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環境Q&A

E.coliのガス発生について 

登録日: 2014年08月21日 最終回答日:2014年08月26日 水・土壌環境 水質汚濁

No.39828 2014-08-21 17:10:00 ZWl206 クマムシ

特定気質酵素培地(クロモアガーE.coli)を用いてE.coliの測定をしています。
大腸菌として検出されるコロニーに、他の大腸菌陽性と判断できるコロニーとは色調や形状が違う偽陽性的なコロニーが検出されるため、BGLB培地を用いてガス発生試験を行った結果、明らかにガス発生が認められる検体があると同時に、ガス発生はあるが、ごく少量のガスしか発生しない検体も同時にありました(すべて違うコロニーでの結果)。
少量でもガス発生が認められたらE.coliと認めていいのでしょうか?
コロニーを釣菌して純粋培養後に確定試験や完全試験まで行わないと、あくまでも大腸菌陽性の疑いとしかならないのでしょうか?
研究機関ではないので、純粋培養で菌を増やして個々に確認とまでは手が回りません。
特定気質酵素培地で大腸菌陽性となっていることから、BGLB培地での培養へ進んだのですが。
また、ガス発生の多寡は、塩素消毒後の試料のため、活性が落ちたりとか菌種の違いによるものなのでしょうか?

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No.39829 【A-1】

Re:E.coliのガス発生について

2014-08-22 23:58:48 mashi-nana (ZWlba51

クマムシのニックネームで水処理について素晴らしく適切な回答していられる大先輩がおられるので、回答を書きながらクマムシさんの質問と知り、一瞬、回答を躊躇しまいました。しかし、IDが異なるので、別人(クマムシさん卵?)のご質問と知り安心しました。
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
まずは苦言です。特定酵素基質培地もしくは合成発色醗素基質培地、そのままクロモアガーE.Coliでもいいのですが、特定気質酵素培地では意味が通じませんよ。それに、ガス発生は、E.coliを含めた大腸菌群の同定法です。さらに言いますと、確定試験や完全試験も昭和時代の大腸菌群の試験方法です。
失礼ながら、文面からは大腸菌と大腸菌群との試験法の区別を正しく理解出来ていないように感じてしまいます。再度、試験方法を読んでいただく必要があると思います。それと、酵素培地の試験法はデソ培地やBGLB培地とは全く異なった原理に基づいた今日的な同定手法ですので解説書などによって勉強してください。。
・・・・・・・・・・・・・・・
本題に戻ります。偽陽性との判断を色調・形状で判断されているようですが、具体的にどんな色合いで判断されたのかわからないです。実際には製造元に聞けば陽性か否か教えてくれそうな事柄かもしれません。典型的なE.Coli の緑青色コロニーと色合いが多少異なる、もしくは赤紫が重なるということでしたら、釣菌して画線培養を繰り返して純粋化してみましょう。それでも同様でしたら、E.Coli でなく、大腸菌群とされたほうがよいと思います。
かなり以前の知見で恐縮ですが、私の経験では、クロモアガーECCでは、小さくても濃い緑青色のコロニー、もしくはやや薄い緑のコロニー一はほぼE.Coliと同定できました。赤青的なコロニーは純化することによって大賜菌群と分離することができたと記憶しています。私は、二社の臨床検査用の同定キットを用い、プロファイルにより全コロニーの菌種の同定を行いましたが、一般にはそこまでする必要はないと思います。
気になるコロニーがあるのでしたら、純化してからMMO−MUG培地を用いて再度試験してみてはいかがでしょうか。消毒後のサンプルは特にMMO−MUG培地が適していると考えます。

回答に対するお礼・補足

mashi-nana様、ご教授ありがとうございます。
クマムシと名乗っている方がすでにおられたのですね。
ブログなどをクマムシで開設しているので、こちらでも使用させていただきました。

ご教授いただいたこと、私の説明不足だったようです。
mashi-nana様もご存じだと思いますが、環境省では、公共用水域の環境基準の見直しが検討されております。
それを受け、某省(関係があると言えば厚労と国交くらいですから推察は付くとおもいますが)が、大腸菌群規制から大腸菌規制へ、それと同時に検定方法を定める省令も改正する動きがあり、測定方法の詳細はいえませんが、特定酵素気質培地を用いた平板法とMPNの2法が候補に残っている様です。
測定原理が違う測定で出た結果を単純には比較できないのはよく分かっています。
変な例えですが、金属分析で比色法の結果とISC−MSの結果を同列に比較するようなものですから。
某省系の研究会でE.coli単体測定の報告をしたところ、某政令指定市で水質分析の担当をしている方から、ガス発生の確認をしたか?との質問が出ました。その方は他の特定酵素気質培地(平板法)を用いて調査を進めているそうです。
PCR法も検討しましたが、検体数が多すぎるという問題点が発生しました。
そこでガス発生かグラム染色を用いるか?という点に到達したので、まずは指摘のあったガス発生の確認となりました。

mashi-nana様がご教授してくださったMMO−MUG培地、確かに塩素消毒後の試料については有効ですが、初めに某省で検討されている試験法ありきの調査ですので、その測定法が有効なのか?を検討する必要に迫られております。
そんな状況下で疑問点にぶつかり暗中模索の日々です。
測定原理が違うから単純に比較とはいきませんが、PCR法を用いて結論を出すのが有効なのでしょうか? 

No.39833 【A-2】

Re:E.coliのガス発生について

2014-08-26 21:48:48 mashi-nana (ZWlba51

クマムシの卵様
クマムシの卵から生まれるクマムシ赤ちゃんは可愛いですよ。このURLの一番下の動画を見てください。1時間以上の動画を3分に纏めたのが惜しいです。
http://seibutu7.digi2.jp/hp1-biseibutu-5/macrobiotus.html
私は李白の「山中問答」に近い生活者ですので、「ご存じだと思いますが、」は、残念ながら、?程度の認識です。
もうだいぶ前のことで、当時、まだ大腸菌の特定酵素基質培地は販売されていませんでした。
大腸菌群のそれは数社から販売されていましたので、それらを用いて出現するコロニーの菌種の同定を行ったことがあります。
プロファイルによる菌種の同定は確率的なものですので、たとえば、ある会社の検査キットの結果のプロファイリングがEscherichia.coli50%、 Citrobacter.diversus40%、
Klebsiella.pneumoniae10%の確率であったと判断された場合、大腸菌か大腸菌群かの判断は50%の確率で決まりません。
しかし、同じコロニーが別の会社の検査キットによるプロファイリングの結果、Escherichia.coli45%、 Citrobacter.diversus40%、 Klebsiella.pneumoniae15%であったならば、大腸菌群である確率がより高くなりますので、私の判断は大腸菌群としていました。しかし.実際は50%近い確率で大腸菌である可能性も残ってはいますが、報告する際はこのことを棄却して、大腸菌群とのみ報告します。
・・・・・・続く・・・・

No.39834 【A-3】

続き

2014-08-26 21:54:23 mashi-nana (ZWlba51

・・・・・・・続き・・・・・・・・・・・
細菌試験の同定とは大方こうしたものではないでしょうか。
このことは、極論すれば、各社の大腸菌の特定酵素基質培地の作成時の戦略も同様なのではないでしょうか。各社各様に工夫を凝らして特許を得、培地を発売されておられるので、私の個人的な見解が何処まで当てはなるかはわかりませんが、私は各社の特定酵素基質培地のEscherichia.coliの陽性菌数結果に差異があるとすれば、多くが Escherichia.coliをどの程度の確率で陽性と判断するかの各社のさじ加減できまってくるものだと思っています。
大雑把かもしれませんが、例えば、A社特定酵素基質培地はEscherichia.coliである確率60%で陽性に着色するように作られ、 B社は70%、 C社は85%などなどで着色するように試薬を調合しているといった程度の違いではないでしょうか。
私は「大腸菌群の特定酵素基質培地」を扱っていたたときは若干の違和感はあるものの少なからず、そう感じてしまいました。
それ故、実務的に、どの会社の特定酵素基質培地を採用するかは、培地の特性と、実験の内容を加味して、実験者自身で判断するべきものと思います。特に、消毒後の大腸菌には陽性確率が低い損傷菌が多々見られます。寒天培地は一般に濃度が濃いので、損傷菌は陽性になりにくいです。繰り返しになりますが、MMO-MUG培地はこうした損傷菌への配慮もされてます。ただ、配慮するほど陽性菌数は増えますね。
なお、 ガス発生については検査キットの判断材料としても採用されていますが、もともとガス発生は大腸菌群に共通の特徴なのですから、検査キットの中で、大腸菌の判断にも用いられていることは間違いありません。しかし、重要度がさほど高いとも思えません。
また、私は、グラム染色法を活性汚泥中の細菌同定に用いたことは多々ありますが、大腸菌の判断に用いたことはありません。
従って、大腸菌を判断する上で、グラム染色法の意義をコメントすることはできません。
PCR法は期待できますね。それに「科捜研の女」みたいで格好が良いです。検査服の沢口靖子さんは好きですよ。でも、同じ白服なら、かっぽう着の小保方さんも良いし、海女姿の能年あまちゃんはベストです。

回答に対するお礼・補足

mashi-nana様、詳しい解説をありがとうございます。
確かに私の場合は質問に書きました培地を用いてガス発生の有無で大腸菌かどうかの判断をしようとしまし、8割近く(まだnが少ないので何とも言えませんが)が陽性となり、先に触れた政令市の担当者さんの場合は、たぶん遠藤培地を用いた?測定ではすべて陰性になったと言っておられました。
私が聞き及んだ某省の検討会では、平板かMPN法中の某測定法になる可能性が高いと聞き及びこの調査を開始した次第です。
やはり損傷菌の存在もあるのですね。確かに損傷菌も大腸菌としてカウントしていくと大腸菌数はましますよね。
現在、デソ法とクロモアガーECC、E.coliの培地を用いて比較を行っていますが、ECCで大腸菌群と大腸菌として検出された数の合計が、デソ培地で測定した数を相当数上回るのは確認しており、mashi-nana様が言っておられる意味は理解できます。
一度PCRで確認をしようと担当者と相談したことがあるのですが、塩素消毒後でもクリーンアップの煩雑さ、ましてや除去効率の検討をするために流入下水までとなったら…とのことで諦めたのですが、陰性となったコロニーや偽陽性コロニーなどを釣菌で取り出して検討するものよい方法のようですね。
また、会社ごとの違いというのもデーターを取り検討したいと思います。

色々と貴重なアドバイスをありがとうございました。 

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