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環境Q&A

瑕疵担保責任について 

登録日: 2008年06月27日 最終回答日:2008年07月06日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染

No.28479 2008-06-27 09:17:27 ZWlb541 未来

 土地取りに伴い、汚染のおそれが少ない土地として自主調査(ガス調査・表層部調査を実施、土地履歴調査より第3種の存在の可能性が低いと判断し、調査項目から除いた)を行いましたが、汚染は確認されず健全な土地と判断されました。このような場合、土地売買成立後に買主が自主調査を行い表層部以深での汚染が判明した時には、売主に瑕疵担保責任は発生するのでしょうか?また、土壌汚染調査実施業者の責任はどうようになるのでしょうか?どなたかご教授の程宜しくお願いします。
 もう一つ追加で質問ですが、もし、売主に責任が発生しないとなると、将来、買主が土地を売買するときには、買主が土壌汚染措置等を実施することになるのでしょうか?

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No.28486 【A-1】

Re:瑕疵担保責任について

2008-06-27 20:35:56 とおりすがり (ZWlb14f

調査報告書を重要事項説明で買主に調査報告書を提出するはず、もしくは重要事項説明に記載されるわけですから、買主は調査内容に納得の上、その土地を購入するわけですよね。よって、きちんとした契約が交わされた土地売買後の汚染の判明は特別な場合以外買主責任になるでしょうね。
特別な場合とは、埋設管下や地下室下の調査をしていないとか、重要事項説明に載っていない埋設廃棄物が出てきて、その下が汚染しているとか。とにかく、契約事項(報告書内容以外)の汚染が確認された場合は、売主責任になる場合もあります。ようは売買時の契約内容じゃないでしょうか。

土壌汚染調査実施業者の責任については何の根拠も無い適当な調査をしていれば責任を問われることになりますが、上記でも述べたように、調査発注者が埋設管等の存在や位置を提示してくれなければ分からないような場合は、調査発注者の情報提供不足で調査発注者(本件の場合は売主)の責任になると思います。

> 売主に責任が発生しないとなると、将来、買主が土地を売買するときには、買主が土壌汚染措置等を実施することになるのでしょうか?

土壌汚染対策法では法第7条に「汚染原因者(汚染原因者が不明等の場合は土地所有者等)に対し、汚染除去等の措置命令」と記載されています。つまり汚染原因者が特定できなければ、汚染が確認された時点の土地の持ち主が除去命令の対象者になります。



回答に対するお礼・補足

 大変勉強になりました。ありがとうございます。
今後とも宜しくお願いします。

No.28513 【A-2】

Re:瑕疵担保責任について

2008-06-30 17:01:38 デスク中 (ZWl4146

> 土地取りに伴い、汚染のおそれが少ない土地として自主調査(ガス調査・表層部調査を実施、土地履歴調査より第3種の存在の可能性が低いと判断し、調査項目から除いた)を行いましたが、汚染は確認されず健全な土地と判断されました。このような場合、土地売買成立後に買主が自主調査を行い表層部以深での汚染が判明した時には、売主に瑕疵担保責任は発生するのでしょうか?また、土壌汚染調査実施業者の責任はどうようになるのでしょうか?どなたかご教授の程宜しくお願いします。
> もう一つ追加で質問ですが、もし、売主に責任が発生しないとなると、将来、買主が土地を売買するときには、買主が土壌汚染措置等を実施することになるのでしょうか?

1,行政の判断を仰ぐ。
 自主調査に関しては、法等の規制はなく過度な調査 になるケースが多いです。このことから対象地での 自主調査を行う場合の判断材料として、行政へ調査 の内容等を相談することで土地売買時に調査報告書 にお墨付きをもらうと有効です。但し、最近は行政 も勉強をしているようで相談には乗るけどお墨付き を出さないケースもあります。

2,土地取引時の瑕疵担保責任の明確化
 土地取引契約時に瑕疵担保に関する約定を乗せる場 合、調査資料を添付し調査内容の正当化を計る。
 法及び条例等に即した内容で調査を行ったことを契 約上で掲載し、この調査が正当に行われたことを明 記します。但し、埋設ゴミ・支障物等については、 この項目より除外する。

3,土壌汚染調査実施業者の責任
 法律等に即した調査であれば、責任は問われないで す。あくまでも資料調査及び聞き取り調査等からの 判断ですから全て100%とは限りませんから法律等か ら逸脱した調査でない限り大丈夫だと思います。

4,買い主の責任
 元々、汚れている可能性がある土地の取引ですから 今回の質問のように100%OKということはいえないと 思います。例えば表層調査は100m2又は900m2に1点採 取しその区画を判断しなければなりません。当初の 採取ポイントを少しずらしただけで検出される場合 もあります。ですからこういった土地取引はいろい ろな場合を想定して行われなければなりません。

長くなりましたがいささか文章も不慣れですがいかがでしょうか?参考になりましたか?

回答に対するお礼・補足

 ご回答ありがとうございます。土壌汚染調査の勉強を始めて間がないため、細かい解釈がとても難しいと感じています。今後ともご指導宜しくお願いします。

No.28533 【A-3】

Re:瑕疵担保責任について

2008-07-02 11:26:24 (ZWlb541

 土地売買契約時の瑕疵担保責任(民法第570条)では、『瑕疵担保責任は、売買の目的に隠れた瑕疵がある場合の売主の責任である。瑕疵担保責任が成立するためには、目的物に「瑕疵」があること及びそれが「隠れたる」瑕疵がであることが必要である』としています。
 従って、隠れたる瑕疵であるか否かの判断は必要ではあるでしょうが、瑕疵担保責任については第一主義的には売主に課せられると思われるのですが、いかがでしょうか?
 「とうりすがりさん」との見解が違うのですが・・・

回答に対するお礼・補足

Mさんありがとうございます。

No.28552 【A-4】

Re:瑕疵担保責任について

2008-07-03 11:05:03 とおりすがり (ZWlb14f

調査会社の報告書としては法・条例に準拠もしくは参照したような内容で調査を行います。よって、表層土壌調査で指定基準等が超過しない限りはその時点で調査は終了になります。しかしながら、当初の試料採取地点から10cmはなれたところから試料を採取したら指定基準等の超過が出るかもしれません。もちろん表層になくても盛土などの理由によって深層に汚染があるかもしれません。ですから、「法や条例に準拠もしくは参照した調査の結果、指定基準等の超過は確認されなかった」としか書けないのです。つまり、法や条例自体の調査方法が必ずしも完璧ではないということです。
売主が汚染原因を隠していた場合以外は適正な調査を行った結果でしかその土地の土壌の評価はできないでしょうし、買主もその報告書でしか評価できないでしょう。買主が売買後に同様の調査を行って同じ結果が出るとはかぎりませんから。
と言う意味でお互いの了承のもと、土地の売買を行うわけですから、売買後は特別な場合を除いて、買主側の責任になると考えております。

Mさんへ
このような土地売買における民法があるとは知りませんでした。私が考えていますのはあくまでも土壌汚染対策法側からの考えですので、勉強になります。教えてくださりありがとうございました。

回答に対するお礼・補足

とうりすがりさん、Mさんありがとうございます。法によって解釈に違いがありそうですね。もう少し、自分で勉強してみます。

No.28597 【A-5】

Re:瑕疵担保責任について

2008-07-06 02:58:16 土壌浄化から20年 (ZWlac7

少し質問からそれますが、土壌汚染の瑕疵担保責任に関する事例を紹介します。

>このような土地売買における民法があるとは知りませんでした。

土壌汚染の係争案件のほとんどは土壌汚染対策法でなく、民法や商法により争われているようです。

また、時効も土壌汚染対策法では汚染から20年ですが、千葉市で昭和40年代に焼却灰や廃棄物を不法投棄したことを原因にする土壌汚染に関する公害調整では浄化工事が完了してから20年で時効であるとの裁定が下されています。

川崎市における土壌汚染財産被害責任裁定申請事件に係る報道資料一覧
http://www.soumu.go.jp/kouchoi/substance/news/announce/hodou_kawasaki-index.htm

<以下引用>
本件では,加害行為として,被申請人の不作為が主張されているところ,不作為不法行為についての民法724条の20年の起算点である「不法行為の時」がいつの時点であるのかが問題となる。

 不作為不法行為の場合,作為義務違反による不作為が継続する限り,不法行為は継続しているといえるから,「不法行為の時」とは,その最終の不法行為の時,言い換えれば,継続的不法行為が終了した時を指すものと解するのが相当である。

 そうすると,不作為不法行為の場合には,作為義務の履行が完了した時か,あるいは,作為義務の性質上,作為義務の履行ができなくなった時が最終の不法行為の時ということになる。

 本件では,土壌汚染対策工事が平成18年3月ころには終了していたことが認められるから,その時点が民法724条の20年(除斥期間)の起算点である「不法行為の時」に該当する。・・・

 土壌が汚染された土地の所有権が転々と移転する事例を考えると,損害の公平な分担という不法行為の制度趣旨に照らし,先行行為によって自ら危険を生じさせた者は,所有権の移転に伴い新たな所有者となった者との関係でも,自ら発生させた危険を除去すべき作為義務を負い,その新所有者との関係では,不作為不法行為が継続していると評価するのが相当である。
<以上引用>


他の参考となる資料は↓
川崎市における土壌汚染財産被害責任裁定申請事件の終結(裁定)
http://www.soumu.go.jp/kouchoi/substance/chosei/pdf/053/tokushu_53_2.pdf

土壌汚染調査実施業者が土壌汚染対策法に沿って瑕疵担保責任をアドバイスするのは責任を追求される可能性があるので注意すべきでしょう。

回答に対するお礼・補足

土壌浄化から20年さん、回答ありがとうございます。

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