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環境Q&A

環境負荷物質の閾値について 

登録日: 2006年03月30日 最終回答日:2006年04月13日 エコビジネス その他(エコビジネス)

No.15868 2006-03-30 11:34:05 北関東の山人

ある材料メーカーのグリーン調達関連の担当者です。RoHS4物質のような環境負荷物質が不純物として製品に含有され得る許容限度の閾値について、最近は各客先がより厳しい要求をするようになってきました。

RoHS指令ではCdが100ppm、Hg、Pb、Cr+6が1000ppmですが、客先によってはCdで5ppmとかPbで100ppmとか一桁少ない閾値を定めるところも増えています。

各客先からは製品中の環境負荷物質がこの閾値の範囲内であることを示すエビデンスとして、ICPのように精度の高い分析方法による製品の分析データが要求され、当社も自社の試験室で分析したデータを提出しています。

ただこうした化学分析は1試料あたり数日間の日数と手間を要するので、全出荷品でこれを行うのは物理的に不可能です。客先に出すのは無作為抽出の1サンプルの分析結果に過ぎません。もしも上記の閾値で全出荷品中の不純物を厳密に管理しなさいと言われた場合、100〜1000ppmのような閾値なら分析にさほど手間のかからぬ蛍光X線で対応可能ですが、5ppmのような閾値では全くお手上げとなってしまいます。

実際のところ、こうした閾値の設定はどこまでの管理を要求しているのか、それに対しメーカーとしては一体どのような対応が現実的なのか、何らかの事例やご意見など伺えたら大変有難いです。

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No.16072 【A-1】

Re:環境負荷物質の閾値について

2006-04-12 17:22:39 パパリン

北関東の山人さんこんにちは
私は電子部品メーカーで環境化学物質関連の担当をしています。

私の経験ではCdで5ppmというような閾値は承認・検定の時のエビデンスとしての要求であって、日常管理で要求しているわけではないと思います。
グリーン調達基準を先頭切って進めているメーカーさんは、たとえグリーン調達基準などでCd閾値5ppmなどど書いていても、それは承認・検定のエビデンスとしてであって、日常管理は基本的に源流管理と管理システムの構築という事をおっしゃられます。

これはこれで厳しいことですが、禁止物質が出るかもしれないから監視するのではなくて、禁止物質が入ってこない仕組みを構築しなさいと言うことですね。

ただ、現実には意図せず禁止物質が入ってしまうことも人間が仕組みを動かしている以上絶対無いとは言い切れませんので、自己防衛のために一定の頻度で精密分析することが必要と思います。
例えば材料ロット毎(御社の様な材料メーカーさんに取っては原料ロットという言い方になるのかもしれませんが)に精密分析を行うとか、毎月または毎週精密分析するとか基準を決めて実施するのが望ましいと思います。
この目的は、万が一禁止物質の含有がこの分析で発生した場合に、どこまで前の物までが危ないかをすばやく客先に連絡し、損害を最小限にするためです。
これをやっておかないと、どこまでが対象か絞り込めず、莫大な市場回収になりかねません。

以上後参考になるかどうか分かりませんが、私の経験から述べさせていただきました。

回答に対するお礼・補足

パパリン様、

懇切丁寧なご助言を本当にどうも有難うございました。大変によく理解できました。

ついでにもう一つ教えて頂きたいのですが、例のグリーン調達基準で先鞭をつけたメーカーさんの環境管理物質管理規程には実際にそこまで書かれていないので、それは貴殿が何らかの機会に同社の担当の方から個人的に聞かれた見解の類と考えてよいでしょうか?また同社と同じレベルの閾値を設定しておられる多くの電子部品メーカーさんも、多かれ少なかれ同様の見解を持っておられると考えてよいでしょうか?

私の所属する工場の客先も電子部品メーカーさんが大半なので、最近は最下流から玉突き式に寄せられる源流管理の強化要求が増えています。ただ一方で上流の材料メーカーさんの中にはまだ大きな温度差があるところも少なくないので、材料メーカーでは最も川下にいる弊社は、日常管理の方法をよっぽど考えないと今後の対応が大変になるのでは思っております。

No.16092 【A-2】

Re:環境負荷物質の閾値について

2006-04-13 23:39:19 matsu

>最近は各客先がより厳しい要求をするようになってきました。
>
No.15660 A-7. Re:ガラスに対するRoHSの対応方法について 2006-03-17 02:43:06 
でコメントしたことがあります。これは経産省などの意向です。
源流管理が適正に運用されないことを官庁が問題にしていて、特に法規要求を自分勝手に拡大する動きや、本来自分の責任のはずの管理責任や費用負担を川上に先送りする動きには、独禁法などの問題も指摘されているようです。RoHSを拡張した分析要求をまだしているところは、一旦出してしまた要求を表面上引っ込められないでいるだけで実行されていないのではないでしょうか。
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3月3日に関連記事が出ていました。
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=12598&oversea=0
原本の経産省の基本指針に
http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i60302bj.pdf
以下のように、やりすぎてはいけないという趣旨のことが入っています。
含有化学物質情報の取得目的に対する理解の不足に起因する問題
・ 労働安全衛生、リサイクル推進、資源制約克服、環境保護等の目的毎に要求される化学物質情報の水準等は異なるはずであるにもかかわらず、含有化学物質情報の取得の目的が理解されないまま、川上・川中企業に求める情報の内容や含有閾値が、一律にあるいは最も厳しい水準、場合によっては安全係数を上乗せした形で設定されている場合がある。

回答に対するお礼・補足

出張他ですぐにお返事できなくて申し訳ありません。非常に貴重な補足情報を有難うございました。実に同感の内容ですが、こうした動きに行政が釘を差し始めている事実は初めて伺いました。早く業界全体で交通整理がなされるとよいのですが・・・・。

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