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環境Q&A

試験室、室温計の校正に関して 

登録日: 2008年04月07日 最終回答日:2008年04月08日 環境一般 その他(環境一般)

No.27549 2008-04-07 12:58:56 ZWl6638 iso-ems

お聞かせください。
客先監査で、検査室(ステンレスの硬度・引張り試験)の室温管理で、10〜35℃の範囲で試験することで規定してあるが室温が正しく管理されるためには「温度計」の校正が重要と指摘されてしまいました。
温度計の校正は法規制でしょうか?
ISO13485に準拠したGMP基準の対応とかでしょうか?
温度計の校正などどのようにするかご存知の方、享受お願いします。

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No.27551 【A-1】

Re:試験室、室温計の校正に関して

2008-04-07 20:36:27 あいそじむきょく (ZWlac5c

>お聞かせください。
>客先監査で、検査室(ステンレスの硬度・引張り試験)の室温管理で、10〜35℃の範囲で試験することで規定してあるが室温が正しく管理されるためには「温度計」の校正が重要と指摘されてしまいました。
>温度計の校正は法規制でしょうか?

観察事項ならば何もせず放っておけばいいと思いますが、おそらく不適合の(是正要求のある)指摘なんでしょうね。
推測ですけれど御社の管理手順は、次のJISあたりを引用しているのでしょう?
JIS Z 2241:1998金属材料引張試験方法
7.3試験温度 試験温度は,10〜35℃の範囲内とし、必要があれば試験温度を記録する。特に、温度管理が必要なときは23±5℃とする。ただし、温度変化に敏感な材料については日本工業規格の材料規格による。

温度管理が特に必要でなければ23±5℃の管理を手順には規定していないと思います。その様なケースでは温度計の校正は不要ですよね。校正管理が不要な理由をお客さん(監査員)によく説明して、説得するしかないと思います。またお客さんとの契約内容(保証)には無関係な試験装置ならば、そのことを主張した方がいいと思います。

>ISO13485に準拠したGMP基準の対応とかでしょうか?
御社は医療機器メーカなのでしょうか?
http://www.jqa.jp/07safety/11_topics/pdf/yakujipart3_slide.pdf

>温度計の校正などどのようにするかご存知の方、享受お願いします。
温度計が取り外せるならメーカで校正してもらうとか、あるいは校正証明書付きの温度計(比較基準器)を一つ買って、温度慣らしをしてから検査室内の温度計の目盛と比較点検するという管理方法もあります。他には氷点とか沸点を利用するケースもありますけど、この場合には校正の手順を準備するなど一寸面倒臭いです。
個別の材料規格を適用していない、または温度に敏感な材料の試験ではないケースならば、空調の温度設定画面の表示をモニタしているだけというメーカさんもいます。

回答に対するお礼・補足

あいそじむきょく様、回答ありがとうございました。
客先は、マレーシアにある医療機器メーカーで監査時にエアコンの設定表示(22℃とか)で管理なのか、卓上の温度計で管理なのかとの問いに、卓上の温度計で確認していると返答した物です。
校正必要なしの主張に、不適合が出されたものです。
何か納得できない物がありますよね。

No.27552 【A-2】

Re:試験室、室温計の校正に関して

2008-04-07 22:45:23 筑波山麓 (ZWl7b25

「iso-ems」さんへ。
>客先監査で、検査室(ステンレスの硬度・引張り試験)の室温管理で、10〜35℃の範囲で試験することで規定してあるが室温が正しく管理されるためには「温度計」の校正が重要と指摘されてしまいました。温度計の校正は法規制でしょうか?

校正は法規制ではありませんが常識です。室温は、空気浮力、種々の材質の容積計の膨張・収縮その他に影響し、不確かさに寄与します。要求される試験精度にもよりますが、精密な試験を行う必要があるときは、室温の管理(温度計の校正を含む)は重要なファクターとなります。そうでない場合でも、温度管理に使用している温度計が正しく国家標準にトレーサブルであることを証明しておく必要があります。

>ISO13485に準拠したGMP基準の対応とかでしょうか?
温度計の校正などどのようにするかご存知の方、享受お願いします。

下記は「東日本計量器工業協同組合」のサイトですが、温度計の種類と使い方の詳細が記載されています。簡単な校正方法についても記述されています。基本的には、「iso-ems」さんが使用される温度範囲をはさむ形で上限、下限の2点及び/又は中央の1点の2〜3点以上で校正を行う必要があります。
http://www.jckumiai.or.jp/pdf/ondkei-tukaikata2.pdf
http://www.keiryo-tsuhan.jp/ondokei/garasusei/shurui_setumei.html#0

校正の基準となる温度計は標準温度計以上の品質の温度計を使用し、国家標準にトレーサブルなJCSS(校正事業者登録制度)のガラス製温度計登録事業者に定期的に校正を依頼し、シンボル付証明書を発行してもらう必要があります。これらの詳細は、下記のサイトを参照ください。

独立行政法人製品評価技術基盤機構のサイト
http://www.iajapan.nite.go.jp/jcss/outline/index.html
財団法人 日本品質保証機構のサイト
http://www.jqa.jp/service_list/measure/file/glass_ondokei.pdf#search='ガラス製温度計%20校正'

なお、業者が販売している温度計だから正しい。温度計は狂わない!それを校正する必要などない!という考えをする方がまだまだいらっしゃいます。近年、GLP、ISO/IEC17025の考え方が浸透してき、このような誤った考えが修正されつつあることは好ましいことです。なぜ、このような校正が必要なのかをじっくり考えてみてください。

回答に対するお礼・補足

筑波山麓さま、回答ありがとうございました。
私の認識不足ですね・・・
今迄の監査で指摘されたことがなく、監査者が外国人だったこともあり何か理不尽に感じたようです。
教えていただいた種々のサイトで勉強します。

No.27561 【A-3】

Re:試験室、室温計の校正に関して

2008-04-08 18:56:53 筑波山麓 (ZWl7b25

>今迄の監査で指摘されたことがなく、監査者が外国人だったこともあり何か理不尽に感じたようです。

と言うことなので、申し訳ないが、私の経験した狭い範囲内のことを話します。

塩野七生さんが、欧米の考え方として、「神は細部に宿る」ということを言われていたと思います。これは、ものごとの転換場面では細部が決定的な役割をなす。細部の把握の詰めが甘いと、危機的状況を招くことがあることを言い、「大略を把握することをおろそかにすることではなく、大略を把握しつつ、細部にも十分な注意を払う」ことを言っているのだと私は解釈しています。東洋的な考え方で、大略を掴めば細部を軽視する考えの方が多いですが、これが紙面上を騒がす種々のトラブルの原因になっているのではないかと私なりに考えております。

欧米人は大変システマティックにものごとを考え行動します。欧米人の監査は、システマティックであり、非常にキツイです。

昔のことですが、監査で、ラボノートの記載内容から、ツジツマのあわないことを発見した監査者(米人)は、直ちに、試験者に監査者の目の前で、試験を再現することを要求し、その監査結果からデータの捏造の証拠を握りました。その後、直ちに、その試験担当者は、試験担当からはずされました。

一方、製品のクレーム及びカスタマーからの改良提案を米国の製造会社に連絡し、改良を迫ったところ、品質管理部長(博士)が直ちに日本にやってきて、一人で、私ども担当者十数人(品管、導入開発、カスタマーサポート、営業)を相手に一歩も引かず、その場で白板に理論式を書きながら(参考書も何もなし、頭の中に全ての知識が入っておりました)、私どもの提案をすべて論破しました。最後に、その必要性を理論式及びその実際性を数式に書き、かつ、説明し、その結果、製品の寿命が延長でき、かつ測定精度が倍増することを証明できたときに初めてニッコリ笑い、納得しました。そして、その場で、製品改良のための試験スケジュールを決定し、かつ、直ちに米国に帰り、1ケ月後には改良した製品を日本に送ってきました。

このように、彼らの行動は、非常に活動的、理論的、かつ、ドラスティックです。

今後も、「監査者が外国人だった」が続くようでしたら、御社のシステムに、GLP、ISO/IEC17025の考え方を十分に取り込むことを考慮し、準備されることをお奨めします。

回答に対するお礼・補足

筑波山麓さま、度重なる貴重なご意見ありがとうございました。
今までが何もなかった。は、たまたま見過ごされたに過ぎなかったと再認識し、おっしゃられるようにシステマチックに物事を見る習慣付けが必要と実感してました。

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