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環境Q&A

ヒ素分析について 

登録日: 2013年04月17日 最終回答日:2013年04月24日 健康・化学物質 その他(健康・化学物質)

No.39137 2013-04-17 17:58:11 ZWlec24 匿名

現在、ヒ素分析をしております。

同一の試料をICP/MSとフレームレス原子吸光で測定し比較したとき、ICP/MSでの測定値の方がフレームレス原子吸光よりも高くなりました。
(ICP/MSでは内部標準法、フレームレス原子吸光では標準添加法を用いました)
この原因に関して皆さまにお聞きしたいことがあります。

1.測定機器による影響?
ICP/MS、水素化物発生ー原子吸光光度計、フレームレス原子吸光光度計この3つの方法で測定値に違いはあるのでしょうか。感度に差があるということは理解しております。測定可能な範囲での違いはあるか、ということです。
2.測定試料による影響?
今回測定した試料では、塩分が多いためICP/MSでの測定値が高く出たのではないか、と考えています。

以上の2つを原因として考えているのですが、これは正しいでしょうか?
また他に考えられる原因がありましたら教えていただきたいです。
知識不足であり初歩的な質問でありますが、皆さまよろしくお願い致します。

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No.39138 【A-1】

Re:ヒ素分析について

2013-04-17 23:00:39 たそがれ (ZWla61d

>1.測定機器による影響?
>ICP/MS、水素化物発生ー原子吸光光度計、フレームレス原子吸光光度計この3つの方法で測定値に違いはあるのでしょうか。感度に差があるということは理解しております。測定可能な範囲での違いはあるか、ということです。

標準試料と出力の関係を確定するのが検量線作成ですので、理想的な溶液では違ったらおかしいのです。検量線の引き方が間違っている、ということになります。

>2.測定試料による影響?
>今回測定した試料では、塩分が多いためICP/MSでの測定値が高く出たのではないか、と考えています。

推測が当っている可能性があります。ICP-MSのメーカーと機種を教えてください。

回答に対するお礼・補足

たそがれ 様
早速お返事を頂きありがとうございます。
勉強不足を感じ、お恥ずかしいばかりです。

・1について
つまり、測定機器による影響はないと考えにくく、試料による影響のない一定の濃度のものを測定すれば同じ値が出る。この3つの機器での違いは、どれだけ小さい値を測定できるかどうかである、という解釈でよろしいでしょうか?

・2について
ICP-MSはアジレント製7500を使用しております。機器のメーカー、種類も関係するのでしょうか?

お返事に対して疑問に感じた、以下の2点を質問にくわえさせてください。
・塩分の多いと思われる試料をICP-MSで正確に測定するにはどうしたらよいか。
・塩分以外にもヒ素を測定する際に影響を及ぼす物質はあるか。

よろしくお願い致します。

No.39142 【A-2】

Re:ヒ素分析について

2013-04-21 00:15:17 たそがれ (ZWla61d

ワンポイントで済ます予定でしたが、ベテランの方ではないようなので少し補足します。
まず、機器についてどこまで低濃度まで測れるか(装置検出限界)を感度と表現されていますが、JISではまだ残っているものの国際的には通常、感度と呼びません。検量線のスロープ、いわゆるどこまで小さな濃度変化まで識別できるか、を言います。

検出限界、感度以外に機器の性能を表す指標はいくつかありますが、代表的なものとして精度があります。繰り返し測定でのばらつきの程度のことです。
一般にフレームレス原子吸光は精度が少しよろしくないといわれています。
次に系統誤差ですが真の値からの偏り、のことです。
貴殿の言われているのはこの原因についてだと、解釈することにしますが、重要なことは一回だけの測定では系統誤差は求められない、ということです。、高値を示した、といってもたまたま高い方にばらついたのかもしれません。数回(6〜7)の繰り返しの平均値で評価してください。これで初めて共存物質による影響についてスタートラインにつけるのです。
ICP-MSについては使用している以上、ご存知かもしれませんが、ヒ素とアルゴン塩素、また、カルシウム塩素は質量にほとんど差がないため、すっぽり重なり高値の原因となりえます。A社の7500シリーズはヘリウムで多原子イオンを排除するシステムがあるはずですのでそのモードを採用していれば影響はほとんどないはずです。また、ヘリウムを流さないノンガスモードでは、大変大雑把ですが、塩化物イオン3000mg/L含まれているとヒ素のピークとして0.05 mg/L程度検出してしまいます。
また、とんでもなく塩類が濃い溶液ではコーンの目詰まり等、機器そのものに影響が出ますので、水素化物発生原子吸光を選択せざるを得ないでしょう。

尚、フレームレス原子吸光や水素化物発生原子吸光だって低値や高値の原因となる干渉はいくらでもありますので勉強してください。

回答に対するお礼・補足

たそがれ 様

とても丁寧なご回答を頂きありがとうございます。
今年度から金属分析の担当となり、まだまだ勉強中の身です。

私の考えていた「原因」とは、「真の値からの偏り」まさにこれのことでした。
測定値に関しては、繰り返しの平均値で高い値を示していたので、共存物質の影響ではないか、と推測しました。
また、今後、パーキンエルマー製のELAN DRCで測定することもあります。その際の注意事項(A社で例に出された測定モードなど)を教えていただけると幸いです。
何度もお聞きして大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

No.39148 【A-3】

Re:ヒ素分析について

2013-04-24 23:01:33 たそがれ (ZWla61d

DRCとはダイナミックリアクションセルと呼ばれるもので、リアクションガスを流すことにより、先に説明したヒ素と重なってしまうアルゴン塩素等を排除するシステムです。
ERAN DRCシリーズは発売されてから年月が相当過ぎているため、数回のバージョンアップが行われていると思われます。リアクションガスの変更も行われているかもしれません。貴殿の使用されている機種がどの程度のバージョンなのかもわからないため、私のような一般ユーザーが答えるような内容ではないのです。
以下のサイトを参考にしながら、わからないことは横浜本社に質問してください。
http://www.perkinelmer.co.jp/csfaq/elandrcii_index.html

ベテランのICP-MS担当の方がおられます。(このようなサイトで個人名を出すことはできません)
また、ICP-MSはよほどきれいな試料液でない限り、絶対検量線法は採用できません。ヒ素の場合、質量数の近いイットリウムを選んで内部標準法で測定するのが普通です。

尚、基礎を勉強してからでないとこのようなサイトで質問されても大変非効率です。
日本分析化学会より「ICP発光分析・ICP質量分析の基礎と実際」という書籍が発行されています。
このような書籍で勉強されてからワンポイントで質問された方がよろしいかと思います。

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