作成日 | 0000.00.00 更新日 | 2025.07.17
海水温
カイスイオン 【英】Seawater Temperature
解説
海水の温度のことであり、層別に表層から概ね深度10メートルまでの海面水温、概ね700メートルまでの表層水温及び表層より深い部分から海底までの深層の水温に分けられる。衛星や自動観測ブイによるモニタリング結果が気象庁等から公開されているが、データの制約により深層の長期的な温度変化を知ることは難しい。
海面水温は、一般的に低緯度地域で高く、高緯度では低くなっており、ほぼ東西に帯状に等温の水域が分布しているが、エルニーニョ、ラニーニャのような数年規模の顕著な変動が見られることがある。海面水温は、海流など海洋の状態をよく表しており、またその変化は台風の強さ等の気象現象や、沿岸・海洋生態系への影響、魚の分布等漁業・養殖業、またサンゴの白化現象等様々な影響をもたらす。
世界の平均海面水温は、1891年から2024年までの期間で100年あたり0.62℃上昇した。これは少なくとも過去1万1千年間で最も急速なものであり、自然変動の影響もあるものの地球温暖化の影響が考えられ、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)ではこの主要な要因は人間の影響である可能性が極めて高いとしている。日本近海の平均海面水温の変動は、季節や地域によって異なるものの世界平均の2倍を超える100年あたり1.33℃で、日本の気温の上昇率と同程度になっているが、これには黒潮の影響等が考えられる。
温室効果ガスの増加によって地球に加わった熱エネルギーの約90%が海洋に蓄えられており、それが海水温の上昇、海水の熱膨張を通じて海面水位の上昇にも影響している。1901年から2018年に世界平均海面水位は0.20m上昇したが、IPCCはこの 50%が海洋の熱膨張によるとしている。
海水温の上昇は、過去の温室効果ガスの排出の影響で避けられず、21世紀末までには、今後の温室効果ガスの排出削減量によって大きく影響されるものの、過去50年間の年間温度上昇幅の2から8倍に及ぶ可能性が高いと予測されている。これにより、海洋の酸性化や温度成層による貧酸素化、海洋熱波の増加等も生じることが想定される。(2025年6月作成)
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関連Webサイト
- 世界の海面水温(気象庁):https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/climate/knowledge/glb/glb_sst.html
- 海面水温の長期変化傾向(全球平均)(気象庁):https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/shindan/a_1/glb_warm/glb_warm.html
- IPCC第6次評価報告書(AR6)(気象庁):https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html
- 日本の気候変動2025(気象庁):https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/2025/pdf/cc2025_honpen.pdf
- 海洋熱波:https://www.jamstec.go.jp/apl/hotspot2/terms/mhw.html