体の計画からみれば、プロジェクトが集中しすぎて不適切である。しかし現在の環境影響評価制度は、単独のプロジェクトを評価することしかできず、プロジェクトが属する区域(産業)全体の発展計画に対する評価はできない。この状況こそが、「先進環境保護プロジェクト」が「重大な環境事故」を起こすという矛盾をもたらしている。
 この局面を打開するには、区域・石油化学産業の関連計画に対して環境影響評価を行わねばならない。環境保護を、早い段階からマクロ的意思決定に取り込ませ、これまでの消極的受動型から積極的能動型に、事後補填型から事前予防型に転換させる必要がある。
 中国は今、新たな高度経済成長の段階にあり、石油化学産業はその主役である。速やかに環境影響評価法の改定や計画環境アセスを行わねば、全体からの環境リスク予防の実現は難しく、新しいリスクが引き続き存在し、突発事故も発生していくことになり、人々の環境安全も保障できなくなる。これは、環境保護活動が新時代に直面する、最も深刻な挑戦である。【中国国家環境保護総局】

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