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商業捕鯨モラトリアム 環境用語

作成日 | 2003.09.10  更新日 | 2025.07.17

商業捕鯨モラトリアム

ショウギョウホゲイモラトリアム   【英】Moratorium of Commercial Whaling  

解説

商業捕鯨を一時停止すること。1982年の第34回IWC年次会合で提案された商業捕鯨モラトリアム案が採択され、大型鯨類13種(条約締結時に同種とされていた種が別種とされたことで、実質的には17種)を対象とした商業捕鯨の停止が決まった。

商業捕鯨モラトリアムについては、国連人間環境会議(1972)で「商業捕鯨の10年間のモラトリアム」に関する勧告が採択され、これに引き続いて開催されたIWC第24回年次会議で米国が1973年の大型鯨種すべての捕獲枠をゼロにする提案を行った。この提案に対して、IWC科学委員会は科学的根拠がないと勧告、IWC本委員会はモラトリアム提案を否決した。しかしその後、反捕鯨の立場でIWCに新規加入する国が増加し、鯨類資源に関する情報に不確実性があるという理由から、IWCは1982年に商業捕鯨モラトリアムを採択した。

モラトリアム決定には、「遅くとも1990年までに鯨類資源の包括的評価を行い、商業捕鯨モラトリアムの規定の修正及び他の捕獲頭数の設定につき検討する」旨の付帯条件がつけられた。そのため、適正な資源管理をめざすIWC科学委員会は捕獲頭数を算定する「改訂管理方式」を1992年に完成させた。しかし、1994年、南極海60度以南をサンクチュアリーとする決議がIWC年次会合で採択され、商業捕鯨再開には至らなかった。

商業捕鯨再開をめざす日本は、2018年9月のIWC総会でモラトリアムの限定的解除について提案したが、大差で否決(賛成27、反対41、棄権2)された。これらを受けて、日本は2019年6月末にIWCから脱退し、2019年7月から日本の領海と排他的経済水域に限定した商業捕鯨を再開した。(2025年4月改訂)

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