一般財団法人環境イノベーション情報機構
バイオプラスチック“ポリ乳酸”の高性能・高機能化技術と今後の課題
【募集期間】| 2011.01.11〜2011.02.20

★ステレオコンプレックス型ポリ乳酸(sc-PLA)は果たして救世主となりうるか?
【講 師】 京都工芸繊維大学 繊維科学センター 特任教授 望月 政嗣 氏 (元:ユニチカ)
【会 場】 京都リサーチパーク 4F 中会議室A 【京都・丹波口】 JR丹波口駅から徒歩5分程度
【日 時】 平成23年2月21日(月) 13:00-16:00
【定 員】 30名 ※満席になりましたら、締め切らせていただきます。早めにお申し込みください。
【聴講料】1名につき48,300円(税込、テキスト費用を含む)
※2月10日までに初めてお申込いただいた新規会員様は早期割引価格⇒43,050円
◆早期割引:お申込の際に人数登録で“1名(早期割引申込:新規会員登録者のみ)”をご選択ください
◆同一法人より2名でのお申し込みの場合、69,300円
詳細確認またはお申込をご検討されている方は下記URLをご覧ください ▼
http://ec.techzone.jp/products/detail.php?product_id=1448
【講演趣旨】
昨今の地球環境・資源問題の背景下で、なぜポリ乳酸が注目されているのか、その高性能・高機能化技術の現状と応用に関して、誰もが納得できるように懇切丁寧に説明する。
【プログラム】
1.高分子化学工業と高分子材料科学におけるパラダイムシフト
(1)ポリマー原料が化石資源(石油)由来であることの問題点
@石油生産の推移と今後の予測(今がピーク、今後は下り坂)
→近い将来における原油の枯渇と価格高騰問題
A原料採取から樹脂生産・成形加工・製品化、廃棄処理までの二酸化炭素排出量
→地球温暖化ガスの増大に加担
(2)ポリマーが非生分解性であることの問題点
@自然界が有する真のリサイクルシステム(物質循環、炭素循環)からの乖離、自然生態系との不適合
A生分解性機能が求められる用途分野(農林・園芸・土木・水産資材、生ごみ袋、生活・衛生用品、食品容器・包装資材など)への不適合
2.環境負荷低減に貢献するバイオプラスチック
(1)バイオプラスチックとは?――グリーンプラとバイオマスプラの違いとは?
@日本バイオプラスチック協会(Japan BioPlastics Association, JBPA)における定義と識別表示制度
Aバイオマスプラマークとバイオマスマークの違いとは?
Bキーワードの意味は?――リニューアブル、サスティナブル、コンポスタブル、カーボン・ニュートラル
(2)バイオプラスチックの分類――生分解性を縦軸に原料ソースを横軸に分類すると
@植物由来で生分解性――ポリ乳酸系、微生物ポリエステル系
A植物由来で非生分解性――バイオポリエチレン、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)
B石油由来で生分解性――ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)
C石油由来で非生分解性――ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート
(3)各種プラスチックの環境負荷のライフサイクルアセスメント(LCA)による客観的・定量的評価法――植物系プラスチックと従来の石油系プラスチックとの比較
@原料採取から樹脂ペレット製造までの二酸化炭素発生量
A成形加工工程の二酸化炭素発生量
B焼却に伴う二酸化炭素発生量
Cプラスチックの一生“ゆりかごから墓場まで”の二酸化炭素発生量
(@+A+B)
(4)最も環境低負荷のプラスチックとは?――ポリ乳酸
3.生分解性プラスチックの分類と特徴
(1)原料ソースや製造プロセスによる分類
(2)生分解機構の分類と特徴
@酵素分解タイプ(ポリブチレンサクシネート系、微生物ポリエステル系など)
――surface erosion(表面から溶かされていく)
A非酵素分解タイプ(ポリ乳酸系)――bulk degradation(2段階2様式の分解機構、分解の律速過程は初期の加水分解反応、初期・中期過程は見掛け上姿かたちを変えないで分解が進行する
(3)生分解性プラスチックの生分解速度の制御と製品寿命・奉仕期間
@生分解速度は速いほど望ましいのか?――大いなる誤解!
A生分解性と耐久性の両立は可能か?――非酵素分解タイプは可能!
B生分解速度――環境により著しく異なる!
C理想像――使用期間は可及的長く、再資源化(廃棄処理)はできるだけ速やかに!
(4)再資源化手法としてのバイオリサイクルの実際
@堆肥化(好気性微生物存在下)――堆肥、土壌改良剤としての有効利用
Aバイオガス化(嫌気性微生物存在下)――メタンガスの燃料、エネルギーとしての利用
4.ポリ乳酸の高性能・高機能化による汎用プラスチックへの道
(1)なぜ、ポリ乳酸がベストの選択なのか?
――なぜバイオリサイクル材と耐久性構造材料双方への展開が可能なのか?
(2)ポリ乳酸の製造法、基本特性と熱的・機械的性質
(3)ポリ乳酸の成形加工性と結晶化速度――降温結晶化(melt crystallization)と昇温結晶化(cold crystallization)
(4)ポリ乳酸そのものの耐熱性向上技術
――融点を高めることと結晶化速度を速めることは、どちらが重要か?
@素材設計――高L組成ポリ乳酸(LLA-rich PLA)(5.で詳述)
A材料設計――結晶化速度の飛躍的向上(造核材、結晶化促進剤ほか)
B成形加工――高温(結晶化温度)金型内での結晶化
C実用化例――射出成形、真空・圧空成形、発泡成形への応用
(5)石油系エンプラ(ポリカーボネート、ABSほか)とのブレンド/アロイ化による耐熱性付与技術
(6)ポリ乳酸の長期耐久性付与技術――耐加水分解性(耐湿熱性)
(7)ポリ乳酸の成形加工と応用、用途展開――豊富な写真で紹介!
@繊維・不織布――農林・園芸・土木、生活・インテリア、衣料
A2軸延伸フィルム――窓張り、ラミ袋、紙ラミ、青果物包装
Bブローンフィルム――生ごみ袋、農業用マルチ
C真空・圧空成形用シート――ブリスター、青果物容器、食品容器、カップ
D射出成形――リターナブル食器、電子・OA機器、自動車、雑貨
E発泡成形――押出発泡シート(食品容器)、ビーズ発泡(緩衝材)
Fブロー成形――ボトル
5.ポリ乳酸に残された技術的課題とその解決策
(1)残された技術的課題――成形サイクルの短縮と熱的・機械的性質の改良
@耐熱性向上(耐アイロン性、熱間剛性、荷重たわみ温度)
A寸法安定性の向上(低熱収縮率、耐クリープ性)
Bガスバリア性の向上
(2)ステレオコンプレックス型ポリ乳酸(sc-PLA)は果たして救世主となりうるか?
@融点の飛躍的向上(210-230℃)による耐熱性向上
A結晶化速度の向上による成形加工性や寸法安定性の向上
B耐衝撃性、強度、透明性は向上するのか、低下するのか?
C最大の問題はコストパーフォーマンス?
(3)高L組成ポリ乳酸(LLA-rich PLA)への期待――
ほとんどコストアップを伴うことなく、結晶化速度、結晶化度と融点の飛躍的向上、成形加工性や寸法安定性の改良が可能!
【質疑応答・名刺交換】
【登録日】2011.01.12