一般財団法人環境イノベーション情報機構

環境Q&A

熱帯材の燃焼はカーボンニュートラル? 

登録日: 2006年01月25日 最終回答日:2006年01月28日 地球環境 地球温暖化

No.14355 2006-01-25 01:02:43 ちゃんねる110

 以前の質問(No.7127)にもあるように、京都議定書やIPCCのガイドラインによると、バイオマスの燃焼による二酸化炭素はカーボンニュートラルなので、温室効果ガスの排出量には計上されませんよね。
 であれば、熱帯材を燃焼させても温室効果ガスの排出はなく地球温暖化への影響はない、という解釈は成り立つのでしょうか。
 
 道路工事における地球温暖化への影響を調べていますが、関係者から上述の意見をもらい、納得しかねています。

 特に気になるのはカーボンニュートラルの考え方です。
 木材需給報告書によると、合板の輸入はインドネシア・マレーシアからのが大半を占めています。これらはコンクリート型枠として使用されたのち、建設リサイクル法に従い資源化されていると思いますが、一部焼却処理もされています。
 伐採後のケアの乏しい国からの輸入に対しても、カーボンニュートラルの考え方が適用されるのでしょうか。京都議定書では自国の森林育成を進めよ、といっているので、他国の森林を食っていくのは、倫理上問題があるような気もします。
 輸入食料の場合、継続的に耕作しているので輸入品でもカーボンニュートラルになると思いますが、熱帯の森林(最近はロシアも?)の場合、実態を考えるとカーボンニュートラルであると言い切るのは難しいと思います。
 とはいえ、個別の条件をいちいち検証してもいられないので、京都議定書を機械的に判断するしかないのでしょうか。

 熱帯材のカーボンニュートラルの考え方について、ご存知の方、お教えください。

 なお熱帯材の場合、生態系への影響やLCA的な問題から間接的な影響があると考えていますが、この影響は温室効果ガス排出量にはカウントできませんよね。

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No.14391 【A-1】

Re:熱帯材の燃焼はカーボンニュートラル?

2006-01-26 22:54:42 森のおそまつ

> であれば、熱帯材を燃焼させても温室効果ガスの排出はなく地球温暖化への影響はない、という解釈は成り立つのでしょうか。

> 特に気になるのはカーボンニュートラルの考え方です。

 カーボンニュートラルという考えは特に木材の場合はある種の理念表明であって、便宜的暫定的な勘定の仕方によってたまたま適合しているように見えるのにしか過ぎません。

 つまり食物系のバイオマスでは、吸収量を吸収とは勘定していませんから排出時も排出と勘定する必要がない(原理的なカーボンニュートラル)わけですが、木質系のバイオマス、つまり樹木の場合は吸収量は吸収と勘定し、後年になってから伐採する時にも逆の排出と勘定する仕方になっています。
ですが、伐採時にもう排出してしまったとしている、(途上国でCO2となって大気中にすべて出てしまった)だから後で木材を燃焼する際には再度カウントをする必要がないだけです。(便宜的なカーボンニュートラル)

 ということで、熱帯材も燃焼時には温暖化には効きませんが、「伐採時に」温暖化に効いた、とみなされています。途上国に排出削減目標が掛かっていないため、規制が掛からないのですが。

 おっしゃるとおり、森林減少=土地利用変化という形での温暖化への寄与はまさに途上国で起こっています。
ちなみに、土地利用変化そのものの量的規制も京都議定書の3条3項には含まれています。
 自国では木材の伐採時の排出責任は林業関係者が担っているわけですが、それと比べて途上国の木材利用はある意味、抜け穴とかリーケージと呼ばれそうな利用と言えるかと思います。

 まとめてみると、熱帯材の使用は環境に負荷を与えないわけではないし、伐採時に途上国での温暖化にも寄与しているんだけれども、京都議定書の判断上は、利用後の燃焼時にはCO2が排出されていない(これまたカーボンニュートラル?)といえる、というわけです。

 ということでカーボンニュートラルというのは紛らわしい文句なので、営業文句に使われ続けることで将来はズタズタになるでしょう。使用は控えたほうが無難かと。

回答に対するお礼・補足

> 自国では木材の伐採時の排出責任は林業関係者が担っているわけですが、それと比べて途上国の木材利用はある意味、抜け穴とかリーケージと呼ばれそうな利用と言えるかと思います。

 熱帯材については、相手が排出削減目標を課せられない途上国だけに、気をつけないと先進国のやりたい放題になるかもしれませんね。
 先方には、京都議定書上では熱帯材を燃やしてもCO2は発生しないことになるが、実際負荷はある、ということで説明します。

No.14406 【A-2】

Re:熱帯材の燃焼はカーボンニュートラル?

2006-01-27 11:40:40 東京都 / 君山銀針

森のおそまつさんが触れている京都議定書 3条3項・4項吸収源については

「京都議定書における吸収源: ボン合意とその政策的含意」国立環境研究所 山形与志樹、石井敦 の16,17ページ http://www-cger.nies.go.jp/publication/D029/D029.pdf

林野庁 京都議定書での森林吸収の考え方 http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ondanka/b-2.html
などに説明があります。

なお、温暖化の議論とも関係があると思いますが、違法伐採に対する関心も世界的に高まっています(グレンイーグルスサミットでも気候変動と並んで違法伐採問題が大きなテーマとなっていました)。
木材を使用しようとする時に、その木材が伐った後植林されている(適切に管理されている)森林のものなのか、木材の生い立ちを問う動きが広がっており、日本国内ではグリーン購入法で公的機関が利用する木材・紙を合法性・持続可能性が確認されたものに限定しようという動きがあり。平成18年1月31日まで意見募集中です。

http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6713
グリーン購入法の製品判断基準の紙・木材関連の基準に「持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたもの」などの項目をいれており、参考として林野庁が検討している「合法性・持続可能性が確認された木材の調達推進に関わる判断基準」案も示されています。

気になったのは、この案、公共工事で「製材、集成材、合板、単板積層材、パーティクルボード、繊維板及び木質性セメントについて、違法伐採材に係る判断基準、配慮事項を追記」しているのですが、木工事に使用するものののみ対象としていますし、ちゃんねる110 さんが書かれているコンクリート型枠について含まれていないのではないかと思われます(←間違いでしたら指摘下さい) 意見募集中ですので、意見として提出してみるか考えてみます。

*すでに熱帯木材型枠の全型枠に占める割合を規定している自治体もかなりありますし、ゼネコンの代替化、プレキャストなど工法の工夫の取組みも進んでいるだけに。http://www.fairwood.jp/doc/article_gpn_3.html

回答に対するお礼・補足

 回答ありがとうございます。資料は早速目を通します。
 私がこの質問を発した理由は、地球環境には詳しいはずの担当者から、森林の伐採による影響には全く触れず、燃焼時の温室効果ガスの排出量のみに言及したことに違和感を覚えたためです。違法伐採に対する動きについてもアピールしてみます。
 ところで、以前、自治体の土木関係の部署の方から、コンクリート型枠はもうほとんど使っていない、という話を聞いたのですが、会社の前で行われている側溝の工事では、今も使われていました。プレキャスト部材が増えて、使用量自体は昔より減ったのかもしれませんが・・・。

No.14425 【A-3】

Re:熱帯材の燃焼はカーボンニュートラル?

2006-01-28 15:20:24 森のめぐみ

森の中で生活して森を利用していればそうゆう言いかたもできそうですが、現実には輸送や製品利用、廃棄にいたるまで大量の化石エネルギーを利用しています。
ペレットストーブなどその典型です。
林産物利用についてはどうゆうわけか環境保護を標榜する人たちでさえ故意にLCAを放棄しています。
林産物利用のLCAをきちんとやれば、ニュートラルでないことがはっきりするし、国産材と輸入材の評価もおのずからあきらかになるはずです。
里山で森のめぐみを享受して生活している人を除けば、ほとんどのケースでは化石燃料の迂回消費であると思います。

No.14430 【A-4】

Re:熱帯材の燃焼はカーボンニュートラル?

2006-01-28 21:15:22 森のおそまつ

> なお熱帯材の場合、生態系への影響やLCA的な問題から間接的な影響があると考えていますが、この影響は温室効果ガス排出量にはカウントできませんよね。

 森のめぐみさんもLCA評価がされていない、という指摘していますが、LCAさえ見れば必ず間違いないというわけではないです。

 カーボンニュートラルという概念は排出と吸収のタイミングの違いを無視した定性的な議論です。

 過去からあった森林を伐採して(燃やして)CO2にして大気中に出せば、その一旦排出されたCO2が再度吸収されるまでのタイムラグはありますから、カーボンニュートラルな森林経営&エネルギー利用をしていても、その期間についてのLCAでは正味の温室効果を及ぼしていると評価すべきです。

 ところがこれが新規植林の場合だと、まず育てて一定期間会期中のCO2を吸収してから、伐採エネルギー利用でCO2を排出するとみなせばこの期間はカーボンニュートラルな森林経営&エネルギー利用をすることで、LCAとして正味のマイナスの温室効果を及ぼせたわけです。

 ということで、LCAの評価をするに際していつからいつまでをひとつのライフサイクルとみなすか、は難問でして、ちょっと論争の泥沼に入りかねません。かえって継続する複数サイクルについての(土地利用変化ではない)継続的な土地利用の考え方としてカーボンニュートラルと提示する方が一般の人には分かりやすい可能性もあります。

> 森のめぐみさん
> ほとんどのケースでは化石燃料の迂回消費であると思います。
 あまりに厳格な脱化石燃料を求めることは手詰まりを招くことと思います。手に入るもののうち比較して相対的によいものばかりを選ぶことが個別の選択では求められるでしょう。
 まあ、「地材地建」を唄う?ウッドマイルズ研究会
http://woodmiles.net/
の主張は、わりと納得いく評価ではありますが。つまり木材では輸送時のCO2に特に注目すればすべてのライフサイクルの関係まで見る必要はないという考え方です。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございます。
「環境にやさしい」といわれる行動は、時間軸や影響の範囲を考えると、本当にそうなのか、疑問の残るものがありますね。どこかで割り切って、何もしないより今できることをするしかないのでしょうね。

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