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環境Q&A

水質汚濁防止法違反までの道のり 

登録日: 2009年01月23日 最終回答日:2009年01月25日 水・土壌環境 水質汚濁

No.30992 2009-01-23 10:20:56 ZWlc026 アキ吉

現在、水質汚濁防止法について勉強中です。法律内容、基準値など資料で判ることについては、おおよそ把握できました。

改善命令、一時停止命令は、特定事業所からの排出水が排水基準に適合しないおそれがあると認められた場合や、環境省でさだめる要件に該当する特定地下浸透水を浸透させるおそれがあると認められるときなどに命じられるとあります。

しかしながら、ノルマルヘキサン抽出物質含有量などは、植物油と鉱物油の基準値が分けて設定されていますが、実際は、分けて測定することは出来ず、ものすごく曖昧になっていると聞いたことがあります。

では具体的に、数値としてどの程度超過した場合、上記の改善命令、一時停止命令の条件に該当するのでしょうか。
特に、BOD、COD、SS、ノルマルヘキサン抽出物質含有量についての現状をお聞かせ下さい。

また、水質汚濁防止法違反として、罰金などの実刑が科せられるのは、どのような状況になった時でしょうか。

申し訳ありませんが、ご教授下さい。

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No.30999 【A-1】

Re:水質汚濁防止法違反までの道のり

2009-01-23 15:36:55 ronpapa (ZWlba5

アキ吉さんは会社にお勤めでしょうか。学生さんですか。
行政の方ではないと思うのですが、私の答え方に不快を感じられたらお許し下さい。
(詳しい方からの回答が得られ易くされるための助言のつもりなのですが…)

(1) タイトルで「違反までの道のり」と尋ねられますが、短いようで長い道のりもあると思いますが。
いきなり「命令」措置の事例は少ないと思います。交通違反などの現行犯事例でなく、水質汚濁防止法に関する行政措置の道のりをお尋ねですから、通常は、通達/指導(助言)/勧告/命令/公表(過料・罰金)…の手順が踏まれるはずです。
改善勧告/改善命令/行政指導/行政措置…と云われる場合もありますから、それぞれを追加学習されると良いと思います。
(当Q&Aサイト内の参考。http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=25753

(2) 上記の事は既にご存知での質問でしたら、ご質問のされ方を整理していただいたほうが良いと思います。
「特定事業所からの排出水が排水基準に適合しないおそれ」の場合と、「特定地下浸透水を浸透させるおそれ」の場合では異なる判断措置手順となることも想起されます。
(浄化措置命令のことでしょうか。http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=1256

(3) 「どの程度超過した場合に…」との問いについても、「それぞれに定めるいずれかの基準値を超えた場合」としか答えられないと思うのですが。 水質汚濁防止法は、交通違反の速度判定のように時速何十キロ超過かの制限枠毎によってのポイント罰金刑と刑事罰を段階的にシフトさせる仕組みではありませんので。(地方条例等による上乗せ基準で段階シフト制をとっている事例があるのでしょうか。その点は私も確認していません。)

他にも、「測定値の曖昧さ」や「実刑の事例」を聞いておられますが、具体的な疑問点に絞られることと、ご自分でサイト内検索されれば得られる情報も多いと思います。
水濁法に詳しい実務経験者の方も多くおられる当Q&Aサイトですので、すぐに回答レスが得られないことを不思議に思い、ご質問内容を整理してみました。ご容赦下さい。

回答に対するお礼・補足

ロンパパさん、ご回答有難うございます。
私は、都内の高校に通う学生です。
この度は、法律で表現されることが、現場ではどのように解釈されるのかを知りたくて、投稿させていただきました。
質問の内容についてご指摘ありましたので、以下に具体的な質問内容を記載しました。

水質汚濁防止法13条で『排出水を排出する者が、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出するおそれがあると認める…』という表現がありますが、行政の方が立入検査で事業所の排水を測定した際、その数値が基準値を上回っていた場合は、『排出するおそれ』ではなく、『排出している』=法律違反になるのでは?と思ってしまうのですがそうではないのですか?
また、植物油と鉱油を利用している事業所で、ノルマルヘキサン抽出物質が、20mg/L測定された場合、通達・指導などの対象となるのでしょうか?
『通常は、通達/指導(助言)/勧告/命令/公表(過料・罰金)…の手順が踏まれる』とのことですが、水質汚濁防止法では排水基準違反に対しては直ちに罰則を科す(直罰)があるようですが、どのような状況の場合に直罰にあたるのですか?

色々質問してすみません。
どうか、ご教授下さい。

宜しくお願い致します。

No.31019 【A-2】

Re:水質汚濁防止法違反までの道のり

2009-01-24 21:43:55 Lake (ZWla752

>しかしながら、ノルマルヘキサン抽出物質含有量などは、植物油と鉱物油の基準値が分けて設定されていますが、実際は、分けて測定することは出来ず、ものすごく曖昧になっていると聞いたことがあります。

実際、分けて測定することはできません(と思います)。
なので、特定施設の種類や、事業所の業種で分けています。例えば、食料品製造業や飲食店であれば動植物性、一般的な工業系なら鉱物油、などです。

>では具体的に、数値としてどの程度超過した場合、上記の改善命令、一時停止命令の条件に該当するのでしょうか。

法律上は、少しでも超えたら、ということになります。

>また、水質汚濁防止法違反として、罰金などの実刑が科せられるのは、どのような状況になった時でしょうか。

このあたりは、「三権分立」も勉強なさってください。
行政機関が罰則を科すことはできません。司法機関(具体的には警察、ですかね)に告発することになります。また、警察が違反を確認すれば、違反の程度に関わらず司法の判断になります。(警察が入ったからといってすぐ罰則が科せられることにもなりません。状況によっては起訴猶予になることもあるでしょう。)
行政の目的は「違反を罰すること」ではなく、「法を守らせること」なので、たまたま(というと語弊があるかもしれませんが)基準を超えてしまった、というときに告発や改善命令をするより行政が指導することで速やかに基準が守られるならば行政指導で改善させる、ということは多いです。

回答に対するお礼・補足

Lekeさん
ご回答有難うございます。
三権分立を整理して考えなければなりませんね。
三権分立をもう少し掘り下げて、見てみたいと思います。
有難うございました。

No.31022 【A-3】

Re:水質汚濁防止法違反までの道のり

2009-01-24 23:41:37 ののむら (ZWl704f

Lake様も書かれているとおり、基準を超えたら法を違反したことになります。....が、実際は基準を超えたらすぐ罰を課せられるわけではありません。

これは刑法を含む「罰則が決められている法律」全般に言えることですが、「法で罰則の規定があること」を「故意に」「行った」行為のみが罰則の対象になります。
殺人には「過失(故意じゃない)」とか「未遂(行っていない)」行為も罰する規定がありますが、水質汚濁防止法にはそのような規定はありません。

装置の故障や水害などでたまたま基準を超過した場合は「故意」に基準を超過した排水をしたわけではないので罪に問われることはありません。

このため、排水データのねつ造や、基準を超過していると解っていて日常的に排水するといった悪質なものが摘発されることになります。
あとは犯罪事実を警察や海上保安庁が捜査し、検察が起訴し、裁判で有罪と断罪されれて初めて罰が科せられます。
疑わしきは罰せられません。

違法行為を確認した一市民が直接警察に告発して構いません。
役所に通報してもよいのですが、役所は役所でそれなりに違法行為があったことを確認したうえで警察に告発することになるので、警察が捜査に着手するのに時間がかかる傾向があります。

「実害(例えば川魚が大量死した、とか)」があって、そこに「故意」といってもいい重大な過失があれば罪を問われる可能性があります。
この辺は実際に裁判になってみないと解りません。
罪があるかどうかは最終的に裁判官が判断することになります。

ちなみに....法19条(無過失責任)では「損害を賠償しなければならない」と定められています。
これは刑事罰ではなく民法的な規定であり、「故意」があったかどうかは問題にされません。
条文のタイトルにもあるように、仮に過失であっても、損害が生じれば賠償をしなくてはならないのです。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO138.html#1000000000000000000000000000000000000000000000001900000000000000000000000000000

回答に対するお礼・補足

ののむらさん
ご回答ありがとうございます。
勉強になりました。

水質汚濁防止法で定められた直罰は、民法であるので、基準値を超えたら刑罰がすぐ科せられるという意味合いではなく、民事裁判となったとき「故意でなくとも、排水により損害が生じた場合は賠償しなければならない。」という意味合いですね。

直罰の意味を理解できました。

有難うございました。

No.31026 【A-4】

Re:水質汚濁防止法違反までの道のり

2009-01-25 13:41:59 sakai (ZWl9955

私が経験した事で話してみます。

一度ある物質の濃度が基準値を上回ってしまい、指導を受けたことがあります。たいがい、改善命令で止めておかないと、会社自体がストップし、事業がなりたたなくなるため、ここで、何とか原因を追及して、改善します。停止命令まで行くと、損害が大きくなるので、もしかしたら、不届き者が、こっそり別ルートで排水を流すかもしれません。そしたら、告発対象となると思います。
 あと考えられるのが、数値の改ざんでしょうか、基準値オーバーしているのにかかわらず、数値を改ざんして報告、それが立ち入りでばれて、それが企業ぐるみで悪質と判断されて、告発という道のりでしょうか?

BOD、COD、SS、nヘキサンは、管理しやすい項目だと思いますし、SSは目に見える事もあるので、あまり基準値を超える事はないと思います。
これらの項目はそこそこ相関関係がるので、排水処理装置が順調に稼働していれば、超過することは希ですね。 常時監視として、SS,CODがありますが、CODは2時間に1回なので、測定の合間に排水している場合もあります。SSは濁度計などに置き換えて、濁りが多い場合は、排水出口の遮断弁などを落として、排水しないよう、自動で管理しているような安全措置もあるので、大丈夫でしょう。

 私が管理していた排水処理施設は、工場が、市などと、水濁法よりも低い協定値を設定していますので、まず、協定値を超えた場合、市に対して始末書を出して、改善する。という事になるので、水濁法違反まではなかなかできるものではないですよ。

回答に対するお礼・補足

sakaiさん
ご回答有難うございます。

実際に現場で管理を行なっている方の貴重なご意見をいただき有難うございます。

大変参考になりました。

No.31030 【A-5】

Re:水質汚濁防止法違反までの道のり

2009-01-25 22:04:59 おせんち (ZWlb24a

>改善命令、一時停止命令は、基準に適合しない「おそれ」がある場合に行使されます。したがって、これまで一度も排出水の基準違反をしたことのない特定事業所に対しても、明らかに「おそれ」があると認められるときは、命令することが出来ます。現実には、いきなり命令することはなく、さまざまな指導が行われるでしょう。その指導を聞き入れなく、不誠実な態度をしている場合は、仕方なく命令をすることになるでしょう。なお、排水基準違反を何度も繰り返している事業所は、明らかに「おそれ」があると判断するに足る状況にあると思います。 命令の条件は、「おそれ」プラス「悪質」になるのではないでしょうか。

 ノルヘキについては、特定事業所内の作業工程から判断するのでしょう。ノルヘキ基準の適用に経過措置のある特定施設などを確認するとそれが読みとれると思います。鉱質油と動植物油の分離は、動植物油を鹸化したり、フロロジルカラムで吸着する方法などがありましたが、今はやらないのでしょうか。

 罰金などの実刑は、司法機関の所管になりますので、警察機関が直接摘発したり、また行政の指導の限界を超える場合には、告発をきっかけに行うことになるのでしょう。多くは、略式の判決が下され、罰金支払いの命令に依存がなければ、それに従って終わりです。裁判をすることも可能ですが、余りやる人はいないようです。

回答に対するお礼・補足

おせんちさん

ご回答ありがとう御座います。

排水の水質を管理をされる行政の方は、「おそれ」「悪質」などの判断が難しそうですね。

大変参考になりました。
有難う御座いました。


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