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環境Q&A

原子吸光の検査結果の濃度がマイナス表記されます。なぜでしょうか。また、検出されたppmからr/sを求めることは可能ですか。 

登録日: 2012年03月24日 最終回答日:2012年04月07日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染

No.38203 2012-03-24 18:53:18 ZWle259 分析を初めてする。

はじめまして。当社で初めて重金属の検査をすることになりまして、社内にも分かる人間がおらず難儀しております。科学も化学も全く分からない素人です。間抜けな質問かと思いますがご容赦ください。

検査機器は原子吸光でフレーム法で検査をしています。検査方法、前処理等は関係法令、JIS等を見ながら作業しています。

今回、初めて原子吸光を作動させ土壌に含まれる鉛、カドミウムの含有量(r/s)、及び溶出液に溶出した濃度(r/L)を測定しました。

@関係法令、JISに則り前処理を行い、原子吸光にかけた所分析結果のppmがマイナス表記されました。これはどういう事でしょうか。
同じ試料から検液を二つ作成した物両方がマイナスになりました。

A上記の検体とは別の物を検査し、検査結果のppmが0.0198(Cd)と
0.1019(Cd)が検出されました。これを法定基準値と比較するため単位をr/Lに変換するにはどうしたらいいのでしょうか。

1ppm = 1r/L なので 0.0198 = 0.0198r/L でいいのでしょうか。ちなみに法令内の基準値はPb、Cdともに0.3r/Lです。


また別試験にて検査結果のppmからr/sに変換しなければならないのですが、どのように計算すれば良いのでしょうか。


支離滅裂かとは思いますが、ご教授頂ければ幸いです。

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No.38206 【A-1】

Re:原子吸光の検査結果の濃度がマイナス表記されます。なぜでしょうか。また、検出されたppmからr/sを求めることは可能ですか。

2012-03-25 01:28:27 たそがれ (ZWla61d

検量線という用語は知っていますか。
CdとPbについて何点かの濃度を作成していると思いますが、その濃度と吸光度の数値を教えてください。
また、検量線溶液の酸の種類と濃度を教えてください。

マイナス表記などは見当はつきますが、まだまだですよ。

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。濃度がマイナス表示される件については今日改めて分析した結果、初歩的なミスであることが判明しました。お騒がせしました。

Pbの検量線の濃度と吸光度は下記の通りです。酸には塩酸を使いました。
濃度(ppm)吸光度
0    -0.0010E 
1     0.0082 
4  0.0369 
20  0.1741  
試料が
@0.0410 0.0004 
A0.0295 0.0003 でした。

この分析結果から濃度と含有量を算出するにはどうしたらいいのでしょうか。この検液は前処理として塩酸を添加し、煮沸しています。

No.38207 【A-2】

Re:原子吸光の検査結果の濃度がマイナス表記されます。なぜでしょうか。また、検出されたppmからr/sを求めることは可能ですか。

2012-03-25 09:19:35 茨城県 / sumi (ZWl161a

近くに 分かる人間がいないとのこと、悩ましいことが沢山あるとお察しします。

マイナスの結果が出るのは、基本的に、鉛とカドミウム以外の成分で、土壌溶出液と検量溶液の組成に違いがあり、それが分析結果に影響しているからです(=マトリックス効果)。

ppmとmg/Lは同じ値になります。
ppmからr/sへの変換は、途中で溶解希釈等の作業が無く、溶液の比重が1であれば、これまた 同じ値になります。(たぶんそんなことはなく、途中で溶解希釈等が行われていると思いますがね)

いずれにしても、ご質問の内容から見て、質問者さんは、
分析を職業とする上で必要な基礎が欠けていることが明らかです。

困った時に質問コーナーで尋ねる というようなやり方では、確実に間違いを起こします。
基本から体系的かつ本格的に分析を勉強し直さないと、とんでもないことになりますよ。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。勉強になります。今後は基礎を勉強したいと思います。

No.38231 【A-3】

Re:原子吸光の検査結果の濃度がマイナス表記されます。なぜでしょうか。また、検出されたppmからr/sを求めることは可能ですか。

2012-03-28 22:47:40 たそがれ (ZWla61d

濃度と吸光度の関係はおおむね正常です。直線性もまずまずでしょう。
尚、濃度0をうつ前に機器をゼロセットして置いた方が良いです。検量線の0点であまり吸光度がマイナスにならないようにしてください。

しかし・・・やはりというか、Pbにおいてはフレーム原子吸光で測れないほど低濃度を求めています。ベースラインの安定した性能のよい機種でもせいぜい0.1 mg/L以上でないと定量できません。(定量下限と言います、Cdは感覚的に0.02 mg/L程度以上だと思います)
検量線から求めた濃度と吸光度の関係式から未知試料の濃度を求めますのでどんな小さな吸光度でも濃度として表示されてしまうのです。時には機器の揺らぎから、マイナスの濃度も表示されてしまいます。(今回とは原因が違うかもしれませんが)
定量下限に戻りますが、0.03 mg/L程度ではPb由来の信号であろうことはうかがえても小さすぎてばらつきが大きいため、数値として表示できないのです。この場合「0.1 mg/L未満」と表記します。

また、機器の性能を超えて低濃度まで測るには濃縮が必要です。10倍濃縮したものを測って0.1 mg/L未満なら、濃縮前の試料は10うすいわけですから「0.01 mg/L未満」と表記できます。しかし、共存する妨害成分も10倍濃縮されますので飲料水や河川水のようなきれいな水でなければ難しいです。 共存する塩類をカットしながら濃縮する方法もありますが入門者には少ししんどいでしょう。

含有試験については前処理方法、採取量、希釈量を詳しく書いていただければ処理の方法、計算の考え方等、わかる範囲でお答えします。

回答に対するお礼・補足

たそがれ様
ご回答ありがとうございます。非常にわかりやすい説明で大変助かります。お返事が遅れ申し訳ございません。

含有試験については、試料50gを蒸留水500mlで振とうろ過した検液を100mlを量りとり、10mlの塩酸を加え、10分間煮沸しました。放冷後、蒸留水で100mlに希釈したものを原子吸光にて測定しました。

このような説明文でお分かりいただけるでしょうか。宜しくお願い致します。

No.38259 【A-4】

Re:原子吸光の検査結果の濃度がマイナス表記されます。なぜでしょうか。また、検出されたppmからr/sを求めることは可能ですか。

2012-04-07 05:08:10 たそがれ (ZWla61d

もう一度回答しますが返信はいくら遅くなっても構いませんよ。回答に対する確認、検証もあるでしょう。

まず、検量線の話をもう一度
検量線用標準の濃度は0と0.1〜10 mg/Lくらいが良いように思います。
日○製作所の比較的新しい機種だとしたら濃度と吸光度の関係はおおむね良好です。島○製作所の機種だとしたら濃度に対する吸光度はこの2倍程度出るはずです。いずれにしてもいつかは目詰まり等起こしますので定期的なメンテが必要です。
検量線の直線性を確認するには任意の検量線用標準液(1 mg/Lや5 mg/L)をサンプルモードで測ってほぼ正しく出るか見ます。
ただし、1 2 5 10 を間違って0.5 1 2.5 5 とつくっても直線なのでご注意ください。それを防ぐ場合、あるいはここ一番重要な分析の場合は第三者がつくった濃度既知の標準をうつことで検量線の妥当性を確認します。

含有試験について
環境試料における金属の含有試験は普通、固形試料を数グラム採取し、いろいろな酸で煮込むことにより溶液化を行い、試料に含まれる目的成分をほとんどすべて測定します。表示としては固形試料1キログラムに目的成分が何ミリグラム含まれているか(mg/kg)と表現します。

文字数の都合で次に続く

No.38260 【A-5】

Re:原子吸光の検査結果の濃度がマイナス表記されます。なぜでしょうか。また、検出されたppmからr/sを求めることは可能ですか。

2012-04-07 06:35:12 たそがれ (ZWla61d

A-4からの続き
また、いろいろな法令で条件付き含有試験も行われています。
例えば土壌汚染対策法関係の含有試験(H15年環告19号)では試料に1 mol/Lの塩酸を一定量加え浸とうし、出てきた目的成分をmg/kg表示します。この方法では試料に含まれる目的成分の半分程度しか出てこないだろうと言われていますが、分析の迅速化が目的です。
ここまで説明すると想像がつくでしょうが、貴殿の方法は溶出試験を含有扱いしているだけで普通、含有試験とは言いません。(顧客が要求しているならかまいませんが)
mg/kg表示することはできても試料1キログラムに目的成分がどれだけ含まれているか、ではなく目的成分がどれだけ水で溶出されたか、ということになります。悪い例を上げれば金属鉛の粉末を貴殿の方法で分析したら0 mg/kgとなるかも知れないのです。

しかし、含有扱いとして計算の方法だけはご紹介します。
50g-500mL 100mL-100mL(試料50グラムに含まれるPbを500mLに浸出させた。それを100mL分取し、いろいろな酸を加え濃縮や希釈をしたがどこにもこぼさず結果的に100mLとした) このように整理してください。
ここでは応用例として50gを500mLで溶出し100mL分取、酸を加え50mLに濃縮して原子吸光で測ったら1.2mg/Lだったとします。(50g-500mL 100mL-50mL 1.2mg/L)
50mLに濃縮した状態で1.2mg/Lなので100mL中の濃度は1.2mg/L×50/100=0.6mg/L これは500mLから分取しただけなので500mL中の濃度も0.6mg/L  1L中に0.6mg含まれるのだから500mL中の鉛量は0.3mg(ここで濃度から量に換算します)  500mL中のPbは試料50g中に含まれている量だから試料50g中のPbも0.3mg 試料1kg(1000g)中のPbは比例計算から6 mg  表示として6mg/kgとなります。(しんどかったですか)
一連の式として 1.2×50/100×500/1000×1000/50=6
わかりずらかったらこの式をもって理系の人に聞いてみてください。決して化学の問題ではありません。

A-2の方も触れているようにこのようなQ&Aコーナーで対応しきれるものではありません。分析の基礎を勉強してください。




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