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環境Q&A

LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩)の測定方法について 

登録日: 2013年09月25日 最終回答日:2013年09月29日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)

No.39411 2013-09-25 12:56:14 ZWleed ちゅ〜

環境省告示59号にあらたに追加されたLASの測定方法について、
実際に分析されている方のご意見をお伺いしたいと思います。

@付表12の1(13)検量線標準液には、
「LAS標準液(各0.1μg/ml)を5〜500μl及びLAS標準液(各10μg/ml)を10〜100μlの範囲でそれぞれ別の目盛付き共栓試験管に段階的に採り、それぞれ、これらに内標準液50μlを加え、アセトニトリル・水混液を加えて約1mlとしたもの」と記述されています。

これはつまり、各LAS毎に0.0005μg/ml〜1μg/ml(0.5ppb〜1000ppb)の検量線を作成することだと思いますが、この濃度系列の特に0.1μg/ml以上の濃度はLC/MS/MS分析としては濃すぎると思われ、また内標準濃度も0.05μg/mlとなり、この1/10〜1/5程度でよいのではないかと思われるのですが、いかがでしょう?
なお、LC/MS/MSへの注入量は付表12の4のとおり5μLとしています。

A付表12の3(1)試験液の調整には、
(a) 試料を振り混ぜて均一化した後、500mlを採り、固相カラムに加圧又は吸引により毎分流速約20mlで流下させる。
(b) 試料容器を水5mlで洗い、洗液を固相カラムに通水し、約2分間窒素ガスを吹き付け、水分を除去する。
(c) 固相カラムの上端からメタノール5mlを穏やかに通し、各対象物質を溶出させ、目盛付き共栓試験管に受ける。
(d) 溶出液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて、蒸発乾固させる。
(e) 内標準液50μlを加えた後、アセトニトリル・水混液で、約1mlに定容する。

と示されており、試料500mlを最終1mlまで500倍に濃縮することになっています。試料によっては、濃縮せずに十分な感度が得られる場合もあり、逆に500倍も濃縮すると固相からの破過が起こる気がするのですが、公定法という意味では必ず500倍濃縮する必要があるのでしょうか?

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No.39414 【A-1】

Re:LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩)の測定方法について

2013-09-29 17:01:51 計量士ではあるけれども・・・ (ZWlee1

>@付表12の1(13)検量線標準液

告示法は、旧式の機種でも対応できるようダイナミックレンジを広範囲で設定しているのではないでしょうか?高感度の装置をお持ちであれば検量線が曲がるかもしれません。二次式近似を行うのも一つの手法ですが、キャリーオーバーにも注意です。ご使用の機器で直線性が得られる範囲で設定すればよいのではないでしょうか。ただし、LASはその炭素数の側鎖を持つ異性体の混合物で、公示法の資料にもあるようにシングルピークではありません。保持時間幅がありますので、検出器に対する負荷として一概に濃すぎるとも言えません。論より証拠で、ご自分で使用される機器で試すのが先決です。また、機器メーカーがデータを持っていますので、カスタマーサポートから技術資料を求めてもよいでしょう。

LC注入量について、内径2.1mmの15cmカラムであれば5uLは問題ないと思います。それより短いUPLC(UHPLC)カラムを使用する場合は、感度が十分であれば減らしたほうが分離がよいかもしれません。検量線範囲も含め、最適条件をご自分で検討してみてください。

メーカー・機種によってはネガティブモードの感度が悪いものがあり、私の使用している機種はLOQ 0.1ug/Lをかろうじてクリアしています。また内標の量については、公示法の濃度では直線性が悪くなるため濃度を最適化しています。

>A付表12の3(1)試験液の調整には

確かに500倍濃縮は心配になりますよね。破過が心配であれば、サロゲートを使うか、測定試料に一定量のLASを添加した内部精度管理試料を併行させれば、破過の推測ができます。カラム2個を直列装着して、下流側のカラムからLASが検出されるか確認する方法もありますが、大量の破過でない限り判断は難しいかもしれません。

ちなみに、6月に国公省から下水道のLASについて調査依頼がでましたが、流入水は100倍希釈して500mLのSPEを行う旨の通知が出されていました。抽出量を試料ごとに変えてしまうと、そのぶん空試験数も増えますので注意が必要です。また、告示法の中でも「抽出」にかかる部分は変更しないほうがよい(抽出方法のバリデーションを取り直さなければならない)という話を聞いたことがあります。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございました。
詳しく教えていただき、大変に参考になりました。

@公定法は各分析機関によって幅を持たせた記述と考えれば
良いということで、当方の最適な条件を検討してみます。

Aなるほど、試料を100倍希釈したものを500倍濃縮ですか。
コンタミの要因を増やすだけのような気もしますが、
固相抽出を用いるという部分は変更(省略)できないもの
なのでしょうかね。

No.39415 【A-2】

Re:LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩)の測定方法について

2013-09-29 20:23:02 元エース (ZWlee17

上の方が詳しく述べていらっしゃるとおりですが、

@ 使用するLC/MS/MSの性能や最適化条件等にもよるでしょうが、一般的には1000ppbレベルは濃すぎるのではないかと思います。せいぜい100〜500ppbまでではないでしょうか。
内標濃度も検量線の中ほどの濃度になるよう、5〜10ppbが妥当でしょうね。

A 環境省が行ったパブコメに同じような質問があります。
https://www.env.go.jp/council/09water/y094-15/mat03.pdf
(別紙3−1の番号13)

これに対する回答で、
「公定法は様々な分析機関で用いられることを前提にしていることから、(中略)公定法に記載の条件から外れた条件での操作を必要とする場合があり得ますが、そのような場合には、日本工業規格によるほか、分析機関の責任において妥当と判断できる条件で分析いただくものと考えております。 ご指摘の濃縮操作の省略については、環境試料について定量下限値を満たした分析を行うためには、現時点では濃縮が必要と考えており、回収率やクロマトグラムの分離、試料の夾雑物質の影響等を考慮し、分析機関の責任において妥当と判断できる条件で分析してください。」
とありますので、定量下限値(おそらく0.6μg/Lでしょうか?)を満たす条件であれば、(分析機関の責任において)必ずしも濃縮操作は必要としないと判断できます。

Bそもそも公定法(付表12 http://www.env.go.jp/kijun/wt_a12.html
の標準試薬名が間違っています。
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C11−LAS)標準品 
・ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12−LAS)標準品
はC11とC12が逆ですね。
こんなのが公定法なんだから、なんでもかんでも従うことはないでしょう(笑

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございました。
詳しく教えていただき、大変に参考になりました。

@上の方と同じく、各分析機関ごとに最適な条件で分析を
実施すればよいということですね。納得しました。

A回収率やクロマト分離等に問題がなければ、必ずしも
濃縮操作は必要ないのではないかということで、意を強くしました。

B本当ですね、気がつきませんでした。法律が間違って
いるなんて、びっくりです。

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