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省エネ家電買換促進策等事例集平成30年度

平成30年度事例一覧

平成30年度は、全国の事業者による買換促進の取り組み状況を踏まえて、全国5箇所で省エネ家電買換促進検討会議を開催して、地域における省エネ家電換促進策の課題を抽出し、国の施策の方向性の検討材料として取りまとめました。

そうした中で、地域に根差した電器店としての強みと特徴が、省エネ家電買換促進において効果的な取り組みがなされていることが見えてきました。
これらについて、具体的な取り組み事例と合わせてご紹介いたします。

地域電器店の特徴と強み

  • 顧客との長年の付き合いを通じて、状況の把握・蓄積ができている
    →家族構成やライフスタイル、立地条件等の把握、家電の購入・修理等履歴のデータ化
  • 顧客宅を訪ねて商談等できる、顧客との信用・信頼関係
    →省エネ家電以前に電器店のお勧めを購入してもらえるケースが多い
    →留守宅のカギを預かって設置などをするケースもある
  • 地域に根差した商売で顧客も地域の名士など影響力を持つ人が多い
  • 現場ですべてトータルに提案できる技術力・提案力
    →協力会社との連携を含めて、電気設備やリフォームなどトータルに対応できる
  • 迅速で小回りの利く対応(工事等)ができる
    →設置に3-4週間かかる量販店等に対して、迅速な対応で新規の顧客をGET、口コミやSNS拡散でさらなる広がりを得た

地域電気店の特徴や強みを踏まえた省エネ家電買換促進の取組事例と効果

  • 購入意思をもって来店する消費者への普及啓発だけでなく、購入意思や古い家電を使っている意識を持たない層に対するアプローチ
    →商圏を絞って顧客宅を訪問し、販売・買換え商談ができることの強み
     故障まで使い続ける顧客にも古さに対する認識を共有し、効果を発揮
  • 販売・買換えだけでなく、購入後の促しやサポートにも寄与
    →再認識販売で、「よい買い物をした」「よい製品を使っている」ことをきちんとわかってもらう
    →省エネ家電の機能を発揮するにはメンテンナンスの担い手の存在が大事
  • 地域に根差し、家庭や地域の困りごとの解決に貢献
    →例:IoT家電& HEMS活用で孤立化・高齢化する地域の見守り&省エネ

検討会議で出た発言・意見等より

買換促進策とその工夫

  • 再認識販売の実施が効果的:顧客が「いいモノを買った」「いいモノを使っている」という認識を深めてもらうための声掛けや情報提供が大事。
  • 顧客が納得する話法の工夫:
    ・「一晩中使う寝室こそ、電気代が安くなる省エネ家電の方がお得」(来客のあるリビングだけでなく、寝室にこそ省エネ家電製品が効果を発揮)
    ・「缶コーヒーを1日1本我慢すれば、高い省エネのエアコンでも買える」
    ・灯油暖房に換えて暖房エアコンを推奨:高齢者にとって手間と負担になる灯油交換からの解放/高齢者世帯での灯油漏れなど火災の危険性回避にもつながる

地域の中小小売店(まちのでんき屋)の特徴

  • 営業活動の基本としている「お客様と顔と顔を合わせた日頃の巡廻活動」
  • 固定客宅への訪問時の「あれもこれも」が販売のチャンス
  • 「すぐやる、気持ちよくやる、喜んでやる、笑顔でやる」がまちのでんき屋の特徴
  • メンテンス等の担い手としての自覚:
    購入後の使用方法やメンテナンスによって省エネ性能のパフォーマンスが大きく変わる。
    それらを発揮させるための指南やメンテナンスの担い手が重要。

環境意識の向上と改革

  • 顧客に対して、環境問題を含むすべての問題を解決するために選ばれし者(“後世にまで伝える伝承者”)という「使命感」を持って応対。
  • 価格から選ぶ顧客に対して、「使命感」を持って、丁寧・親切に説明をすることが、まちのでんき屋の仕事!
  • 議論を総じて、「省エネ家電の購入が地球を救う」とまとまった。
  • 店側の環境意識を高めていくことで、顧客にも自然と伝わっていく。
  • 省エネ製品の販売を通じた社会貢献についての、売り手側の意識向上が必要。
  • 補助事業のおかげで、省エネ家電の販売に対する社員の目的意識も浸透。
  • 5つ星家電だけが省エネではない。5つ星家電を売れば補助金が入ってありがたいが、3つ星・4つ星でも古い機種の買換で地域の省エネに貢献できる。
  • 4K・8Kの推進(特に有機EL)は、従来の液晶テレビよりエネ消費増になる。
    →省エネ家電買換を促進しつつ、逆行することを推進する矛盾について自戒、業界の共通認識形成を!

※メーカーや国(補助事業の手続きの煩雑さなど)への要望も少なくない中、まちのでんき屋による環境取組などに対する意識と使命感やビジネスチャンスへの認識などに関する言及も多かった。

省エネ家電買換促進に向けた地域電器店の役割や提案

その1)認証制度の活用や自主規制等による信頼性の向上と担保

  • 商組による長期保証制度やスマートライフコンシェルジュのゴールド認証
  • スマートライフコンシェルジュ制度等を補強・拡充するローカル制度や自主規制等の取り組み
    ・愛知パナソニック連合会(600社が加盟)によるアプライアンスマイスター制度(エアコン工事のガス抜きにおける法令順守自主規制など)
    ・「ひょうごスマートライフマイスター」資格制度の創設と冷蔵庫の買換促進補助金の運用(3万円/台の交付)(兵庫県商組とひょうご環境創造協会の連携事業)
    ・山形県の家電環境マイスター認証制度(山形県商組・山形県センター・NPO環境市民の三者認証+山形県の協力)
     メリット:日頃の営業活動が地球温暖化防止活動(毎日が活動)、家庭との密接なつながり(販売だけでなく使い方も指導)、連携により専門性・人員確保に効果
     課題:研修開催費用の確保、認証することが目的でなく活動することが目的 など
     ※山形県では、家電環境マイスター(75名)のほか、自動車環境マイスター(817名)、サッシ・ガラス環境マイスター(69名)を認定し、地球温暖化防止活動推進員にも任命している。
     ※同様の仕組みは京都府、東京都など他地域にも広がりを見せている。
  • 地域電気店にお任せで購入してもらえるケースも多く、地域電気店が経営の中で環境を重視し、環境への貢献の意識を持つことが大事。

その2)多様な主体との連携による買換え促進策の提案等

  • HEMSを活用したIoT家電の導入による高齢者見守りシステムの取り組み
    ・冷蔵庫内のカメラを使ってなくなった商品のお届け
    ・体重・血圧の測定結果を包括支援センターと結ぶ仕組み
    ・エアコンの入り切りなどの遠隔操作によって快適生活をサポート
    ・ HEMSを用いたIoTとの連携による、家庭のエネルギーマネジメント
  • 地域センターが提供する、普及啓発ツール・研修機会等の活用や推進員等との人材交流機会(推進員として活動している電器店からの経験談なども)
  • 地域電器店や商組が持つ困りごとと、地域の温暖化防止を進めたい地域センターや推進員が求める活動テーマ・場とのマッチング、行政のかかわりによる制度化など活動の持続性の担保

その3)製品の充実や消費者意識の変革が必要【課題】

  • 省エネ家電製品=高機能な最上位機種という現状の改善
    →これからさらに進む高齢化社会に合った単機能でシンプルな機種
     単身世帯などでも使える小型機種
    雪国仕様の製品
     など、省エネ家電製品のラインナップ充実等(メーカーへの要望)
  • 故障時の自動通知システムで、高齢化時代に即した対応を可能に
  • 安売りに巻き込まれない:高級車や楽器など高価な製品を定価で買うことが当たり前なのに、家電は値引きが当たり前という認識の是正が必要
  • 工事費や処理費をきちんと負担してもらう消費者意識の普及と向上
  • 5つ星の制度や省エネ家電に対する認知向上、普及促進(国への要望)
    CMの展開/事業参加店には店頭用の幟旗の提供を など
  • 5つ星製品のカタログ表示の復活(メーカーへの要望)

マーケットモデル事業に対する意見・要望

  • 手続きの煩雑さと簡素化の要望
  • 補助対象の拡大(3つ星・4つ星など)及び補助金額アップ
  • サポート体制の充実化
  • 買換え行為以外のCO2削減効果に対する評価と支援
    ・新築時の省エネ家電購入によるCO2削減効果
    ・灯油等の化石燃料暖房からの買換え(火災対策を含む)
  • 効果的な商談タイミングと補助事業期間
    →じっくり説明して営業できるシーズンオフが効果的。
     猛暑時などの商談では、安い機器の一早い設置が求められ、じっくり話ができる状況にはなく、安い機種が求められる。

まとめ ~検討会議の成果に関する考察として

  • 補助事業への申請・実施を通じて、中小小売店やその従業員の中に、環境意識が芽生え、また向上してきている、補助事業の効果が浮き彫りになった点
  • 他に替え難いことをしている(できる)、まちのでんき屋のポテンシャルや、その具体的な取り組み内容が顕在化してきた点
  • 省エネ家電を扱うまちのでんき屋の環境意識の高さや家庭・地域の困りごとを解決するという意気込みや“使命感”を共有できた点
  • 地域地球温暖化防止活動推進センターや全国家電流通協会からの話題提供により新たな情報や頼れる連携相手の存在が知れた点(ツールなどをぜひ活用させてほしいなど声も)
  • グループディスカッションを通じて、横のつながりや地域で販促するモチベーションを持ちかえり、次年度以降の取り組みに向けた問題意識を整理できた点
  • 全国各地の市町村に分散立地するまちのでんき屋が、補助事業に取り組む傍ら、COOL CHOICEの旗印のもとで温暖化対策を働きかけていることの効果を確認できた点
    →人が集まる都市域でマスに対して呼びかける普及啓発だけでなく、全国津々浦々で温暖化防止の具体的な働きかけを行う枠組み形成(マーケットモデル事業の効果)
  • 【課題】トップランナーの取り組みから全体の底上げへの展開や、地域の中小小売店(まちのでんき屋)のポテンシャルを生かした省エネ家電買換えのより効果的な促進の方策