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環境Q&A

吸着式冷凍機を扱うにあたって 

登録日: 2006年08月04日 最終回答日:2006年08月24日 エネルギー 省エネルギー

No.17813 2006-08-04 04:31:03 なかさん

吸収式冷凍機は以前から生産技術者として
知識はあるのですが、温排水の利用方法として
吸着式冷凍機があると聞きました。
見たことがないのでYAHOOなどで検索しまして、
大体の事はわかりましたが、
(メーカから資料も取り寄せました)
実際に吸着式冷凍機を御検討、ご利用になられた経験
の有る技術者様にメーカの資料では判り難い
「こんな不便さが有る」「こんなとこはいいよ」
などのお話をお聞かせいただけないでしょうか?
吸収冷凍機はメンテナンスに問題が有ると思っており
吸着式冷凍機もそうなのではないか?
と思ってしまいます。
御教授をお願い致します。

PS・以前の書き込みで質問内容が不適切との指摘がありましたので背景を詳しく書いて投稿させて頂きました。

総件数 2 件  page 1/1   

No.18058 【A-1】

Re:吸着式冷凍機を扱うにあたって

2006-08-23 19:19:04 開発学生

こんにちは なかさん はじめまして。

 私は大学で吸着式冷凍機の研究を2年ぐらいしている学生です。偶然、こんなトピックを見つけましたので簡単にですが、質問に答えさせていただきたいと思います。


 一般的に、吸着式ヒートポンプは同サイズの吸収式ヒートポンプと比べると、

 ・単位体積当たりの出力が小さい
 ・変換効率が低い

 という大きな欠点を有しています。これに起因してコストも高くなっています。特に後者は原理的なものであるので致命的といえます。

 また、長所としては、

 ・シリカゲル・水系で65℃程度まで出力が期待できる。
 ・メンテナンス費用が安い
 ・安全

 といったあたりが長所でしょうか?

>吸収冷凍機はメンテナンスに問題が有ると思っており
>吸着式冷凍機もそうなのではないか?

 吸収式のメンテナンスは、詳しくは知らないのですが内部での水素発生と、その抑制用の吸収合金の交換ではないかと思うのですが、吸着式では水・シリカゲルの組み合わせですと、適切な材質で熱交を構成する限りはあまりメンテナンスは必要ありません。(真空ポンプを附設できるような大型施設だとほぼノーメンテだと思います)。ただし、真空弁や電磁弁の寿命はあります。

 開発レベルでは、上記の出力が小さいという問題はほぼ解決していています。大きなものを設計したことがないので自信を持ってはいえませんが、吸収式よりも小型のものが出来つつあります。(吸着速度が従来に比べ研究室レベルでは最大20倍程度向上しています)。

 変換効率については、吸収式と比較するとかなり低くて排熱の有効利用といいつつ、定義が難しいですが狙った冷熱出力にたいして、たとえば80℃の熱が(30℃基準で)100あったとして 使えるのは60℃程度までで後は捨てるとすると

 (80-60)/(80-30)*100*変換効率として考えると

10 〜 30 ぐらいの冷熱しか得ることが出来ません。

 吸着ヒートポンプを経由した排熱がシステムのほうに戻っていく場合ですと だいたい 40〜60ぐらいの冷熱を得ることができます。 吸収式は100を超える出力なので代替となると厳しいです。(市販のものはもう少し高いようです)。


 この辺が実際の導入の際にはデメリットといえると思います。

 以上簡単ではありますが、吸着式冷凍機の長所と短所をまとめてみました。(ちょっと訂正しました)。

No.18062 【A-2】

Re:吸着式冷凍機を扱うにあたって

2006-08-24 02:56:42 開発学生

 余談ですが、9月に、東京国際フォーラムで行われる

 http://expo.nikkeibp.co.jp/innovation/

 に、最新型の吸着式冷凍機のミニチュアを出展する予定でいますので見に来ていただけると詳しく説明することができます。

 1000文字を超えたので連続投稿になってしまいました。 

 

回答に対するお礼・補足

御投稿ありがとうございます。
吸着式冷凍機の技術はまだまだ進歩の可能性があるのですね!
現状の吸着式冷凍機が性能アップするまであと何年くらいかかりそうですか?
現状機の導入は待ったほうがいいのですかね?
できれば展示会にも足を運んでみたいです。

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