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IPCC第6次評価報告書(AR6)統合報告書 環境用語

作成日 | 2024.07.03  更新日 | 2024.09.27

IPCC第6次評価報告書(AR6)統合報告書

アイピーシーシダイ6ジヒョウカホウコクショトウゴウホウコクショ   【英】AR6(the Sixth Assessment Report) Synthesis Report: Climate Change 2023  [略]AR6-SYR  

解説

気候変動に関するIPCCの最新の科学的知見をまとめた6回目の報告書。2021年から2022年にかけて、第1作業部会(WG1) 自然科学的根拠、第2作業部会(WG2) 影響・適応・脆弱性、第3作業部会(WG3) 気候変動の緩和の3つの作業部会の報告書が公表され、各作業部会の評価報告書の知見を統合した報告書として「政策決定者向けの統合報告書」が、IPCC第58回総会において承認され、2023年3月に公表された。

統合報告書では、@気候変動による損失・損害がすでに深刻な影響を及ぼしていること、A気候変動に対する人間の影響については、「疑う余地がない」とし、より確信度の高い言葉で断言していること、B各国の温室効果ガス排出量削減目標と実施政策については、パリ協定の目標達成にはギャップがあり、不十分としている。気候変動の現実と影響については、@2011-2020年の地球表面温度は産業革命前と比較し、1.1℃上昇していること、A北極圏の永久凍土層や氷河、氷床の融解は不可逆的変化に近づいていること、などを指摘している。

今後の長期的見通しについては、このままでは、21世紀末に約3.2℃の気温上昇となり、各国の現状の政策では、温室効果ガス排出量削減目標に不十分としている。また2040年頃までの短期的見通しでは、2030年代前半に1.5℃に達する可能性が最も高くなったとしている。さらに、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるためには、より大幅かつ速やかな温室効果ガス(GHG)の排出量削減が必要とし、「1.5度に気温上昇を抑えるためには、2019年比で2035年までに世界全体で60%のCO2削減が必要である」ことを指摘している。また、今後のさらなる気温上昇に伴って、温暖化による取り返しのつかない「損失や損害が増加」し、人々や自然がもはや適応の限界に達するであろうことを改めて指摘している。(2024年6月作成)

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