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目次
魚類野生生物局の年間予算
【2】ダックスタンプ(渡り鳥狩猟許可証)
 切手のようなデザインとなっていることから「スタンプ(切手)」と呼ばれている。渡り鳥の狩猟を行うハンターは、この切手を購入し各州発行の狩猟許可証に添付しなければならない。

No.218

アメリカ横断ボランティア紀行(第35話)
魚類野生生物局の予算

Issued: 2013.03.01

魚類野生生物局の予算[2]

魚類野生生物局の年間予算

魚類野生生物局の予算書、グリーンブック
魚類野生生物局の予算書、
グリーンブック

 アメリカ内務省が取りまとめている予算書(Budget Justifications、 通称グリーンブック)によれば、私が研修を行なっていた2004年度の魚類野生生物局の予算額は合計19億7,154万ドル(約1,676億円)、うち一般会計分が13億343万ドル(約1,108億円)、特別会計分が6億681万ドル(516億円)であり、予算額に占める特別会計の割合は34%である。ちなみに、現在の2012年度予算額は24億2,907万ドル(約2,065億円)であり、2004年に比べて13%ほど増えている。しかしながら、近年の米国政府の財政状況を反映してか、2012年度、2013年度予算要求額はいずれも前年度を下回っている。また、特別会計の割合はほぼ40%に達している。

 一方で、定員は2004年度と2011年度がほぼ同程度だったものの、2012年度に減少し、2013年度要求でも減少傾向にある。予算額は増加しているものの職員数は頭打ちになっていることがわかる。

【表1】米国魚類野生生物局予算額推移 (単位:千ドル、人)
2003年度
成立
2004年度
成立
2011年度
成立
2012年度
成立
2013年度
要求(*)
2012年度予算対
2004年度増減
金額/人員
一般会計 1,243,617 1,303,433 1,505,130 1,475,571 1,347,586 172,138 13.21
特別会計
(特別会計の割合:%)
660,675
(34.7)
668,103
(33.9)
987,770
(39.6)
953,494
(39.3)
994,731
(42.5)
285,391
(-)
42.72
(-)
合計 1,904,292 1,971,536 2,492,900 2,429,065 2,342,317 457,529 23.21
定員 9,305 9,500 9,508 9,368 9,290 -132 -1.39

 *:一般会計に、沿岸影響評価補助プログラム(CIAP)の非義務的経費の支出見合わせ分2億ドル減額分を含む。

 これに対し、同時期の国立公園局の予算をみてみると、2004年度予算額は合計25億5,699万ドル(約2,173億円)である。単純に比較すると、魚類野生生物局の予算は国立公園局の予算の8割にも満たない。また、国立公園局の2012年度予算うち一般会計分が22億5,858万ドル(約1,920億円)であるのに対し、特別会計分は2億9,841万ドル(約254億円)と、予算額に占める特別会計の割合は11.7%に過ぎない。これは、同時期の魚類野生生物局予算と比較するとほぼ3分の1だ。国立公園の入場料収入に依存する割合が増えつつあるとはいえ、まだまだ一般会計が9割近くを占めている。

【表2】米国国立公園局予算額推移 (単位:千ドル、人)
2003年度
成立
2004年度
成立
2011年度
成立
2012年度
成立
2013年度
要求(*)
2012年度予算対
2004年度増減
金額/人員
一般会計 2,241,930 2,258,580 2,611,419 2,579,620 2,578,650 321,040 14.21
特別会計
(特別会計の割合:%)
303,630
(11.9)
298,414
(11.7)
391,953
(13.1)
404,003
(13.5)
407,480
(13.6)
105,589
(-)
35.38
(-)
合計 2,545,560 2,556,994 3,003,372 2,983,623 2,986,130 426,629 16.68
定員 20,574 20,442 22,051 21,907 21,689 1,465 7.17

 一般会計の割合が高いということは、米国民の意思を代表する連邦政府議会がその必要性を認め、国の予算を配分していることを示している。これに対して特別会計は特定の受益者が納入する税金や入場料によって支えられているから、それらの受益者が納得すればよい。米国民一般の支持は必要ない。もちろん、この場合、特定の受益者グループの意思や要望がより強く政策に反映されることとなる。
 乱暴な言い方をしてしまえば、一般会計、特別会計にかかわらず、予算額はその政策の人気投票のバロメーターということができる。もちろん、一般会計予算には特定の「色」がついていないため、使途にも自由度がある。その代わり国民の広い支持と議会での厳しい審議を経る必要がある。これに対し、特別会計の方は財源が明確であるため、毎年確実に予算が確保できるが、「パトロン」の意向は無視できない。
 芸能人に例えれば、一般会計は一般の視聴者からの支持であり、どうなるかわからない視聴率が目安になる。「国民的アイドル」である国立公園は、こちらのグループといえる。国民的な支持を得るために、スキャンダルを避けながら、常にすべての国民に愛されるイメージを維持しなければならないという苦労がある。
 一方で、特別会計はファンクラブからの収入のようなものだろう。主にハンターなど一部の根強いファンに支えられている国立野生生物保護区は、どちらかというと特別会計組だ。こうしたファンの気持ちが離れないようにイメージを維持する必要がある。ところが、ファンの中には野生生物愛好家や野生生物保護団、環境保全団体などの全く異なる志向のグループもあり、そうした人たちのバランスも重要だ。もちろん、できれば将来的には国民的なアイドルになりたいという気持ちが少しはあるのかもしれない。
 ここで注目したいのは、魚類野生生物局はあえてこうした予算配分を選んでいるのではないかということだ。保護区の規模やカバーしている行政分野を考えると、国立公園の管理に特化する国立公園局よりも大きな予算が必要になるはずだ。しかしながら、野生生物の保全を第1のミッションとする魚類野生生物局は、国立公園局のようには国民の支持が得られない。野生生物の保全のために規制を行なったり、一般の利用を制限したりしているからだ。これに対して国立公園局は、国立公園の「保護と利用」の両立をミッションとしている。公園を訪れるビジター(≒有権者)へのサービス向上が組織の目的のひとつであり、そのために施設を充実することも必要となる。パークレンジャーを数多く配置し、利用施設を管理するためにはより大きな予算と組織が必要となり、それが引いては予算・定員の増強につながる。その代わり、そうしたミッションを実現する過程では、自然保護とのトレードオフが避けられない場合もある。
 魚類野生生物局は、「Wildlife Comes First(野生生物優先)」を貫くため、あえて少ない予算や小さい組織で効率的に業務を遂行する体制を選択しているように思える。日本で国立公園や野生生物保護行政を担っている環境省も、どちらかといえば後者に近いといえる。第33話でも指摘したとおり、日本の環境省にとっては、おそらく魚類野生生物局の仕組みの方がより参考になると思われる。それがまた日本の状況により適した国立公園管理の姿を見出すことにもつながるのではないだろうか。

妻のひとこと

魚類野生生物局国際課のプレゼント交換会の様子
魚類野生生物局国際課のプレゼント交換会の様子

 クリスマスが近づいたある日、職場の人たちでクリスマスプレゼントの交換会がありました。職員それぞれ持ちよったプレゼントをゲーム形式で選んでいくのですが、皆さん本気。いつもは環境保全や動物保護を真顔で語っているのに、子どものようにはしゃいでいました。私たちには歌をうたうカエルのパペットが当たりました。実際に聞こえてくる歌はあまりよくききとれず、いまだに何の歌かわかりませんが、楽しそうな歌をうたってくれます。
 アメリカでは、クリスマスに限らず、様々な場面でプレゼントを贈ったり交換したりすることがあるようです。ケンタッキー州やカリフォルニア州にいたときもそうですが、皆さんのプレゼントは、自分では買わないようなくだらないもの(失礼)、おもしろいもの、笑えるもの、もしくは実用的なものが多いのが印象的でした。
 日本では、プレゼントというと特別で高価なものを贈るという感じもありますが、アメリカの人たちは、あまりお金をかけなくても、よく相手の必要なものや似合うものを探すのだが上手だなと感心させられました。そのなかにユーモアもあって、今後プレゼントを選ぶときにまねしたいなあというものが多かったと思います。贈り物のラッピングはお店でやってもらうのではなく、包装紙やリボンを使ってそれぞれが工夫します。プレゼントをもらうとその場でこうした包装をあけて(大抵はビリビリとやぶって)、何とも気の聞いたコメントやうれしそうなリアクションをしてくれます。そして何といってもうれしいのがメッセージカードでした。アメリカのプレゼントは、贈られるモノだけではなく、包装、メッセージ、贈るタイミング、受け渡しの様々なやりとりがセットになっていて、後味が暖かく思われました。ただ、帰国前に一番困ったのもそうした贈り物でした。

プレゼントをそれぞれが選んでいきます
プレゼントをそれぞれが選んでいきます

カエルのパペットでした!
カエルのパペットでした!

私たちのプレゼントはゴリラのぬいぐるみでした
私たちのプレゼントはゴリラのぬいぐるみでした

【参考1】魚類野生生物局の特別会計について

 ここで特別会計としているのは、連邦政府予算のうちpermanent appropriationsとよばれる予算項目である。連邦議会に提出される予算書には含まれており、それぞれの予算項目ごとに使用できる予算額の上限などが定められる。
 特別会計の中で予算額が大きい項目は、釣魚回復基金(釣具等に課税)、野生生物回復連邦補助(狩猟のための火器、弾薬などに課税)、渡り鳥保全法に基づく渡り鳥保全会計(渡り鳥狩猟許可証収入を財源)などである。
 国立野生生物保護区等の入場料収入などを財源とするフィーデモンストレーションプログラムは、入場料金が比較的安く設定され、利用者数も国立公園に比べ少ないため予算額は小さい。
 国立魚類野生生物財団(National Fish and Wildlife Foundation)という連邦議会により設立された魚類及び野生生物保全のためのNGO組織がある。この組織は、これまで20年間「保全切手(annual conservation stamp)」を毎年発行することによって多額の収入を得て、その一部を保護区に寄付金として還元している。この寄付金は厳密には政府の特別会計とは異なるが、非狩猟者層による野生生物保全関連収入の例である。
【表3】米国魚類野生生物局2005年度予算要求の概要(PDF:72KB)

魚類野生生物局の特別会計主要予算項目の概要

(1)フィーデモンストレーションプログラム(Recreation Fee Demonstration Program)
 フィーデモンストレーションプログラムは、1996年度の多目的予算法(FY1996 Omnibus Appropriations Act)により創設された制度である。この制度によって、国立野生生物保護区等の入場料金及びその他徴収料金の最低8割を、料金が徴収された保護区で使用することが可能なった(ただし使途は、ビジタープログラム及び利用施設の維持や改善目的に限られる)。
 2003年度末現在で109ヶ所の承認サイト(国立野生生物保護区108ケ所、国立魚類孵化場1ヶ所)があり、2003年度の徴収金額は377万ドル(約3億2045万円)であった。そのうち368万ドル(約3億1280万円)が徴収経費、ビジターサービス改善、及び施設の大規模修繕などのために使用された。
 この制度が設立される以前には、緊急湿地・湖沼資源法(Emergency Wetlands Resources Act of 1986)に基づく「保護区レクリエーションフィープログラム(Refuge Recreation Fee Program)」という類似の制度があり、65ヶ所の野生生物保護区で、1年当たり220万ドル(約1億8700万円)の料金収入を上げていた。このプログラムに参加していた保護区は引き続きこの制度が適用され、徴収料金の3割を公園の経費として使用し、残りの7割を渡り鳥保全会計(Migratory Bird Conservation Account、次項参照)に納入する。この会計は、渡り鳥生息地の保全のための用地買収のために使用される。
(2)渡り鳥保全法関係経費(渡り鳥保全会計)
 渡り鳥保全会計は、渡り鳥保全法及び渡り鳥狩猟及び保全スタンプ法に基づいて、渡り鳥の繁殖地等を確保するために、用地買収や地役権を取得するために用いられる。地役権はeasementと呼ばれ、特定の保全目的を達成するために、第三者の有する権利の一部を当事者間の契約により取得するもの。例えば、公道へ出るための通行権を設定する場合や他人の土地を通らないと給排水管などを本管につなげない場合など、土地の権利を購入せず利用権のみを設定する。この予算は、ガンカモ類の繁殖環境を保全するため、繁殖期に農地内の水位を下げる権利や除草をする権利などを魚類野生生物局が購入することにより、沼沢地を維持するなど保全目的に用いられる。
 財源は、特定の火器及び弾薬に対する輸入関税、野生生物保護区入園料、保護区内での権利料金収入、保護区の土地売却代金、ダックスタンプ【2】の販売代金などにより確保されている。2004年度の予算額は4,225万ドル(約44億円)。収益の約58%はダックスタンプ販売収入で、その他、火器弾薬に対する輸入関税(約39%)、国立野生生物保護区入場料のうちフィーデモンストレーションプログラムに該当しないもの(全体の約0.6%)などの財源がある。
 渡り鳥保全会計は、1935年から2003年度までに約7.7億ドル(約654.5億円)の収益をあげた。この財源により、これまで約293万エーカー(約119万ヘクタール)の用地の権利及び約220万エーカー(約89万ヘクタール)の地役権もしくは賃借権が取得された。なお、2003年度に購入された用地の54%に当たる77,870エーカー(約31,526ヘクタール)は地役権の取得によるものであった。
(3)国立野生生物保護基金
 国立野生生物保護区内で得られた収益を、保護区の位置するカウンティー(郡)に提供するための基金。収益の内訳には、木材、土砂の売却、権利料金、牧畜許可料金、土地の公的機関への貸与料金、石油・天然ガス探査及び開発などの使用料などがある。
【表4】北米湿地・湖沼保全基金(2003年度までの実績)
国名 保護された面積
(エーカー)
回復、増進、
創出された面積
(エーカー)
プロジェクト数
カナダ 5,143,210 2,718,772 391
メキシコ 232,743 494,853 160
米国 2,047,501 2,144,447 686
総計 7,423,454 5,358,072 1,237
(4)北米湿地・湖沼保全基金
 北米湿地・湖沼保全法に基づき、米国、カナダ及びメキシコのガンカモ類及びその他の鳥類の生息地を保全するための助成金の提供を目的とした経費であり、その一部が特別会計となっている。財源は、釣魚回復基金及び野生生物回復基金から提供されている。
 北米湿地・湖沼保全基金では、1990〜2003年までの13年間で2,200以上のパートナーの実施する1,237の事業に対して助成を行い、【表4】のような成果をあげている。
(5)絶滅危惧種協力保全基金
 絶滅危惧種法に基づき、非政府所有地における絶滅危惧種もしくはその生息地保全のために、州政府もしくは原住民政府に助成金を提供するための経費。一部が特別会計に計上されている。
(6)釣魚回復基金
 水産資源信託基金の釣魚回復会計を通じて提供される州政府に対する助成金であり、釣り及びボート利用環境の改善を目的としている。財源は、釣り具への課税、釣具、ボートなどへの輸入関税、ボートが使用する燃料への課税などにより確保される。2004年度予算額は3.45億ドル(約293億円)。
 主要な財源構成は、釣具への課税額23%、ボート燃料への課税額47%、小規模原動機燃料への課税額15%などである。
(7)野生生物回復連邦助成金
 野生生物管理のための州政府への割り当て金、ハンターの火器、弓などの使用に関する安全教育などに使用される。財源は、火器、弾薬、弓などへの課税により確保される。2004年度の予算額は2.28億ドル(約194億円)である。この予算は、州政府の野生生物の重要な財源となっており、予算の配分は各州のハンター人口などに応じて行われる。もともと州政府の野生生物保護行政は狩猟の対象となるガンカモ類等の保全に重点が置かれているが、この助成金制度はその傾向に拍車をかける結果となっている。
(8)寄付金
 魚類野生生物保全活動の支援のために提供される、他の政府機関、民間組織、及び個人からの寄付金を財源としている。金額はまちまちであるが、毎年120〜560万ドル(約1億〜4億7600万円)程度である。2003年度には合計で234万ドル(約2.5億円)の収入があった。なお、ビジターセンター建設を目的とした寄付金は、特別な寄付金事業として取り扱われる。
(9)その他の特別会計
 主に国立野生生物保護区内の職員宿舎の家賃収入を財源とし、宿舎などの補修費用として使用される予算である。2003年度現在で、199ヶ所の国立野生生物保護区において宿舎658棟(885ユニット)、及び60ヶ所の魚類孵化場において225棟、及び職業訓練センター1ヶ所において2棟の宿舎が運営されている。2003年度の収入額は300万ドル(約3.2億円)。

【参考2】野生生物保護区システムについて

国立野生生物保護区システム概念図(面積などは図書記載のものをそのまま使用)
【図2】国立野生生物保護区システム概念図(面積などは図書記載のものをそのまま使用)
出典:Robert L. Fischman(2003): The National Wildlife Refuges: Coordinating a Conservation System Through Law, Island Press, pp.277 「Figure 2-1 Taxonomy of the National Wildlife Refuge System」を一部改変して翻訳
※拡大図はこちら

 魚類野生生物局の所管する国立野生生物保護区システム(National Wildlife Refuge System)は、野生生物及びそれらの生息地保全を目的として設立されたものであり、大きく保護区(refuges)と調整地域(coordination areas)とに二分される。後者は、魚類野生生物局所有地であるが、管理は州政府により行われている。連邦政府と州政府は協力協定もしくは土地の長期貸借契約を結んでいる。
 保護区は、さらにガンカモ類繁殖地域(waterfowl production areas)とその他の国立野生生物保護区とに分けられる。このその他の国立野生生物保護区は、システム全体の9,500万エーカー(約3,846万ヘクタール)のうち約97%に相当する9,200万エーカー(約3,725万ヘクタール)を占める(面積は2004年当時)。
 2005年度予算要求書によれば、2003年度現在の年間利用者数は約4,000万人(うち、自然解説活動への参加者数は1,610万人)。保護区における魚類野生生物局職員数は2,800名(定員ベース;メンテナンス担当職員数を除く)であり、その他のべ39,000名以上のボランティアが、1,445,922時間(1,500万ドル=約12おく7500万円相当)の貢献を行っている。これは、魚類野生生物局全体のボランティア数の88%に相当する。また、保護区の協力団体(friends groups)は全国で250団体が組織され、構成メンバー数は約30,000人である。青年職業訓練生(Youth Conservation Corp: YCC)による保護区管理に対する貢献は、金額にして年間100万ドル(約8500万円)程度である。

<国立野生生物保護区内の主要施設>

  • 建築物:5,700棟以上
  • 道路:11,700マイル(約18,720km)
  • 堤防:4,000マイル(約6,400km)以上
  • 柵:13,000マイル(約20,800km)
  • ダム:221箇所利用施設:1,300以上(例:木道、展望台、情報板、船着場など)
  • 水位調整構造物:23,000箇所
  • 自動車・航空機:4,170台(機)
  • 建設機械・農業機械:4,600台

【参考3】魚類野生生物局が所管する主要関係法令

The Lacey Act (1900), The Migratory Bird Act (1918), The Migratory Bird Hunting and Conservation Stamp Act (1934), The Federal Aid in Wildlife Restoration Act (1937), The Eagle Protection Act (1940), The Federal Aid in Sport Fish Restoration Act (1950), The Endangered Species Act (1973), The Marine Mammal Protection Act (1972), The Conservation on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora (CITES) (1975), The Wild Bird Conservation Act (1992), The National Wildlife Refuge System Improvement Act (1997))

【参考4】魚類野生生物局組織の経緯

1871年
米国魚類及び漁業理事会が連邦議会により創設され、食用魚減少の解決策及び魚類養殖の振興のための調査及び勧告を行なうことが委託された。
1885年
経済的鳥類及びほ乳類学課が農務省内に設置された。同課は後に拡充され、生物調査局に改称される。
1900年
「レーシー法(Lacey Act)」が、連邦政府初の狩猟鳥獣保護、違法に捕獲された野生生物の州外への送付及びその輸入を禁止する法律となった。この法律に基づく取締りを生物調査局が担当することになった。
1903年
セオドア・ルーズベルト大統領により、初めての連邦鳥類保留地(Federal Bird Reservation)がフロリダ州のペリカンアイランドに設定され、生物調査局の管轄とされた。ペリカンアイランドや初期の連邦鳥類保留地は、1942年に国立野生生物保護区(National Wildlife Refuge)として再指定された。
1918年
米国と英国(現在のカナダ)間の渡り鳥保護条約実施のため、「渡り鳥保護協定法(Migratory Bird Treaty Act)」が成立した。この法律は、野生生物保護のための立法として画期的なものであり、同法により初めて渡り鳥の狩猟を規制することが可能となった。
1937年
漁業関係の部署と生物調査局は内務省へ移管され、翌年合併して魚類野生生物局が誕生した。
1956年
「魚類野生生物局法(Fish and Wildlife Service Act)」により2つの新しい部署が創設された。商業的漁業局(Bureau of Commercial Fisheries)ならびに商業的漁業及び野生生物局(Bureau of Commercial Fisheries and Wildlife)である。
1966年
野生生物保護区の管理に関する初めての包括的な法律である、「国立野生生物保護区システム管理法(National Wildlife Refuge System Administration Act)」が定められた。同法により、保護区内で行われる行為が、保護区の設立目的に合致するものでなければならないことを求められるなど、保護区管理のための新しい指針が示された。
1970年
FWSの一部局であった商業的漁業局が商務省に移管され、国立海洋漁業局(National Marine Fisheries Service)に改称された。
1973年
絶滅のおそれのある植物及び動物を守るための「絶滅危惧種法」が連邦議会によって可決された。魚類野生生物局と国立海洋漁業局が同法を所管することになった。
1980年
「アラスカ重要国有地保全法(Alaska National Interest Lands Conservation Act)」は、国立野生生物保護区システムの規模に劇的な変化をもたらした。9ヶ所の新設保護区に加え、7ヶ所の既存野生生物保護区の拡張、さらに5,300万エーカー以上の土地がウィルダネスエリアに指定された。
1993年
内務省内のすべての研究機能を集約し、国家生物研究機関(National Biological Survey: NBS)が設立された。これに伴い魚類野生生物所属の研究者がNBSに移籍。その後、1995年に国家生物研究局に改称され、さらに1996年に米国地質調査所(USGS)の生物資源部(Biological Resources Division: BRD)として吸収される。

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記事・写真:鈴木渉

〜著者プロフィール〜
■鈴木渉
 1994年環境庁(当時)に採用され、中部山岳国立公園管理事務所(現中部地方環境事務所)に配属される。許認可申請書の山と格闘する毎日に、「野山を駆け回り、国立公園の自然を守る」という自分勝手に描いていたレンジャー生活の夢はあえなく崩壊。事務所での勤務態度に問題があったためか以降なかなか現場に出してもらえないおちこぼれレンジャー。
 2年後、地球環境関係部署へ異動し、1997年に京都で開催された国連気候変動枠組み条約COP3(地球温暖化防止京都会議)に参加(ただし雑用係)。国際会議のダイナミックな雰囲気に圧倒され、これをきっかけに海外研修を志望。
 公園緑地業務(出向)、自然公園での公共事業、遺伝子組換え生物関係の業務などに従事した後、2003年3月より2年間、JICAの海外長期研修員制度によりアメリカ合衆国の国立公園局及び魚類野生生物局で実務研修。
 帰国後は外来生物法の施行や、第三次生物多様性国家戦略の策定、生物多様性条約COP10の開催と生物多様性の広報、民間参画などに携わる。その間、仙台にある東北地方環境事務所に異動し、久しぶりに国立公園の保全整備に従事するも1年間で本省に出戻り。
 その後11か月間の生物多様性センター勤務を経て、国連大学高等研究所に出向。現在は同研究所内にあるSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局に勤務。
 週末、埼玉県内の里山で畑作ボランティアに参加することが楽しみ。
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