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環境Q&A

野焼きの必要性 

登録日: 2005年03月13日 最終回答日:2005年03月14日 自然環境 身近な自然の保全

No.9898 2005-03-13 08:42:52 taniguko

私は環境問題について調べています。その中で、近年野焼きなどの手入れが行われなくなり、草原や湿原が失われていることを知りました。草原や湿地がなくなることで多くの貴重な生物が絶滅の危機に瀕しているそうで、維持管理の必要性が強調されています。しかし私にはどうしてもそれが理解できません。だって人間が誕生するまでは野焼きなんて行われていなかったはずです。そのころは、草原や湿原に生息していた生物は遷移が進むたびに絶滅していたのでしょうか?

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No.9902 【A-2】

Re:野焼きの必要性

2005-03-14 10:52:37 無鉄砲

日本で私たちが普通に目にする植生は、森林であれ草地であれ、人間の手が加わった結果として成立しているものです。日本の国土は、主として農林業に携わる方々の手で維持されていると言えます。
http://nilgs.naro.affrc.go.jp/NASU/vegetation/grassl.htm
人間の手が入らなり、かつ、樹木の生育を阻害するような自然条件がなければ、鎮守の森に残っているような極相林へと非常に長い時間をかけて遷移していきます。その過程では、森が荒れて、人間にとって好ましくない状態になることもあります。
人間の手が全く入っていない森林でも、地盤崩壊や自然発火によって、草地が形成されていました。そうした環境に適合した動植物が、人間によって維持されている草地にも進出する一方、自然に形成された草地は、人間によってほかの用途に使われやすいこともあり、結果として、人為的草地にしか残っていない動植物種があるということだと思います。

回答に対するお礼・補足

丁寧でわかりやすい回答、ありがとうございました。お礼遅くなってすみません。今までは漠然としていて全然わからなかったのですが、なんとなくイメージできるようになりました。草地植生ファクトデータベース、すごいですね。あの情報量には驚きました。正直言って私には難しすぎたのですが、新しい世界をのぞけた(?)ってかんじでよかったです。私はまだまだだなぁと思いました。本当にありがとうございました。

No.9905 【A-4】

Re:野焼きの必要性

2005-03-14 11:18:25 東京都 / 君山銀針

NACS-J月刊『自然保護』<14回> 
コンサベーション-草原の場合-
http://www.nacsj.or.jp/old_database/easy/easy-14-9907.html
が参考になると思います。

草地の減少は野ウサギの減少にもつながっているようです。
http://neco.biology.kyushu-u.ac.jp/~yahara/2004/mammal/mdata/usagi.html

回答に対するお礼・補足

ひとくちに「草原」と言っても、いろんな方向から考えることができるんですよね。野ウサギのページを見てそう感じました。これからは「遷移」とか「自然保護」とかにとらわれすぎず、もっと広い視野で見ていこうと思います。参考になりました。ありがとうございました。

No.9913 【A-5】

Re:野焼きの必要性

2005-03-14 22:15:30 大阪府 / ひげ

 
人為的管理の程度と頻度にも問題があるかも知れません、毎年野焼きをしている場所や、一年の内定期的に草刈や選別除草などを行っている場合、その場所に出現する希少生物は極めて不自然な環境に置かれていると思われます。

一方で天然林に置いても長期的には自然災害などの撹乱が起こる事が通常です。極相林でも落雷や強風時の摩擦によって自然発火が起こり森林火災が発生する事が在ります。
このような二次遷移系列によりパッチが出現したり大規模な場合は草原が出現します。
ここに観られる撹乱依存戦略由来草本は本来一年生などの短寿命のものが殆どで、希少なものを含めシードバンクや動物由来などから突然且つ短期間のみ発生します。或いはほぼ絶滅、そして再生を繰り返していたのかも知れません。
ご指摘のように種の希少性=数の少なさと言う単純な観点だけからではなく、本来在るべき自然環境下での種発現重要性にももっと注目する必要があると思います。
私達が直接関与できるのは君山さんが述べられている様にコンサべーションである部分位かも知れません。

回答に対するお礼・補足

詳しいご回答ありがとうございました。本当の環境保全というのはとても複雑で難しいんですね。私達はこの問題をもっと深く掘り下げて考えるべきなんですね。そんな難しいことを勝手にやってた自然はすごい!改めてそう感じました。
ひげさんのおかげでだいぶ理解を深めることができました。ありがとうございました。

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