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環境Q&A

6価クロムの抽出方法について 

登録日: 2006年02月22日 最終回答日:2006年03月13日 健康・化学物質 その他(健康・化学物質)

No.15071 2006-02-22 10:56:26 まや

6価クロムの抽出方法について以下の懸念事項があります。ご教授の程、お願い致します。
JISH8625メッキ鋼板皮膜のCr6+定量試験方法では沸騰水を用いていますが、沸騰水中に鋼(鉄)が存在している状態で、Cr6+を抽出した場合、Cr6+⇒Cr3+への還元は起こらないのでしょうか?
溶液が酸性の場合は、Cr6+が還元されると以前、回答でありました。
www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=7692
沸騰水の場合は大丈夫でしょうか?根拠となるデータや文献等があれば教えてください。

また、VOLVO法というのを最近よく耳にします。この方法はCr6+溶出の有無を評価するに当たり、世界的に通用すると聞きましたが、どこが作った方法でしょうか(自動車メーカでしょうか)?また、条件等の詳細についてご存知の方がいれば教えて下さい。

総件数 8 件  page 1/1   

No.15091 【A-1】

Re:6価クロムの抽出方法について

2006-02-22 15:44:00

VOLVO法について

これがお役に立ちますか?

http://www.toray-research.co.jp/envi/pdf/tec_c004.pdf

下記の15ページにはもう少し詳しい概要が記載してあります。

http://tri-osaka.jp/group/kikaikinzoku/hyoumen/surface/morikawa/R17/Ch_OHP.pdf

回答に対するお礼・補足

大変勉強になりました。ありがとうございました。自動車のVolvoのようですね。
VolvoCorporateStandard5713.102を検索してみましたが、原文を手に入れる事ができませんでした。また、何か情報がございましたら宜しくご指導のほど、お願い致します。
追伸)このサイトは、どうも印刷制限(プロテクト)がかかっており、印刷できず、残念でした。

No.15101 【A-2】

Re:6価クロムの抽出方法について

2006-02-22 22:27:30 筑波山麓

>6価クロムの抽出方法について以下の懸念事項があります。ご教授の程、お願い致します。
>JISH8625メッキ鋼板皮膜のCr6+定量試験方法では沸騰水を用いていますが、沸騰水中に鋼(鉄)が存在している状態で、Cr6+を抽出した場合、Cr6+⇒Cr3+への還元は起こらないのでしょうか?
>溶液が酸性の場合は、Cr6+が還元されると以前、回答でありました。
>www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=7692
>沸騰水の場合は大丈夫でしょうか?根拠となるデータや文献等があれば教えてください。
>
>また、VOLVO法というのを最近よく耳にします。この方法はCr6+溶出の有無を評価するに当たり、世界的に通用すると聞きましたが、どこが作った方法でしょうか(自動車メーカでしょうか)?また、条件等の詳細についてご存知の方がいれば教えて下さい。

確かに可能性はあります。添加回収試験により確認されてみてはどうですか。EPA3060A(六価クロムのアルカリ抽出法、土壌、汚泥、沈殿物、産業廃棄物、その他類似物質の測定法)では、ブランクへの添加回収試験、サンプルへの添加回収試験、およびサンプルの2重試験のRPD評価と3基準で試験法を評価しています。また、試料の酸化・還元電位測定、pH、2価の鉄イオン、2価のイオウイオン、TOC、COD、BODなどの測定により、アルカリ分解中のクロムの酸化・還元状態を推測しています。ほかに、六価クロムの評価方法として、VOLVO法、塩水抽出等々あります。しかし、顧客とJIS H 8625で分析するという契約ならば、勝手に分析法を変更できないので、まずは、添加回収試験などを行われてみてはどうですか。また、時間的、費用的に余裕があれば、試験法の評価法として、ISO17025の不確かさ、妥当性などがあるので、検討してみることをお勧めします。なお、必要とあらば、EPA3060Aを邦訳したものがあるので、さしあげます。ただし、私がISO17025取得のために邦訳したものなので、もし訳ミスがあったとしてもご容赦ください。

回答に対するお礼・補足

ご教授頂き誠にありがとうございます。是非、EPA3060Aを邦訳された物を頂けないでしょうか。また、お手元に原文もお持ちであれば合せて頂ければ嬉しいのですが・・。よろしくお願い致します。

No.15289 【A-3】

Re:6価クロムの抽出方法について

2006-02-27 22:56:39 筑波山麓

すみません。邦訳を送付しようとしたのですが、A4版13頁ですので、1000文字以内の制約で、このまま送れないようです。何回かに分割して送ります。なお、原文は自分で購入していただけないでしょうか。
1.適用範囲
1)「METHOD 3060A」の意味は、「3060」を分析方法の番号、「A」を改訂毎につける枝番号とする。適用する版番号はSW―846に公表される(版の番号末尾の文字は改定毎につける枝番号であり、分析方法の番号そのものではない)。なお、SW−846に公表された版が適用版であり、掲載されていない版は適用版と認めない。例えば、第2版を意味する「METHOD 3060B」があったとしても、「SW−846」に記載されるまでは、これは公認された方法ではない。
2)分析方法3060は、土壌中、泥中、沈殿物中、産業廃棄物中、またはそれら類似物質中に含まれる六価クロム[Cr(Y)]をアルカリ性で分解・分析する方法であり、上記物質に含まれる溶解性、含有、および沈殿した六価クロム化合物を測定する。固形物質中の全六価クロムを定量するにあたって、以下の3基準を満たす必要がある。
@ 抽出液があらゆる形態の六価クロムを溶解できていること、
A 抽出操作が六価クロムを三価に還元しないこと、
B 分析操作がサンプル中の三価クロムを酸化し、六価クロムにしないこと。
分析方法3060は種々の雑多な材質のサンプルに対して上記3基準に適合する。アルカリ性である抽出液中において、六価クロムが還元・減少されたり、三価クロムが酸化されることにより六価クロムが増加したりする。Mg2+イオンを含むリン酸緩衝液を添加すれば、このような酸化・還元反応を抑制できる。抽出操作の正確さは溶解性および不溶解性の六価クロムによる添加回収データにより評価する。添加する六価クロムとして重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)およびクロム酸鉛(PbCrO4)がある。また、酸化還元電位(ORP)、pH、有機物質含有量、鉄イオン、硫化物などのような項目を測定し、抽出操作中に添加した六価クロムに影響を与える因子を示す指標とする。不溶解性六価クロム(クロム酸鉛)の回収率は上記@〜Bのうち@およびAの基準の判定に使用する。

回答に対するお礼・補足

お手数をおかけしてすみません。邦訳ありがとうございます。ところで、原文ですが、どこで購入できるのですか?また、価格についてご存知でしたら、教えてください。お忙しい中、申し訳ございませんがよろしくお願い申し上げます。

No.15295 【A-4】

Re:6価クロムの抽出方法について-2

2006-02-28 09:24:57 筑波山麓

アルカリ抽出中の三価クロムの酸化は、通常、高濃度のMnを含有する土壌に生じ、溶解性三価クロム塩または析出した三水酸化クロムCr(OH)3)によってそのような反応を防止する。
3)分析方法3060による六価クロム定量は、適切な正確さと再現性を有する分析方法で行われることが望ましい。例えば、分析方法EPA7196「可視・紫外部吸光光度法」、分析方法EPA7199「イオンクロマトグラフ法」などがある。検出部にICP−MSを使用するイオンクロマト、HPLC、およびキャピラリー電気泳動は、機器のバリデーションの結果がよければ使用しても良い。
2.分析方法要約
1)この分析方法は固形廃棄物中の水不溶解性および水溶解性の六価クロム混合物をアルカリ分解する方法である。ただし、土壌中の一部のバリウムクロム酸塩を除く(参考資料10.9参照)。分解作業中、分解液のpH調節に十分に注意すること。分解作業中のpH調節に失敗したサンプルは廃棄し、再分解を行う。
2)サンプルを、0.28モル炭酸ナトリウム(Na2CO3)/0.5モル水酸化ナトリウム(NaOH)のアルカリ液中に入れ、90−95℃で60分間加熱して六価クロムを溶解する。この条件では、三価クロムは安定である。
3)ジフェニルカルバジドによる六価クロム定量は、アルカリ分解液中の六価クロムの分析に最も良く使用されており、かつ、信頼できる方法である。ジフェニルカルバジド法は、吸
光光度法(分析方法EPA7196)、現場で使用する急速テスト法、および六価クロム
用イオンクロマトグラフ法(分析方法EPA7199、検出器:吸光光度計)で十分に確
立している。ジフェニルカルバジドは六価クロムに対して高い選択性を有し、アルカリ分解液中で使用するとき、ほとんど妨害を受けない。
4)追加情報として、クロムの健康および安全性に関する問題を参考資料10.7)および10)に紹介する。

No.15296 【A-5】

Re:6価クロムの抽出方法について-3

2006-02-28 09:29:35 筑波山麓

3.妨害について
  1)サンプル中の次の要因を測定し、酸化・還元の傾向を測定することがサンプル中の六価クロム分析上必要である。各要因およびその測定方法として、pH(分析方法EPA9045)、2価の鉄イオン(分析方法ASTM−D3872−86)、硫化物(分析方法EPA9030)、ORP(分析方法ASTM−D1498−93、液体サンプル)などがあり、これら各因子を測定することにより、サンプルの酸化・還元傾向が判断できる。
備考:このテキストで「備考」は、訳者の注意事項である。このテキスト本来の「NOTE」は、「注意」と表記する。混同しないようにすること。
備考:ここでいう、「分析方法」はEPA(米国環境保護庁)指定の方法である。ASTM分析方法とは、ASTM(米国材料試験協会)指定の方法である。
7.2)節で分析方法EPA9045(pH、ORP測定)を実施することは、測定中の土壌サンプルの酸化・還元傾向を事前評価するのに有用である。ORP計および温度計のプルーブを土壌スラリーに直接挿入し、ORP表示値が安定すると測定結果が記録される。他に、間接的に酸化・還元傾向を示す指標として、TOC、COD、BODがある。これら要因の分析はサンプル中のクロムの挙動(三価クロムが六価クロムに、六価クロムが三価クロムに酸化・還元される傾向)を明らかにし、QC用添加回収率が基準範囲を外れたときにその原因を判断するのに有効である。
2)土壌のアルカリ分解において、高濃度であると六価クロムの発色を妨害するような物質は知られていない。六価クロム定量分析に影響を与える恐れがある因子については、分析方法EPA7196およびEPA7199を参照すること。共存物質によって回収率が低下
する場合は、適切な方法で妥当性が確認されたなら補正しても良い。
備考:この邦訳で使用されている妥当性確認とは、単純な回収率の確認とか、何度行って
も同じ回収率になるから正しいというような確認ではない。一般的に認められた方
法で実施され、統計的にある確率(有意差)を持って正しいと確認する作業をいう。
また、その妥当性確認方法はかならず文書化し、社内で認められた方法とする。

No.15297 【A-6】

Re:6価クロムの抽出方法について-4

2006-02-28 09:33:11 筑波山麓

3)六価クロム報告上限値の4倍以上の濃度の溶解性三価クロムを含有する廃棄物または土壌については、このアルカリ分解が三価クロムを六価クロムに酸化し、六価クロム分析値を高めにする可能性がある。リン酸緩衝液Mg2+塩をアルカリ抽出液に添加することにより、この酸化を抑制する。もし、生じた酸化・還元反応を正しく修正できうる方法で六価クロムを分析するならば、リン酸緩衝液Mg2+塩の添加は任意である。溶解性三価クロム含有量は、イオン交換水(分析方法ASTM−D4646−87、ASTM−D5233−92、またはASTM−D3987−85)でサンプルを抽出し、その抽出液の全クロムおよび六価クロムを測定し、全クロム濃度から六価クロム濃度を差し引いた値を三価クロム濃度と考える。
4.機器・器具
1)アルカリ分解用容器:
ホウケイ酸ガラス製または石英製250ml容器
2)メスシリンダー100mlまたは同等品
3)メスフラスコ:
A級・ガラス製・有栓メスフラスコ1000mlおよび100mlまたは同等品
4)真空ろ過器
5)メンブレンフィルタ(孔径0.45μm):
セルロース製またはポリカーボネイト製メンブレンフィルタ。真空ろ過時、圧力はメンブレンフィルタを通過して抜けていく構造である。
6)加熱器具:
攪拌しながら加熱でき、90−95℃に温度を調節できるもの、または同等品。
備考:攪拌と加熱が同時にできるもの。
7)メスピペット:
A級・ガラス製、使用するサイズのもの。
備考:校正が実施され、精度が管理されているものであれば、プッシュボタン式体積計を
使用して良い。
8)pH計:
校正され、管理されているもの。
9)天秤:
校正され、管理されているもの
10)温度計:
100℃まで測定できる、NIST標準温度計にトレーサーブルな温度計
サーモメーター、サーミスター、IRセンサーなどがある。
注意:通産省工業技術院計量研究所に標準温度計(社内の基準温度計)にトレーサブルな
ものであれば良い。
11)自動攪拌器:
マグネスチックスターラー、モーター駆動攪拌棒などがある。
アルカリ分解液攪拌用

No.15444 【A-7】

Re:6価クロムの抽出方法について

2006-03-05 20:35:15 筑波山麓

>6価クロムの抽出方法について以下の懸念事項があります。ご教授の程、お願い致します。
>JISH8625メッキ鋼板皮膜のCr6+定量試験方法では沸騰水を用いていますが、沸騰水中に鋼(鉄)が存在している状態で、Cr6+を抽出した場合、Cr6+⇒Cr3+への還元は起こらないのでしょうか?
>溶液が酸性の場合は、Cr6+が還元されると以前、回答でありました。
>www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=7692
>沸騰水の場合は大丈夫でしょうか?根拠となるデータや文献等があれば教えてください。
>
>また、VOLVO法というのを最近よく耳にします。この方法はCr6+溶出の有無を評価するに当たり、世界的に通用すると聞きましたが、どこが作った方法でしょうか(自動車メーカでしょうか)?また、条件等の詳細についてご存知の方がいれば教えて下さい。

この解答欄を通じて、邦訳を送ろうとしたのですが、分量が多く、時間がかかることがわかりましたので、お恥ずかしいのですが、初めて、ホームページを作成しています。作成できたら、そこにこの邦訳ほかいろいろを掲載します。それまで少しお待ちください。できましたら、この通信欄を通じてお知らせします。

回答に対するお礼・補足

ご無沙汰しております。1週間、不在で本日、拝見致しました。こちらこそ、大変お手数をおかけしまして誠に申し訳ございません。私も、実はHPを作成したことがありません。私のほうがまだまだ、勉強不足です。HPの開設を楽しみにしております。よろしくお願い申し上げます。

No.15597 【A-8】

Re:6価クロムの抽出方法について

2006-03-13 21:30:40 筑波山麓

>6価クロムの抽出方法について以下の懸念事項があります。ご教授の程、お願い致します。
>JISH8625メッキ鋼板皮膜のCr6+定量試験方法では沸騰水を用いていますが、沸騰水中に鋼(鉄)が存在している状態で、Cr6+を抽出した場合、Cr6+⇒Cr3+への還元は起こらないのでしょうか?
>溶液が酸性の場合は、Cr6+が還元されると以前、回答でありました。
>www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=7692
>沸騰水の場合は大丈夫でしょうか?根拠となるデータや文献等があれば教えてください。
>
>また、VOLVO法というのを最近よく耳にします。この方法はCr6+溶出の有無を評価するに当たり、世界的に通用すると聞きましたが、どこが作った方法でしょうか(自動車メーカでしょうか)?また、条件等の詳細についてご存知の方がいれば教えて下さい。

筑波山麓です。遅くなって申し訳ありませんでした。
ホームページ作成に手間取ってしまい遅くなりました。http://www3.ocn.ne.jp/~tukubasaに開設しました。こちらからダウンロードしてください。また、EPA3060Aの原文の入手先も紹介しておきました。このホームページには、表および図が正しくコピーできませんでしたので、これら表および図はこちらの原文から入手してください。それでは、お仕事をがんばってください。

回答に対するお礼・補足

筑波山麓様
この度は、大変、お手数をおかけしまして、誠にありがとうございまいた。また、EPA原文の入手先もご紹介頂き、ありがとうございました。               まや

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