一般財団法人環境イノベーション情報機構

環境Q&A

水底土砂って「廃棄物」? 

登録日: 2001年08月02日 最終回答日:2001年08月09日 ごみ・リサイクル ごみ処理

No.284 2001-08-02 17:25:24

 しゅんせつ作業によって排出される「水底土砂」は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(以下「海防法」と略す)の廃棄物に含まれることは、同法5条2項1号に水底土砂の文言があることからも確認することができます。
 しかし、一方、廃棄物の処理及び清掃の関する法律(以下「廃掃法」と略す)上、水底土砂は廃棄物(同法2条1項)には該当しないとの解釈が一般的に採られているということ、ある文献から知りました。

 しかし、私は、廃掃法の定義に照らして形式的に判断すると、水底土砂も廃掃法上の廃棄物に該当するのではないかと思うのです。すなわち、

・廃掃法上の廃棄物は「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)」と定義されている(2条1項)
  ↓
・水底土砂は、埋立てや海岸造成のような再利用に供するものを除いて、海洋投入処分などによって処分する場合には、不要物である
  ↓
・それゆえ、水底土砂は、再利用せず処分する場合には、廃掃法2条1の項の「不要物」に該当する。
  ↓
・よって、水底土砂も、再利用せず処分する場合には、廃掃法上の廃棄物に該当する。

という解釈も成立すると思うのです。

 そこで、皆さんに以下の点について伺いたいと思います。

1. 水底土砂は本当に廃掃法上の廃棄物には「該当しない」のか。

2. もし「該当しない」とするならば、その法解釈上の実質的理由如何。

 ご存知の方がいましたら、よろしくお願いします。

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No.296 【A-1】

Re:水底土砂って「廃棄物」?

2001-08-09 14:55:56 東京都 / 君山銀針

廃掃法では廃棄物の中に入れていないようですね。

大阪府環境整備室
http://www.pref.osaka.jp/kankyoseibi/waste.htm
田中勝(1998)による『廃棄物学概論』
http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/EV_G_H1.html
などでは下記の説明があります。

次のものは「法」の対象から除かれています。
廃棄物処理法にいう廃棄物に該当しないもの
・土砂及び専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
・港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
・漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行った現場付近
 において排出したもの
・放射性物質およびこれによって汚染されたもの

このうち放射性廃棄物については、別の法律体系があるのですが、浚渫土砂や建設残土がなぜはいらないのか
というのは実は「運用」上の方便らしいです。

web上では下記の国会での質疑の情報がありました。
http://www.eda-jp.com/satsuki/kokkai/1981/810529.html

参議院・連合審査会 1981/05/29 (ちょっと前のものですが)
広域臨海環境整備センター法案について

○江田五月君 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について、四十六年十月十六日、厚生省環境衛生局長通達「廃棄物の定義」「なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。」「ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの」。土砂は(廃棄物に)入らないんじゃありませんか。

○政府委員(山村勝美君) 建設残土、しゅんせつ等の不用になった土砂につきましては、処理法上の一般廃棄物と解し得るものと考えております。従来、土砂につきましては、埋め立て用材の有用物として実際に使われておるという実態がございます。また、その物の性状から見まして、発生の現場で適宜移動もしますし、廃棄物の概念にはなじみにくい性格を持っておりますこと等から、運用上、廃棄物処理法としての規制はかけないという取り扱いをしてきたところでございます。

ただし、http://www.asahi.com/national/update/0808/001.htmlのように
現在の廃棄物の定義については、環境省が見直しを検討するとの報道が最近ありましたので、変わる可能性が大です。また、廃棄物の区分についても大幅な変更が検討されていくようですので、土砂の扱いも変わるかもしれません。

回答に対するお礼・補足

君山銀針さん、詳しく教えていただきましてありがとうございます。とても参考になりました。

 私は、君山銀針さんに掲載していただいた国会質疑記録のWebsite内で、山村勝美政府委員の答弁の後に江田議員(社市連から全国区で出て当選1回目の時か?)が指摘している点とほぼ同じ疑問を持っておりまして、いろいろ調べておりました。
 すなわち、もし水底土砂が廃掃法上の廃棄物(一般廃棄物か?)に該当するのであれば、水底土砂を扱う人は廃掃法上の規制を受けることになって種々の義務が課されるし、それに違反すれば刑罰を科される場合もあるわけです。
 そうならば、罪刑法定主義、適正手続(憲法31条など)の要請からして、国民の行動の自由、行動予測可能性を確保するために、水底土砂が廃掃法上の廃棄物に該当するということを法律上明確にしておかなければならないはずだと考えました。

 ご指摘の、「田中勝(1998)による『廃棄物学概論』」などをはじめとして、いくつかの文献にあたってはいたのですが、水底土砂を廃掃法上の廃棄物から除外する明確な法的理由付けを記載したものには巡り合えず、困っておりました。

 しかし、ご指摘の参議院答弁からして、君山銀針さんのおっしゃるとおり、「運用上の方便」なんですね。これでは、いくら法律書をあたっても、理由なんてでてこないはずですね。

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