一般財団法人環境イノベーション情報機構
欧州環境庁、二酸化炭素回収貯留が大気汚染に影響するとの報告書を公表
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2011.12.02 【情報源】/2011.11.17 発表
欧州環境庁は、CCS(二酸化炭素回収貯留)技術は、二酸化炭素排出削減の利点と大気汚染とのトレードオフになるとする報告書を公表した。CCSは、発電所や製鉄所等から排出される二酸化炭素を、大気中に放出せずに回収して地下深く注入する技術で、全体として大気汚染の問題にはプラスに働くが、アンモニアや窒素酸化物、粒子状物質など特定の大気汚染物質の排出にもつながるという。報告書によると、CCS技術を用いた場合、通常より多くのエネルギーが必要で、そのために使用する燃料も増加するため、設置施設が直接排出する汚染物質が増加するほか、追加的に必要な燃料の採取や輸送からの間接的排出も増大する。報告書では、利益と汚染物質排出とのトレードオフを、主要汚染物質ごとに特定するとともに、2050年までのライフサイクルにわたるケーススタディーを3つのシナリオにより検討し、CCSが、欧州で普及した場合の汚染物質排出への影響を提示した。
報告書では、こうしたトレードオフを考慮すべき側面はあるものの、EUで低炭素経済が実現するまでの数十年間は、CCSは「つなぎの技術」として重要であるとしている。【欧州環境庁(EEA)】