環境Q&A

No.792 【A-1】

Re:二酸化炭素の排出係数について

2002-05-29 13:57:50 茨城県 ／ 平井 （

　たしかに、もとの燃料より多くのCO2が出るというのは、直感的に分かりにくいですね。自分もとまどうことがあります。

　もう少し理解しやすい表記の仕方として、燃料に含まれる炭素を基準にした表記方法があり、過去にはこの炭素基準の表記が多く用いられていました。

灯油を例にとると、
　0.685kg-C/L
という表記になります。これは、灯油1L（重量で0.8kgくらい）に含まれる炭素の重量が0.685kgあるという意味です。これなら理解しやすいですよね。

　さて、この炭素基準の表記を二酸化炭素基準の表記になおすには、お書きのように、

> 灯油に含まれている炭素の成分と空気中の酸素の成分が結合して、二酸化炭素が排出される

　という計算をします。

　やってみます。

炭素１つが酸素２つと結合して二酸化炭素になります。

炭素１モルの重さ＝12g
酸素１モルの重さ＝16g
二酸化炭素１モルの重さ＝12+16*2=44g

ですので、炭素12gを燃やすと16g*2=32gの酸素がついて44gの二酸化炭素が出来ることになります。

　この比率を用いて、灯油を燃やしたときの二酸化炭素排出量を計算すると、
　0.685kg-C/12g-C * 44g-CO2 = 2.51kg-CO2
と、CO2基準の係数が求まります。

　二酸化炭素のうち炭素分は27%(=12/44)しかないのですね。重くなるはずです。焼け太りとは、まさにこのことでしょうか。

No.794 【A-2】

Re:二酸化炭素の排出係数について

2002-05-29 18:07:01 東京都 ／ ちしゃ （

公式の排出係数としては　http://www.eic.or.jp/QA/bbs02.php3?serial=21&sch_serial=21#21 に紹介した環境庁温室効果ガス排出量算定方法検討会による「温室効果ガス排出量算定方法に関する検討結果」（平成１２年９月） http://www.env.go.jp/earth/ondanka/santeiho/index.htmlに書かれた排出係数の一覧によるものですが、その数字も灯油 2.51 kg-CO2/L となっています。

灯油 2.51 kg-CO2/L　というのはお書きになっているように、灯油1リットルを燃焼させると、重さにして、2.51キログラムの二酸化炭素が排出されるということです。

この排出係数算定方法は、「温室効果ガス排出量算定方法に関する検討結果」の燃料報告書６９ページ以下に具体的に情報があります。

これによると完全燃焼した場合の発熱量あたりの排出量を実測したり、別途関係者(灯油販売メーカー）から提出された比重や体積あたりの平均発熱量を利用して排出係数を算定したようで、式としては　６８．５ｇＣＯ２／ＭＪ（熱量あたりのＣＯ２排出量）×３６．６ＭＪ／ｌ（体積あたり熱量）＝２．５１ｋｇＣＯ２／ｌ　となっているようです。

なお、２．５１ｋｇＣＯ２／ｌ　というのは炭素換算値ではなく燃焼の結果出た二酸化炭素そのものの重さですから、燃焼の際に反応した酸素の重さも考える必要があります。（計算のルートはちょっと違いますが、燃焼メカニズムの化学的性質を利用した考え方については平井さんの回答を参照下さい）。

また「軽油と灯油、環境に悪いのはどっちか（その3）」の記事　ttp://www.e-mobi21.jp/opn/sidemirror03.html
によると灯油を1リットル燃焼させたときに排ガスとして、CO2=2.5kgのほか、H2O=0.1kg、SO2=0.1g、Nox=微量、CO=微量、ハイドロカーボン=微量　が発生するとの記事もありました。