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No.285

Issued: 2022.03.15

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の解説(環境省 環境再生・資源循環局 総務課リサイクル推進室)

目次
1.設計・製造段階
2.販売・提供段階
3.排出段階

 プラスチックは、その有用性から、幅広い製品や容器包装にあまねく利用されている現代社会に不可欠な素材である一方、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する重要性が高まっています。このような背景から、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(令和3年法律60号)が成立し、令和4年4月1日から施行されます。本法律は、プラスチック製品の設計から廃棄物の処理に至るまでのライフサイクル全般にわたって、3R+Renewable(再生素材・再生可能資源への切替え)の原則に則り、あらゆる主体のプラスチック資源循環等の取組を促進するものであり、具体的な内容は下記のとおりです。


1.設計・製造段階

 プラスチック製品の製造事業者等が取り組むべき事項として、「プラスチック使用製品設計指針」を策定しました。本指針は、プラスチックを使用している製品全般を対象としたものであり、構造及び材料について、下記の内容を定めています。また、本指針に則した製品の設計のうち、特に優れた設計を国が認定する制度を創設しました。認定の基準については、今後製品分野毎に別途定めることとしています。認定を受けるためには、法施行後に国が指定する指定調査機関に指針への適合性についての技術的な調査の申請を行う必要があり、提出された書類等に基づき指定調査機関が調査を行い、調査結果を国に通知した上で国が設計認定を行います。認定された製品については、国が当該製品の情報を公表することとしており、また、グリーン購入法の運用において十分配慮することとし、事業者・消費者にもその使用の努力義務を課しています。


(1)構造
@減量化、A包装の簡素化、B長期使用化・長寿命化、C再使用が容易な部品の使用又は部品の再使用、D単一素材化等、E分解・分別の容易化、F収集・運搬の容易化、G破砕・焼却の容易化
(2)材料
@プラスチック以外の素材への代替、A再生利用が容易な材料の使用、B再生プラスチックの利用、Cバイオプラスチックの利用

2.販売・提供段階

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 ワンウェイプラスチックのうち、下図の製品を提供する事業者は、自ら使用の合理化に関する目標を設定し、当該目標の達成のために業種や業態に応じて有効な取組(有償化、辞退者へのポイント還元、消費者の意思確認、代替素材への切替えなど)を選択・実施することとなります。

 このうち、多量提供事業者(前年度の提供量が5トン以上)に対しては、取組が著しく不十分な場合において、国が勧告等を行うことができる仕組みとなっています。


3.排出段階

@市町村による分別収集・再商品化

 現在、多くの自治体では容器包装リサイクル法に基づき、プラスチック製容器包装を資源として分別収集・リサイクルしています。本法律では、これに加えて、これまで燃えるごみ等として処理されていたプラスチック使用製品についても分別収集及び再商品化を市町村の努力義務としました。収集したプラスチック使用製品廃棄物については、

  1.  1)容器包装リサイクルの仕組みを活用し、容器包装以外のプラスチック製品を含めて容器包装リサイクル協会にリサイクルを委託する 又は
  2.  2)リサイクル事業者と連携して、再商品化計画を策定し、国の認定を受けることで、市町村による選別・梱包等を省略してリサイクルを実施する

 ことができることとしました。1)の場合において適用される分別収集物の基準を定める省令において、リチウムイオン蓄電池等が混入していないことや、プラスチック製容器包装以外にも、原材料の全部又は大部分についてプラスチック素材を利用したプラスチック使用製品廃棄物を含めることができること等を基準として定めていますが、これを補完・解説するものとして、「プラスチック使用製品の廃棄物分別収集の手引き」を公表したところです。2)の場合であっても、リサイクルを著しく阻害するものが混入しないよう、十分に参考とされることを期待しています。

A製造事業者等による自主回収・再資源化

 製造・販売事業者による自主回収・リサイクルを促進するため、事業者の計画を国が認定した場合に個々の自治体での廃棄物処理法上の業許可を不要とする特例を設けることとしました。(自社製品と)合わせて再資源化を実施することが効率的なプラスチック使用製品を含むと規定されており、他社の同種製品も対象となり得ます。認定基準においては、適正処理の観点から必要な事項のほか、再資源化により得られた物の利用までの一連の行程が明らかであることを求めています。

 この場合であっても例えば廃棄物処理法の処理基準が適用されること、また施設の許可も必要であることなどは従前通りです。

B排出事業者による排出の抑制・再資源化等

 産業廃棄物について、排出抑制や分別・リサイクルの徹底等、排出事業者が取り組むべき判断基準を示すこととし、多量排出事業者については、目標を設定し計画的な取組を求めることとしました。なお、排出事業者の判断基準についてのみ、条文上、リサイクルを意味する「再資源化」ではなく熱回収を含めた「再資源化等」と規定されています。判断基準においては、可能な限りの3Rを促し、周辺地域において再資源化事業者が存在しない等再資源化を実施できない場合には熱回収すること、その場合も可能な限り効率の良い熱回収を行うこと等を定めています。

 勧告等の対象となる多量排出事業者の要件については、前年度の排出量が250トン以上としました。これとは逆に、中小企業基本法上の小規模企業者に相当する者については、判断基準の適用対象から除くこととしました。

C排出事業者による再資源化

プラスチック資源循環に関する特設サイト [画像クリックで拡大]

 排出事業者等の再資源化計画を国が認定した場合に、個々の自治体での廃棄物処理法上の業許可を不要とする特例を設けることとしました。認定基準において、Aと同様に、適正処理の観点から必要な事項のほか、再資源化により得られた物の利用までの一連の行程が明らかであることを求めています。この場合であっても廃棄物処理法の処理基準が適用されることや施設の許可が必要であることはAと同様です。


 円滑な施行に向けて、環境省ホームページから、プラスチック資源循環に関する特設サイト(https://plastic-circulation.env.go.jp)を設けたところであり、「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」と題して、広く周知を図ることとし、また、継続的に情報を更新していく予定です。


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(記事・図版:環境省環境再生・資源循環局リサイクル推進室)

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