一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

アスベスト 環境用語

作成日 | 2003.09.12  更新日 | 2025.07.17

アスベスト

アスベスト   【英】Asbestos  [同義]石綿 

解説

石綿(イシワタまたはセキメン)ともいわれ、天然に存在する繊維状の鉱物である。

主成分は、珪酸マグネシウム塩で蛇紋石石綿と角閃石石綿に大別される。主たる産出国はカナダ、南アフリカ、ロシアなど。

アスベストは軟らかく、耐熱・対磨耗性にすぐれているため、ボイラー暖房パイプの被覆、自動車のブレーキ、建築材など広く利用されていた。

しかし、繊維が肺に突き刺さったりすると肺がんや中皮腫の原因になることが明らかになり、WHO(世界保健機関)ではアスベストを発ガン物質と断定。1992年発効のバーゼル条約では有害廃棄物に指定され、各国間の越境移動が禁止されている。また、国際労働機関(ILO)は1986年に石綿条約を採択し、職業上の石綿暴露による健康被害の防止と抑制などを定めている(1989年発効で、日本は2005年8月に批准)。

国内におけるアスベスト(石綿)に係る法規制は、アスベスト製造工場等における労働者の健康被害防止予防のため1960(昭和35)年に制定されたじん肺法に始まり、1971(昭和46)年の特定化学物質等障害予防規則(特化則)の制定前後で暴露量の状況が大きく変化したと考えられている。また、アスベストのがん原性等に着目した対策の強化では、1975(昭和50)年に特化則が改正され、さらに2005(平成17)には建築物の解体等に伴う労働者のアスベスト暴露防止措置を強化するための石綿障害予防規則が制定された。大気汚染防止法(1968)では、1989(平成元)年の改正によりアスベストが「特定粉じん」に指定され、使用制限または禁止されるようになった。1994(平成3)年には廃棄物処理法の改正により廃石綿等が特別管理作業廃棄物に指定された。1995(平成7)年の阪神・淡路大震災による倒壊ビルの解体等にともなうアスベスト飛散問題が契機となり、1996(平成8)年に大気汚染防止法が改正され、吹付けアスベストが使用されている建築物の解体等の作業に対する規制が開始されるなど対策の強化が行われた。2006(平成18)年には石綿による健康被害の救済に関する法律が制定され、アスベストによる指定疾病(中皮腫、肺がん)の罹患者等に対する救済措置が取られ、2010(平成22)年にはアスベストによる指定疾病(著しい呼吸障害を伴う石綿肺、びまん性胸膜肥厚)が追加された。その後も大気汚染防止法石綿則の改正が重ねられ、規制が強化されていった。

なお、1970年代には年間30万トン前後が輸入されていたが、1990年代には輸入量が減少に転じ、1995(平成7)年に有害性の高いアモサイトとクロシドライトの使用等が禁止となった。2004(平成16)年の労働安全衛生法施行令の改正でアスベストを含有する建材等の製造等が禁止される。2006(平成18)年以降は代替困難な一定の適用除外製品等を除いて0.1%を越えて含有するすべてのものの製造等が禁止、2012年以降は石綿分析用資料等を除くすべてのアスベスト含有物の製造等が禁止された。現在は、1970年から1990年頃までにアスベストが大量に輸入使用された建築物の老朽化等に伴う解体時のアスベスト暴露防止対策が図られている。(2025年6月改訂)

この解説に含まれる環境用語

この環境用語のカテゴリー

関連Webサイト