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環境Q&A

活性汚泥の有機物除去について 

登録日: 2012年12月10日 最終回答日:2012年12月10日 水・土壌環境 水質汚濁

No.38918 2012-12-10 12:53:50 ZWlea49 匿名

酸素利用速度試験を用いて、活性汚泥の有機物除去過程を調べています。
サンプルは、実下水場の反応槽後のものです。
実験条件は、水温は約30℃で一定、曝気量はDOの最高が6〜7mg/lになるようにし、新たに有機物は加えていません。
これらの条件で実験を行い、OUR-経過時間図を作成すると、全てのグラフで実験開始直後に最高値となり、徐々に減少していき、やがて一定値(内生呼吸)となる減衰曲線となりました。

このような曲線を描くのは何と関係している為なのかを教えて頂きたいです。
よろしくお願い致します。

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No.38920 【A-2】

Re:活性汚泥の有機物除去について

2012-12-10 20:02:04 mashi-nana (ZWlba51

続き→ついでに、処理水とOURの関係を簡単に・・
 RrとBODは共に酸素の消費量を測定しています。微生物量が多い混合液か、少ない処理水か、また、液を撹拌するか、静置するか、測定が分単位か、日(時間)単位か、速度か量かの違いです。ご存知でしょうが、実際にOURを応用して、BODを短時間で測定する手法も実用化されています。
 処理不足の二次処理水では、植種なしでRrを測定しても、微細な活性汚泥フロックが混入しておりますので、混合液と同様のOUR-経過時間図が得られることもあります。
 しかし、通常は二次処理水中の残存有機物はごくわずかですので、Rrは測定が困難です。 余談ですが、一般生下水のBOD測定では、15日から20日あたりで硝化が始ったり、30日経過しても値が安定しない場合が多いです。難分解性BODが含まれていますと、そのあたりから酸素の消費が再度増すこともあります。
 BODとは、過去と現在増殖中の微生物群による酸素消費量の結果です。将来増殖するであろう微生物による酸化分解が含まれないことに留意してください。このため、OURやBODで有機物総量を量ることは難しいです。活性汚泥の有機物除去過程も然りです。BOD-経過時間図を30日以上に亘って正しく測定できればいいのですが、これも十分にご承知と思いますが、BODを長期にわたり測定するには技術的な問題があります。たとえば、フランビンは一度DO測定のために撹拌すると、その後静置しても反応速度が異なってしまうとか、DOが無くならないように、数段に希釈したサンプルを作成しても、希釈試料間ではDO濃度が異なるので、反応速度も異なり、不整合が生じてしまう、など・・・です。
 前述の文献を読むとわかるのですが、海外では一般にBODではなく、重クロム酸によるCOD値を有機物総量としています。併せてご検討ください。

(1)下水試験方法による測定法です。
http://www.geocities.jp/tomtomf/chemical/runge/bihannou/bihan1.htm

http://www.che.kyutech.ac.jp/chem22/reac09.pdf

No.38919 【A-1】

Re:活性汚泥の有機物除去について

2012-12-10 19:30:58 mashi-nana (ZWlba51

実下水場の反応槽後とは?最終回路の活性汚泥(正しくは混合液と言います。)?もしくは二次処理水?不明なので、一般論で回答します。お答えを読んで、詰めたいと思います。学生さんと考えて回答のレベルは下げません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 最終回路の混合液の場合;曝気しながら経時的にRr(1)を測定しますと、酸素利用速度は曝気時間の経過とともに低下します。これは主に活性汚泥に取り込まれた(遅分解性)有機物が徐々に酸化分解されるためです。その後、活性汚泥は内生呼吸期に入り、一時的にRrはほぼ一定になりますが、徐々に、活性を失い始め、Rrは低下を続けゼロに近づいていきます。しかし、高DO域での実験なので、酸素供給量を適切に制御できなければ、活性汚泥はその前に解体してしまうかもしれません。
 亜硝酸、アンモニア性窒素が残存していれば、硝化でも酸素は消費されます。硝化とOUR経時変化は、「活性汚泥モデリングにおける下水特性調査」監訳味埜俊 OEC 図D-9に書かれています。

 BODについてもご質問をなさっておられますよね。私は最近、EICを開いてなかったので、読んでいませんでした。ここで合わせて回答します。
 以前は、微生物の反応式monod(モノー)の実験式でBOD曲線は解釈されておりました。monod式は下のURLで見てください。下水のBOD曲線がmonod式に従えば、片対数で図示すると直線が得られるはずですが、現実にはそのようになりません。それは下水中の酸素消費が単純でないためと考えられています。過去には硝化反応や難分解性有機物の混入により説明されることもありましたが、近年は、下水のBOD成分を分けて算出されています。前述文献「付録B BODの推定」では、易溶解性BODとその分解で生じた微生物の酸素消費 、コロイド状遅分解性BOD、固形性遅分解性BODと生じた微生物の酸素消費、それと最初からサンプル中に含まれていた微生物による酸素消費に分けて算出されています。これと硝化が未成熟な処理水の場合は硝化細菌に関わる酸素消費が加わってきます。
 処理水の場合は易溶解性BODとその分解で生じた微生物の酸素消費は省いても問題は無いと思いますが、BODの測定結果とは単純に考えてもこれらの酸素消費が合わさったものと解釈されます。
…続く

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