一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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No.048

Issued: 2003.07.31

間伐材を活用しよう間伐材の利用で国内の森林を育てる

目次
間伐材を原料にした封筒が誕生
間伐しないと森はダメになる
床材や土木資材など間伐材を使った製品が続々登場
国も間伐の促進施策を推進
間伐材など国産木材を原料につくられた封筒。「間伐材マーク」が印刷されている。間伐材マークは、全国森林組合連合会が認定した間伐材使用製品に印刷・貼付される。(写真提供:NPO法人レインボー)

間伐材など国産木材を原料につくられた封筒。「間伐材マーク」が印刷されている。間伐材マークは、全国森林組合連合会が認定した間伐材使用製品に印刷・貼付される。
(写真提供:NPO法人レインボー)

 封筒、家具、床暖房、土木資材―。間伐材を使った製品の開発が進んでいます。「間伐材を使うことが森林の整備につながる」、と間伐材の利用を促進する動きもさかんです。国内で間伐が必要な森林は1,000万haともいわれ、対策が急務となっているからです。間伐材を取り巻く状況について紹介します。

間伐材を原料にした封筒が誕生

 「この封筒は間伐材を活用しております。」―こんな但し書きのついた封筒がポストに舞い込みました。
 今年(2003年)1月に発売されたこの封筒は、原料の15%が間伐材で、残り85%が古紙。「間伐材や国産材を原料とした紙の購入を通して、市民や企業が森林の育成に参加できる仕組みを作ろう」と、木材利用推進中央協議会を中心に、木材団体や民間企業、NPO(非営利組織)などが共同で開発しました。
 使っているのは、長野県南部のカラマツ林の間伐材。長野県辰野町の南信パルプ(株)が間伐材からパルプを生産。東京都中央区の東海パルプ(株)で古紙パルプと混ぜて製紙し、文具メーカーの(株)イムラ封筒(大阪市)と(株)山櫻(東京都中央区)が封筒に加工します。
 大きさは、長3サイズ(長さ23cm、幅12cm)と角2サイズ(長さ33cm、幅24cm)の2種類。NPO法人レインボーや文具通販のアスクルなどで販売しているほか、全国の文具店などでも販売予定。
 価格は、「(間伐材を使っていない)通常の封筒とほぼ同程度」(木材利用推進中央協議会)に抑えました。封筒の収益の一部は、間伐を推進する活動費にあてられます。


間伐しないと森はダメになる

 間伐とは、木を間引きすること。人工林では、質のいい木だけを選んで大きく育てるため、残りの木は切ってしまいます。これが間伐です。間伐をしないと、狭い面積にたくさんの木が育つことになり、細くてひょろひょろした木ばかりになります。細い木ばかりだと、雨や風で倒れやすくなるほか、太陽の光が地面に届かないため地面に草が生えず、雨で土が流され、土中の栄養分もなくなってしまいます。
 間伐する限界は樹齢50年程度といわれますが、国内の人工林には、こうした森林が多くあります。国内の人工林面積は、森林面積全体の41%にあたる1,000万ha。このうち4割は間伐が必要といわれます。
 間伐をするには、伐採や搬出にコストがかかります。ところが木材価格の下落によりコストが販売価格を上回り、国内の林業は「切れば切るほど赤字」という状態に陥っています。間伐を進めるには、間伐材を安定した価格で売れるようにする必要があります。間伐材を使った封筒も、このために開発されたのです。

床材や土木資材など間伐材を使った製品が続々登場

協同組合ウッドワークの間伐材を使った家具(写真提供:ウッドワーク)

 封筒以外にも、間伐材を使ったさまざまな製品が開発されています。そのひとつが、岐阜県萩原町にある飛騨フォレスト(株)が制作販売する畳床(畳の芯部分)。原料は、ヒノキの間伐材です。
 通常、畳床は、わらやポリスチレンなどでできていますが、同社はヒノキの間伐材を細かなチップにし、接着剤を使わず縫い合わせて畳床を作りました。また、(株)ハイエコロジーツカモト(山口県長門市)では、スギの間伐材を床材に使用した床暖房を販売しています。
 間伐材を使った土木資材もあります。(有)イーエムシー(長野県長野市)は、スギやカラマツの間伐材を使って、土砂崩れ防止用の土留めを開発。公共工事などに使われています。同社は間伐材製ガードレールも製品化しています。
 協同組合ウッドワーク(新潟県上越市)は、地元産間伐材で家具類を生産。NPO法人木と遊ぶ研究所と連携し、利用者に「産地証明シール」を購入してもらい、収益を地域の森林整備に活用するというユニークな仕組みを導入しています。



(有)イーエムシーの間伐材を使った土留めとガードレール(写真提供:イーエムシー)

国も間伐の促進施策を推進

 国も間伐を進め、健全な森林を育成する取り組みを進めています。林野庁は、2000年度から5年間で150万haの森林を計画的に整備する「緊急間伐5カ年対策」を実施。緊急に間伐が必要な森林で、市町村や森林所有者と協定を結び間伐を促進するほか、間伐材の利用促進、間伐材利用についての普及啓発などの施策を推進しています。特に間伐が本格化する10月〜11月には、間伐推進中央協議会などの団体と連携して、「間伐・間伐材利用コンクール」を開催するなど取り組みを強化しています。
 国や企業がこうした取り組みを進める一方、間伐材の利用を進めるには消費者の協力が不可欠です。間伐材を利用して、日本の森を育てる―。1枚の封筒を選ぶ際にも、こんな視点が求められています。


(記事:土屋晴子)