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環境Q&A

ソフィア議定書に批准しない日本って? 

登録日: 2010年06月16日 最終回答日:2010年06月23日 環境行政 法令/条例/条約

No.34996 2010-06-16 17:24:42 ZWld64 みみず

こんにちは。農業に関わるみみずと言います。

今さらながらですが、EIC環境用語集で硝酸汚染のことを調べていましたら、タイトルにあります「ソフィア議定書」というものにぶつかりました。

勉強不足で恥ずかしいのですが、同議定書は「長距離越境大気汚染条約(1979)に基づいて1988年に採択され、現在、主にEU諸国を中心に49カ国が批准している」とのことで、国際的には有名なようですが、なぜ日本は批准しないのでしょうか(1つ目の質問)?

議定書のそもそもの目的が「主にヨーロッパにおける酸性雨等の越境大気汚染の防止対策」ということから、「EUではない日本には関係ない」ということなのでしょうか?

たとえそうだとしても、日本が議定書に批准し行動を起こすことのメリットは大きいと思います。以下、定性的な表現しかできていませんが、メリットがあると考える理由を挙げてみました。

窒素酸化物削減に関する定量目標が定められているソフィア議定書に批准することは、

@米国や英国も批准している(外交上のメリット)
A酸性雨や富栄養化、黄砂(硫黄酸化物など)など私たちの生活に身近な問題への対処の契機となる(生活上のメリット)
B硝酸態窒素汚染の防止
C窒素酸化物が因子となって引き起こされるアレルギーなどの諸疾患の予防および減少
D地球的な物質循環における不活性ではない(生物に様々な悪影響を及ぼす)窒素増大リスクへの早期対応
E5と併せた窒素酸化物の温室効果削減
F私たちの将来に対する不安の払拭

などがあるかと思います。
CO2削減も大事ですが、日々大量に輸入している食糧および飼料を、環境中に大量に排出している私たちの(広義の)健康を考えれば、窒素循環にもっと敏感になることは大いにメリットがあると思います。

上記理由から、日本もソフィア議定書に批准し、窒素酸化物削減目標を定め、EU各国と協調して削減に向け努力していくことは大きな意味があると思いますが、いかがでしょうか(2つ目の質問)?

専門家の方々(政治関係の方も含みます)、日々現場で生産あるいは廃棄物処理に携わっている方々の率直なご意見を頂戴できれば幸いです。

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No.35022 【A-1】

Re:ソフィア議定書に批准しない日本って?

2010-06-20 11:28:11 Commodore (ZWlb750

酸性雨は地球温暖化と違って狭い範囲です、どこの国のがどこの国にへと
はっきりしていますので該当国が入っていないと意味の無いことではない
でしょうか?
アメリカはカナダと、イギリスは隣接するヨーロッパと問題になってます。

で、日本のはハワイまで届きますかね?

窒素酸化物排出抑制の成熟期にある日本が批准して一律何%カットなんて
出来ないと思います。

間違ってたら訂正願います。

回答に対するお礼・補足

Commodoreさん、ご回答ありがとうございます。

論点が2つあるかと思いますので、まず整理させてください。
1つは日本がソフィア議定書に批准しない理由として、窒素酸化物がハワイまで届いていないため、について。
もう1つは、日本は窒素酸化物排出抑制が成熟期にある、ということについて。

1つ目ですが、窒素酸化物がハワイまで届くかどうかは私にはわかりません。Commodoreさんのご所見では、日本は酸性雨に関して他国と問題になっていない。だから批准する必要がない、ということですね。

そういうことであれば、一応批准しない理由として理解できます。


2点目の、「日本は窒素酸化物排出抑制が成熟期にあるから削減は無理」ということについてですが、Commodoreさんは何を根拠にされて日本が窒素酸化物排出抑制の成熟期にあると断言されているのでしょうか?

私が調べた限りでは、日本は1990年比で排出量が横ばいです(統計上の最新年は2002年)。データは下記から御覧になれます。
http://www.env.go.jp/doc/toukei/contents/index.html
(環境省統計H22,「各国の窒素酸化物(NOx)排出量の推移」より)

総量で見ても、日本とほぼ同じ国土面積を持つ(酸性雨で有名だった)ドイツよりも36%高い(2002年)。ドイツが1990年比で半減できたのに対し、日本がまったくできない根拠はあるのでしょうか?

そもそも、現実問題として日本中赤潮が問題となり、気候が変動し、松が枯れ、雨水のpHも国際的にみて低い、呼吸器疾患も多い、ということなどからすれば、因子の1つである窒素酸化物の排出を抑制する(削減目標を定める)議論は成立しやすいのではないでしょうか?

以下のような論文もあります。
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/320/5878/893
http://wiredvision.jp/news/200805/2008052023.html(和文解説)
ご参考までに。

No.35035 【A-2】

Re:ソフィア議定書に批准しない日本って?

2010-06-21 19:56:44 いろいろ (ZWlae2d

上記回答に勘違いされているようですね。
交渉相手が同じテーブルに着かないからとのことでは
ないですか。
(対象は風上の石炭需要の多い国かな)

それと上記論文の中身では原因は農業の肥料にあると
なってるので的外れではないでしょうか。

回答に対するお礼・補足

いろいろさん、ありがとうございます。
確かに、石炭需要の多い交渉相手国さんがテーブルにつかない、だから日本も…それは大いにありえますね。

これで1つ目の疑問は氷解しました。

No.35038 【A-3】

Re:ソフィア議定書に批准しない日本って?

2010-06-21 23:50:11 Lake (ZWla752

そもそも、議定書に批准する以前に、条約に加盟していないのですが…

>2点目の、「日本は窒素酸化物排出抑制が成熟期にあるから削減は無理」ということについてですが、Commodoreさんは何を根拠にされて日本が窒素酸化物排出抑制の成熟期にあると断言されているのでしょうか?

>私が調べた限りでは、日本は1990年比で排出量が横ばいです

排出量が横ばい、というのが根拠なんではないでしょうか?

>ドイツが1990年比で半減できたのに対し、日本がまったくできない根拠はあるのでしょうか?

1990年というのは、東西ドイツが統一した年です。そこを基準にすれば、旧東ドイツの旧式の工場を「普通の」工場にするだけでNOxを含めた汚染物質をかなり減らすことが可能なはずです。

回答に対するお礼・補足

Lakeさん、貴重なご感想、ありがとうございます。
まず、日本は長距離越境大気汚染条約に加盟していない、と。

(↓窒素酸化物の総__)
>排出量が横ばい、というのが(排出抑制の成熟期である)根拠なんではないでしょうか?

確かに日本では工業面では早くから排出抑制をしていたと思います。環境省の別の統計でも排出抑制が進んでいることが分かります。移動排出源である自動車等についても、平成15年あたりから各都道府県で規制を始めましたし、それなりの成果を上げてきていることがわかります。

>1990年というのは、東西ドイツが統一した年です。そこを基準にすれば、旧東ドイツの旧式の工場を「普通の」工場にするだけでNOxを含めた汚染物質をかなり減らすことが可能なはずです。

勉強になります。確かにドイツは「普通の」工場になり、汚染物質を大幅に減らすことができた。それも必要に迫られて具体的な削減目標を立てたためでしょうね。

工業面については分かりました。

しかしそれでも窒素酸化物が様々な形をとって私たちの健康被害に影響を与えている、生態系のバランスを崩している、そうした現実認識から、予防策、排出抑制策を国を挙げて行っていくことはメリットがあるのでは、というのが私の質問の趣旨でした。ただ、そのメリットがいかほどのものなのか定量的に示すことができていないのでは、議論になりませんね。

ちなみに、ソフィア議定書のホームページには、「第一段階では、1987年に比べて1994年には9%の削減が実現した。25参加国のうち19カ国が目標を達成するか、更に目標以上の削減を実現している。」
「第二段階では、アンモニア等の窒素化合物、揮発性有機化合物など、酸性雨、富栄養化、環境中への影響、人間の健康への影響を及ぼす物質の主要な排出源に対して効果ベースのアプローチを要求する」とあります。
http://www.unece.org/env/lrtap/nitr_h1.htm

和訳は得意ではないので、できれば上記リンク先を直接ご覧ください。

No.35039 【A-4】

Re:ソフィア議定書に批准しない日本って?

2010-06-22 07:43:49 Commodore (ZWlb750

日本は取り組みが早かったので規制や技術の進歩により個々の排出量はかな
り減らしてるのですが、それと同等若しくはそれ以上に経済成長があったの
で総量的には出てないのだと思います。
取り組みが遅い国は経済成長が鈍化した中なので数字に表れるのではないで
しょうか?

それと他の方の指摘にもありますが、参考とされている和文の中で、
>>窒素は産業活動によって排出されるものもあるが、大半は作物の肥料
>>から排出される。
と書いてあります、赤潮等の原因については窒素やリンによる富栄養化が
上げられています、これからは肥料の規制も必要なのかもしれません。
(出来ないでしょうけど)


回答に対するお礼・補足

Commodoreさん、ありがとうございます。

そうですね。
おっしゃるとおりだと思います。

最後の方の
>これからは肥料の規制も必要なのかもしれません。
(出来ないでしょうけど)

というくだり、私も規制が必要だと思う立場ですが、Commodoreさんはなぜ出来ないと思われるのか、すごく興味あります。


先日、大丸百貨店のお米専門店で「減化学肥料70%」、「無化学肥料」といった売り文句のお米が600円/kg〜700円/kgと高値で売れてました。時代は化学肥料不要論、に傾いているのですね(全部要らないとは私は思いませんが)。

農業界では有機農業が高度な技術として注目され、窒素の合理的な使用方について腐食率やB/F値を関連する評価指標として見ていこうなど活発な議論もあります。食品小売業界においても、葉物野菜などの硝酸態窒素汚染濃度を簡易に計測できる廉価な分析機器が出ているくらいです。


肥料のみならず、燃料や資材など、窒素酸化物に関連する窒素の排出規制は、農業上、経済面も含めた合理性を持った水準までなら(減反調整が出来るくらいですから)出来るのではないでしょうか?

たとえば、申告制において1kg・NOx排出抑制に寄与した農家には100円/kg・NOx還付する(インセンティブ)、逆に上限値を超えて排出した農家は100円/kg・NOx支払うなど。いわゆるエコカー減税方式(トップランナー方式)の農業版ですね。

No.35044 【A-5】

Re:ソフィア議定書に批准しない日本って?

2010-06-22 22:22:36 Lake (ZWla752

みみずさんの回答を見ていると、まるで日本が何も対策をしていない、だから国際的な枠組みの中で対策を取るべきだ、というお考えのように思います。(違ってたらごめんなさい)

少なくとも日本では、1970年代以降、大気についても水質についても順次対策がうたれてると私は理解していますが…(強いて言うなら、農業についてはまだ対策の余地があるかもしれません)


A-4への返信で、『…「減化学肥料70%」、「無化学肥料」といった売り文句のお米が600円/kg〜700円/kgと高値で売れてました。時代は化学肥料不要論、に傾いているのですね(全部要らないとは私は思いませんが)』と書かれていますね。
日本をはじめとする先進国(の中でも富裕層)はそれでもいいかもしれませんが、そんな高価な食品ばかりになってしまったら、NOxによる健康被害を心配するより、飢餓の心配をしないといけませんね。(バイオエタノールの影響でトウモロコシが高騰して問題になったことはご存じですよね)

回答に対するお礼・補足

そうですね。確かに日本が何も対策していない、だから国際的な…と言いたかったと思います。回答者へのお礼の欄にあるように、皆さんのご意見をうかがっているうちに、そうでもないんだな、という風な意識も持てるようになりました。

ありがとうございます。

それからLakeさんが書いておられるように、(強いて言うなら)の部分で、私も農業と農業に関わる肥料、機械(燃料)、資材、貿易、流通、包装、加工等々にこそ窒素酸化物排出抑制の余地がある、という思いを強くしました。
一当事者として、頑張りたいと思います。

富裕層のくだりですが、私は高値で売られているようなお米”ばかり”になってしまう経済合理性はないと思います。そして、高額商品市場の拡大と飢餓の拡大はあまり有意な関係にはなく、むしろ農産物価格が高まることは農業への投資拡大につながり、生産量の増大や生産効率の改善につながるという、プラスの影響が期待できる、と私は考えます。

バイオエタノールについては、飢餓に対する直接の影響はないと思います。需給バランス次第で、つまりエネルギー作物としてのトウモロコシよりも、食糧としてのパンにする小麦の方が高く売れるのであれば、米国農務省の予算は支持母体である農業者団体および肥料業者の意向に沿った形、つまり”より高く売れる作物を増産させる方向へ”回ることになると思います。現在起こっている飢餓問題については、富の分配の問題であり、あくまでも政治問題だと思います。

間違っていましたら、訂正願います。

No.35049 【A-6】

Re:ソフィア議定書に批准しない日本って?

2010-06-23 11:16:33 Commodore (ZWlb750

肥料を制限する→生産性の低下→量の確保の為農地の拡大
かえって環境に悪いと思います。
人口増加に食料生産が追いつかず食料危機が叫ばれている
中であえて生産性を下げることが出来ないと考えました。



回答に対するお礼・補足

Commodoreさん、回答ありがとうございます。

農業に関わるものとして、ソフィア議定書の話からは多少それてしまうかもしれませんが、意見を述べてみたいと思います。

Commodoreさんのご意見を分解すると、

@肥料を制限する⇒生産性が低下する
A生産性が低下する⇒量の確保のために農地を拡大させなければならない
B農地が拡大する⇒環境に悪い(汚染物質の総排出量が多くなる?)

という3つの要素に分けられると思います。

@は両面があると思います。確かに地力の伴っていない田畑に対していきなり肥料を制限すれば生産性は低下します。ただ、石油由来のヴァージン肥料を制限しながらも、堆肥や下水汚泥等の既に地上に流通している窒素源の肥料原料としての流通量を増加させれば(リサイクル技術向上、インフラ拡充が必要)、肥料の制限と同時に農業生産性を確保していくことは可能だと思います。

Aは、真だと思います。今ある食糧資源を適切に配分するという政治努力は引き続き必要で、私たちも関心を持ち続けていかなければならないことだと思いますが、日本に限れば1970年頃と比較して生産性の劇的な向上とともに水田面積を半減させてきた実績からみても、逆に生産性が下げればその分農地が必要ということは(人口が減少しない限り)確かだと思います。

Bは近代農業におけるI/O比(投入産出比)から考えれば、真だと言えます。1960年頃を境に、すでに日本の農業は自然の恵みを超える量のエネルギーを投入し、生産量(アウトプット)をじりじりと上げてきた経緯があるためです。また別の観点からですが、農地の拡大によってPOPs(残留性有機汚染物質)の排出量が増える可能性があるという点からも真だと言えます。ただし、農法や適用技術如何では環境負荷を低く抑えながらの農地拡大は可能と考えます。

以上より、私も大部分はCommodoreさんの意見と同じなのですが、肥料の「制限」の仕方において改善の余地があると思っています。
それから、農地を拡大させた際の環境中への悪影響を及ぼす物質の排出抑制を行う技術の普及とともに、人間でいえば腎臓の機能にあたる、汚染物質の浄化技術および浄化施設の普及が欠かせない、と思いました。

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