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環境Q&A

環境会計、監査などについて 

登録日: 2004年06月22日 最終回答日:2004年07月03日 エコビジネス 環境報告書

No.6489 2004-06-22 11:23:53 じろう

今後、環境会計、報告書、監査というものが
財務諸表と同様に重視されてくると思うのですが
監査をする第三者機関としては、やはり
現在の監査法人が主流になってくるのでしょうか。
そうすると、やはり会計士の資格を持たないといけないのでしょうか?

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No.6583 【A-1】

Re:環境会計、監査などについて

2004-06-28 23:01:45 津田沼やどかり


以前私も同様の事を考えていました。

私は環境会計だけをほんの少しだけ学び、就職に結び付けようと考えていました。
しかし、いくら環境会計を(少しだけとはいえ)学んでいても会計の知識がなければうまく環境会計の知識を活用できないのではないか!?
…このように考え、いろいろと調べた結果公認会計士の資格を目指している最中です。

現在会社が適正な公表をしているかどうか? その財務諸表を監査するために公認会計士という資格を持つ人たちが監査業務を行っているのはご存知のとおりです。

その公認会計士に新たに『環境を監査する』という業務が増えていくだろうと私も予想するところです。
実際に日本公認会計士協会が「我が国における環境会計の課題と今後の発展方向」という内容の研究報告もだしています。
この研究報告は、環境会計計算書体系の具体化へのステップとして、それがどのような指標でどのように評価しうるのか、その将来像を検討したものです。

私は勉強中の身であり実際に働いているわけではないので間違った表現かもしれませんが…、
公認会計士の監査業務における基準は統一されたものです。
つまり監査を行う基準が設けられ、仮に私が監査をしようと他の誰がしようと同じ結果がでるように基準が設けられます。
上記のような報告書も環境会計に対してどのような基準をつくるか、というのを議論している段階だと認識しています。

このように会計士の世界でもいまだ基準というものは確定しておらず、この基準作りが会計士ならず他の団体でも試行錯誤しています。



前置きが長くなってしまいましたが(とっくにご存知であったならば申し訳ない)、企業から出される環境報告書が増え続け、または環境報告書の公表が義務付けられるなどした場合、環境報告書の第三者認証はさらに必要性を増すでしょう。

そこで名乗りをあげてくる団体の一つに間違いなく監査法人がいると思われますが、他にもJACO(日本環境認証機構)や財団法人日本品質機構(JQA)などもでてくるのではないか?と思います。
根拠は、監査ではないのですが、排出権取引の評価・検証事業で名乗りを上げているからです。
-----------(以下へ続く)-----------

No.6584 【A-2】

Re:環境会計、監査などについて

2004-06-28 23:13:47 津田沼やどかり

-----------(続きです)-----------


また、現在ロシアが京都議定書の批准に前向きな姿勢をみせており、ロシアが批准すれば京都議定書が正式に発行され排出権取引も活発になるといくと予想されます。

この京都議定書が発行されればますます環境報告書の公表は重要性を増し、環境監査の必要性は必然的に増していくと思われます。

監査法人は以前から財務諸表の監査業務を行っていただけに環境監査の基準が整えば、環境監査業界の大きな一手を担うのではないでしょうか。
ただしこの環境監査業務を専門にするような企業が出てくる事も予想されます

これだけ長く書きましたが結局のところ未来の予想は難しいものですね。
私はおそらく監査法人に可能性が大きくあると思っていますが…。
そうすると現行では会計士の資格も必要ですが、将来は環境監査の資格が新たにできるのかもしれません。(そうなれば現行の会計士の資格は必要ないかもしれませんが…)


最後に会計士に限らずどの業界でもそうだと思いますが、希望の企業に入れても希望通りの配属になるかどうかはわかりません。(もちろん努力次第で希望が叶うかもしれませんが、残念ながら逆もしかりです…)

もし私のような状況で公認会計士の監査業務が将来環境監査業務も含まれる、もしくは会計士から転職するための一歩等として会計士を目指すのであれば、(将来そのような状況にならなかった事も考えて)現状での財務諸表をチェックする監査業務もやっていこうと思うかどうか? …という点も考えてみるといいかと思います。

No.6585 【A-3】

Re:環境会計、監査などについて

2004-06-29 09:55:10 東京都 / ちしゃ

環境監査の審査員の資格は会計士資格とは違います。

http://www.eic.or.jp/QA/bbs02.php3?serial=1149 
にも書きましたが、
くわしくは
財団法人日本適合性認定協会 審査員になるには
http://www.jab.or.jp/mas/mas_jud_01.html

社団法人産業環境管理協会 環境マネジメントシステム(EMS)審査員Q&A
http://www.jemai.or.jp/CACHE/ems_details_detailobj137.cfm
をごらんください。

審査員をしている知りあい2名は
環境について関わった経歴は長いですが、いずれも会計士資格は持っていません。
津田沼やどかり さんが書かれたように
監査法人のほかに、財団法人などが審査機関となっている場合もあります。

参考 財団法人日本適合性認定協会 ISO140001審査登録機関一覧
http://www.jab.or.jp/cgi-bin/jab_examination.cgi?list_proc=2

なおもちろん、会計士資格を持っていて環境監査に関わっている人ももちろんいます。

No.6589 【A-4】

Re:環境会計、監査などについて

2004-06-29 15:09:01 民間担当

監査を受けることになる、民間企業の立場から「希望」を述べさせてもらいます。

財務諸表の監査は「単独決算ベース」の財務諸表を基準としたものから出発しており、一定期間での資産/負債を原価で評価する「期間損益計算書」による『利益』主導型でした。それが、数年前あたりから、投資家への情報提供を主体とする国際会計基準の流れに沿って、資産/負債の時価変動を反映した「キャッシュフロー計算書」による、『実態』主導型に変わってきました。それでも、この「流れの変化」は、従来の会計処理にある程度の「事業のセグメント分け」をすることで、従来と同じ企業業績指標として「損益計算書」「貸借対照表」を示せばなんとか通用しています。

一方で、環境パフォーマンスとしてステーク・ホルダーに対する情報開示が求められる「環境会計」は、「情報提供」「会計」という同一表現ゆえに、「財務会計」との一体化が求められる傾向にあります。

新しい「環境会計」として定着しつつある「マテリアル・フロー・コスト会計」は、投入資源が入ってきてから出ていくまでの、工程在庫や工程ロス(廃棄物)を加味したマテリアル・フロー・モデルが基準となります。この考え方に、人件費や減価償却費などの企業内部で発生しているコスト、配送や廃棄物処理費などの外部支払いコストなど、従来からの「会計処理」で扱っていたデータを同化させるには、それらの構成要素を明確にしなければならないと思います。

そういう両者の基本を理解している方が、我々、民間企業に対する会計監査,環境会計監査,環境報告書の第三者監査をおこなってくれるのであれば、民間企業としても受け入れ易いのですが、逆に、財務会計はこれまで通りの基準のまま財務省の監視の下におかれ、環境会計は環境省独自の基準に基づいた報告と監査の義務が生じることになるのであれば、民間企業は基データの二重管理が必要になる可能性があります。

そういうことは何とか避けたいという思いから、民間企業の立場としては、なんとか会計士の資格を併せ持って頂きたいと願うものです。

No.6662 【A-5】

Re:環境会計、監査などについて

2004-07-03 02:02:12 津田沼やどかり

質問者のじろうさんではないのですが、私(津田沼やどかり)にとっても興味深い話題なので返信させてください。
以前の返信は長い文を書いている間にだんだんと自分の考えが幾分それてしまったようです…。

じろうさんのおっしゃる内容の“監査”というのが、ちしゃさんが教えてくださった環境監査なのか、それとも会計上の環境監査なのかによって違うのかもしれません。
(見当違いの意見ならばすみません…。)

ISO14001に代表される環境監査は欧州から発祥され、海外との取引で会社の環境に対する信頼性を増すために取得する企業が多いと理解しています。
ただしこのISOは取得した企業は、環境対策において一定レベル以上あるというものを示すものではなく、常に環境に対して配慮し続け持続している… という事を証明しているものであり、取得を義務付けられてはいません。

会計上の環境監査として着眼します…
環境会計が重視された場合、その会計としての環境監査を行うのはやはり監査法人が現時点では有効だと思います。

理由は民間担当さんがおっしゃった事が背景にあります。
私の意見は、環境会計として定着しつつある「マテリアル・フロー・コスト会計」に従来の財務諸表で管理してきたデータを使用したほうが新たな労力を最低限にでき、そのデータを活用するには会計士が行うのが一番妥当だと思うから。
ISOを審査する環境監査委員の方は会社の環境対策を持続していく専門家ではありますが、会計の専門ではありません。

環境会計・環境報告書が今後ますます重要視されれば一定の様式が求められるのではないでしょうか。(単純比較できる部分が求められていく?)
その際にやはり財務諸表のようにきちんとしたルールのある環境会計になっていくだろうし、環境報告書に関してもそのルールに則った環境会計の開示が含まれるでしょう。

環境会計についていえば会計士の資格があったほうがいいと思います。
しかし、環境報告書の監査としては必ずしも会計の知識が必要ではないと思います。おそらく第三者認証機関などどちらかというと環境の分析実験のように検証化学の知識のほうがいいのかもしれません。
(ISOの)環境監査についてはちしゃさんがおっしゃるとおりすでに機関があるので目指すのならばちしゃさんの回答をご覧ください。

回答に対するお礼・補足

お返事たくさんありがとうございましたっ
まだまだ試行錯誤の段階なのはみなさんの意見からも
よくわかります。以前、地球環境経済サミットというもの
に参加したのですが、そのときにも環境監査は各産業によっていろいろであり、統一基準を定めるのが難しいようでした。
 しかし、環境問題に対して解決するにも「資金」が必要不可欠です。いまあらゆる無駄な資金の使われ方がなされるなか、環境(広い概念で。低農薬農業分野や、持続可能な森林管理、新エネルギー産業など)対応業界へうまく資金が流れる「動き」「仕組み」などを作製、維持していくことが重要だと思うのです。興味がある動きのなかに、排出権取引などがあります。これは、売却価値を有するので貨幣評価することができます。ということは、会計士の監査領域にも充分含まれる概念だと感じました。
 やどかりさんがおっしゃるとおり、議定書は私も発効されるときが近いと思っています。そして、排出権取引(もしくは環境税なども導入されるかもしれませんが)を中心に、「環境対策をする企業」が評価され、持続可能な企業として生き残れる社会になるでしょう。金融機関としての融資もおそらくそうした企業への融資により、排出権を獲得できるようになるのかもしれません。
 私は、企業活動にとって欠かせない会計士のなかでも、今後は環境会計士のように専門化していく人が増えてくると思っています。人々が、環境対策をしている企業に「投資したい」と思えば思うほど、「第三者のチェック」が必要になってきます。最終的に持続可能な社会をめざす気持ちはみなさん変わらないと思います。私は、そのために「資金の流れ」をエコロジーにするべく会計士の勉強をします。環境問題を考えると、いろいろな分野で活躍する人が各々の分野でエコロジーにすることが大切です。
 ちなみに、排出権に関して、海外へ植林するにせよ現地の生態系を考えずに、成長の早い樹木を植えることは問題とされています。やはりきちんとした「ルール作り」もことさらながら、重要ですよね。
 あれこれ考えてもきりがありません。自分たちの力で会計士の業務を広げていけばよいと思っています。まずは一歩として会計士をめざしますっ

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