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環境Q&A

カーボンニュートラルと森林吸収量 

登録日: 2006年01月16日 最終回答日:2007年03月18日 地球環境 地球温暖化

No.14172 2006-01-16 07:59:15 kitakaze

カーボンニュートラルの立場に立つと、長い期間で見ると、森林が吸収したCO2は動物による捕食、燃焼などを経ていずれ大気中へCO2として返されることになるので、森林吸収によるCO2削減は一時的なものでありこれを充分長い期間(カーボンニュートラルが成り立つような長い期間。人類の将来について論じるような長い期間)に関して有効な削減であるとしてカウントすることは基本的に正しくないということになると思いますが、カーボンニュートラルの立場に立つ限りではこのように考えてよいのでしょうか。

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No.14185 【A-1】

Re:カーボンニュートラルと森林吸収量

2006-01-17 13:01:51 みみなしのねこ

森林吸収量がニュートラルだから差引ゼロのゼロサムシステム。
これを削減というなら、ゼロ点を動かせばそうなります。
どこへゼロ点を移動させるかは科学ではなく政策です。
化石燃料の使用を前提として容認するからニュートラルでも削減になります。ちょっと詭弁っぽいですね。

No.14188 【A-2】

Re:カーボンニュートラルと森林吸収量

2006-01-17 14:11:18 森野力

>カーボンニュートラルの立場に立つと、長い期間で見ると、森林が吸収した...基本的に正しくないということになると思いますが、カーボンニュートラルの立場に立つ限りではこのように考えてよいのでしょうか。

まだ、「カーボンニュートラル」と「森林吸収」が無関係と言うことがお分かりになっていません。

IPCCによれば、二酸化炭素増大の主原因として
1.化石燃料の燃焼とセメント生産
2.森林減少
の2つがあります。

カーボンニュートラルは、1の対策(化石燃料節約)
森林吸収は、2の対策(大気から地表に戻す)
 

回答に対するお礼・補足

「カーボンニュートラルは、1の対策(化石燃料節約)、森林吸収は、2の対策(大気から地表に戻す)
」というのは、全く気づきませんでした。

貴重なご指摘を有り難うございました。

No.14190 【A-3】

Re:カーボンニュートラルと森林吸収量

2006-01-17 16:45:36 東京都 / 君山銀針

NEDOのカーボンニュートラル の説明 http://www1.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/glossary/result_d.asp?no=000213
「植物は燃やすと二酸化炭素を排出しますが、成長過程では光合成により大気中の二酸化炭素を吸収するので、収支はプラスマイナスゼロになる、という炭素循環の考え方のこと」

現在の地球温暖化は、主に化石燃料の短期間大量消費によるものであり、植物起源の二酸化炭素は吸収されたり、大気中に排出されたり、常に循環の中にあるから範囲外と考えられているのではないでしょうか。

現実には森野さんの書かれている森林減少の問題もあるので、難しいところです。
三菱情報開発の白井信雄さん「地球温暖化を防ぐ森の力」 http://research.mki.co.jp/eco/proposal/morinochikara.htm という記事の分析では、カーボンニュートラルの考えに触れた上で「大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイルとそれを支えるシステムの是正を行なわないと、森林の生産力を超えた循環量となり、森林減少を招くため、注意が必要である。森林は無尽蔵に再生しない。つまり、森林資源を活用して化石資源を代替していくとともに、森林における二酸化炭素ストッック量を増大させていくことが必要であり、そのためには既存スタイルの是正も考えなければならない」という指摘をしています。

回答に対するお礼・補足

ご懇切なご教示を頂き有り難うございます。
いろいろ複雑な問題を含んでいるんですね。

また、多くのことを勉強させていただきました。有り難うございました。

No.14740 【A-4】

Re:カーボンニュートラルと森林吸収量

2006-02-14 17:30:53 あけ


良くないと思いますし、外国の識者からも馬鹿にされています。
私は農林水産省OBの方の講演会の時に、森林を土の中に埋めて石油にしないかぎり、一時的にしかならないと、からかいました。
ただ、諸外国と比較して日本の森林が若く吸収率が高いのは事実です。もし森林を使用してこのまま二酸化炭素を固定化できれば、長期間に渡って削減されるのは事実ですが、東大寺のような施設がどんどん建設されるとは思えません。
詭弁としか思えない政策決着というのは誰しも感じています。

回答に対するお礼・補足

たいへん明快なご回答をいただき、有り難うございます。そのようなお考えの方もおられるのだと言うことを知り、心強く思いました。

今後ともよろしくお願いいたします。

No.21751 【A-5】

Re:カーボンニュートラルと森林吸収量

2007-03-18 11:23:54 楽環

重要なのは、地中(化石)+地上(森林や木造物)と空中(CO2)のカーボン存在割合です。現在は地中(化石)から、どんどん空中へのカーボン移行が進んでいる。逆に地上(森林や木造物)のカーボン量を増やせば空中カーボンの量はその分減る。地上カーボンはそこに永遠に固定されている必要はなく、所謂全体としての平衡状態あるいは定常状態が達成されていればよいわけで、あるカーボンが放出されてもそれを補う量の別のカーボンが光合成で蓄積されれば収支は合う。これがカーボンニュートラルの考え。従って森林の非再生的伐採・燃焼は駄目で、適正な「再生的」森林管理があって始めて成立する概念。従って光合成由来のニュートラルカーボンの使用量の限界は光合成による固定化カーボンの生産量によって規定される。

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