一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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このゆびとまれ!エコキッズ

ごみは流れて

目的

  • 気づき:ごみが川を流れて拡散していることを知る
  • 知識:日々の生活で出しているごみとその影響について理解する
  • 行動:自分の出したごみと、それが環境に与える影響との関連に配慮した生活行動を送れる

背景

流れ着くゴミ

川岸や海岸には、さまざまな漂着物がうち寄せています。水草の根茎や流木などの自然物に加えて、空き缶やビニール袋など人工のゴミも数多くみられるようになりました。

街中を流れる川では、柵で覆って中に入れないように管理していることも多い反面、川沿いを散歩する人などがジュースの空き缶やコンビニ弁当の使い捨て容器、あるいは散歩に連れてきた犬の糞などを投げ込むようなことも多くなってきています。また、生活雑排水の流れ込むところでは水が泡立っていたり、悪臭を放つこともあります。

さらに、海にまで流れ出たごみは、海流に乗って遠くまで運ばれ、海岸に漂着したり、海洋を漂流するなどして生物にも影響を与えていることが報告されています。海岸から捨てられるごみや、海洋航海中の船舶等から故意に、また事故によって投棄されるものも、広い海の中を漂い、また海岸に流れ着いています。

漂流するごみが生物に与える影響

川や海を漂流する人工物の中で、近年特に注目されているものとして、プラスチック ・レジン ・ペレット(樹脂ペレット)と呼ばれる、細かく粒子状に成形されたプラスチック製品の原料があげられます。約四半世紀前にアメリカ東海岸沖の北大西洋で発見されたのが最初といわれていますが、その後各地の海岸沿いに数多く漂着しているのが確認され、その影響についても研究されるようになってきました。多くの樹脂ペレットは、毒性もなく、化学的にも安定であり、環境や人間に対する直接的な被害はないと考えられていましたが、水鳥や魚類の死体を解剖して、胃袋の中に大量の樹脂ペレットが発見されるなどの調査報告がされ、環境や生物に対する影響が、マスコミでも大きく取り上げられるなど社会的にも注目を浴びています。

プラスチック漂着物の防止対策

樹脂ペレットの生物に対する影響としては、水鳥や魚類が餌と見誤って食して、消化 ・排泄されずに満腹感を引き起こして栄養不良になるとの所見が出されている他、吸着性の高いプラスチックのペレットが水中の汚染物質を吸着し、摂取した生物の体内で悪影響を及ぼすことも懸念されます。

通産省は、平成3年度にプラスチック原材料業界および加工業界等の関係業界に対して特に樹脂ペレットの流出防止に関する勧告を出しています。これを受けて、関係諸団体では、日本プラスチック工業連盟内に設置した「海洋漂着物委員会」が平成5年度に「樹脂ペレット漏出防止マニュアル」を採択するなど、対策に取り組んできています。

この他、本編でも取り上げているように、ウミガメが海に漂うビニール袋を餌のクラゲと見誤って食べて死ぬなど、それだけ大量のプラスチックごみが海洋を漂流していることが示唆され、その影響が懸念されています。

身近な存在としての川の復権

川や海に大量のごみが捨てられている背景には、身近な存在としてあった海や川などの水辺空間が、遠い存在になっていることも指摘されます。河川は、コンクリートで護岸されたり、暗渠化されてどぶ川になるなど人の生活との接点が薄れています。また、こうした河川の管理は海との関わりにも影響を与えます。上流域に築かれる貯水ダムや砂防ダム、また水量調節のための分水事業等は、河川によって運ばれてくる砂量の減少し、砂浜の浸食を招いています。海岸にはテトラポッドが置かれたり護岸工事が施されるなど、人の生活との接点が薄れると同時に、生物の生息 ・繁殖環境としての砂浜や磯部などの海辺が改変されています。

こうした反省もあって、近年、生態系の保全や復元に配慮した水辺空間の改善に取り組む例が増えています。河川では、コンクリート三面張りが剥がされて石や砂利の川底に戻されたり、直線に造り替えられた川道を瀬・淵・洲など多様な形態を持つように作り直して、多様な生物の生息地を回復し、また川の水辺空間を市民の憩いの空間として開放するなど、従来の河川管理に欠けていた視点や川の役割が加味されるようになりました。

市民が取り組むクリーンアップ活動

一方、市民側でも地域の水辺空間の保全や回復のための活動が古くから精力的に行われてきており、そうした地道な活動が情勢を変えるきっかけになったともいえます。海岸沿いや川辺を歩いてごみを拾うクリーンアップ活動が多くの団体によって実施されています。直接的に海岸や川辺の清掃を行うと同時に、率先行動を示すことで地域市民の意識が水辺に向いたり、水辺とのつき合い方を考えたりすること、また現状に関するデータを集めることで具体的な提言を行うための材料とすることも目的としています。

発展

ヒトとウミガメのくらし

昔から親しまれてきたウミガメ

ウミガメは、沿岸地域の人々にとっては、古くから身近な動物として親しまれてきました。浦島太郎伝説など、昔話にも数多く登場してきます。

ヒトとウミガメとの関わりとしては、肉や卵が食用とされたり、捕獲されて剥製に加工されたり、またタイマイという種類のウミガメの甲羅が鼈甲(ベッコウ)として装飾品の材料にされるなど、さまざまに利用されてきました。こうした利用も、沿岸地域の人々が自分たちの生活の中で利用する分だけ捕っていた時代から、現在では物珍しさも手伝って需要が増え、大量に捕獲されるようになったことが、ウミガメの数を世界的に激減させている原因の一つとなっています。

ウミガメが減っている原因

ヒトとの関わりの中で、ウミガメが数を減らしている原因は、捕獲による影響だけではありません。日本ウミガメ協議会では、ウミガメの数が減っている原因について3つに分けて整理しています。

  1. 産卵に与える影響
  2. 卵の発生や子ガメの孵化に与える影響
  3. 海洋のウミガメの生活に与える影響

産卵に与える影響としては、河川の改変に伴う砂の運搬量の減少や、海域の土木工事などによる海流の変化による流出砂量の変化、また河川や海、海岸における直接的な砂の採取などが、砂浜の成立条件を変えて、砂浜自体が浸食されるなど危機に瀕していることがまずはあげられます。さらに、光や音、また道路や離岸堤などの物理的な障害物が上陸や産卵を妨害することなどがあげられています。

一方、卵の発生や子ガメの孵化に与える影響としては、食用や加工品、またペットとしての直接的な捕獲量が著しく増加したことに加え、人間活動による河川や海洋の水質汚濁が砂を汚染して富栄養化を招き、巣穴の酸素不足や細菌感染を引き起こすこと、野犬やタヌキなど他の動物による卵の捕食、また漂着ごみや煌々と輝く照明によって月明かりをめざして帰海する子ガメの行動を妨げること、さらには保護を目的とした移植が与える影響などについても指摘されています。砂浜を走る車が卵を踏みつぶしたり、車両の走行によって生じる轍(ワダチ)が孵化した子ガメの帰海を妨げるなど深刻な影響を与えます。

3つ目に、海洋を生活の場とするウミガメの生活そのものに与える影響として、漁業による乱獲が棲息数に影響を及ぼす規模になっていることに加えて、大量に漂流するプラスチックごみを誤食 ・誤飲したり、重金属や有機塩素化合物などの体内蓄積による生理的な影響なども指摘されています。

これらの要因がウミガメの減少にどのように作用しているか、定量的な詳しい状況は依然研究の途上にあるといえます。いずれにしても、人間活動の拡大によって、影響が深刻していることは間違いないといえます

ビーチ

クリーンアップ

人間はその活動に伴って生じる諸々の不要物を海に垂れ流してきました。海洋汚染の原因の7割は、河川を経由して流入する陸域起源の汚染物ともいわれます。その汚染の現状や実態は、しかし、大気汚染や陸域の水質汚濁とは比較にならないほどわかっていない現状にあります。海洋汚染の防止や対応のため、現在は、国連海洋法条約を始めとする規制の強化や、汚染状況の共同調査など、国際的に政府間や民間レベルで話し合われ、さまざまな取り組みが行われています。

一方、まったくの民間レベルの運動として、地球規模で海岸のごみを分別しながらが拾い集めて、ごみの量や質に関する実態をデータとして集計している「国際ビーチクリーンアップ ・キャンペーン」が1986年から実施されています。毎年特定の日に一斉に実施され、日本でも1990年に全国80ヶ所、800人で参加し、翌年にはクリーンアップ全国事務所(JEAN)が設立されています。

類似の活動は、各地の河川流域などでも実施されており、単なるごみ拾いや清掃活動とは区別して、以下の3点を重視して実施されることが多くなっています。

  1. 社会的なインパクトを高めるために、他のグループと協力して一斉に実施
  2. 調査を行うことで、データを取ってごみを分析して元からの改善を目指す
  3. 市民 ・行政 ・企業といった立場の違いを越えて、「地球市民」の自覚のもとに実施

実施後にデータを集計した報告書がまとめられ、継続実施によって蓄積したデータを基に具体的な対策に関する提言なども行うなど、活発な活動が行われています。

関連情報

日本プラスチック工業連盟
〒100-0013 東京部千代田区霞が関3−2−6 東京倶楽部ビル
TEL: 03−3580−0771
FFAX: 03−3580−0775
特定非営利活動法人(NPO) 日本ウミガメ協議会
日本ウミガメ協議会は、ウミガメに関わるさまざまな人のネットワーク形成を目的に、1989年に設立されました。全国で統一した方法による産卵固体の測定や標識装着による固体識別など調査活動を進める一方、毎年秋には「日本ウミガメ会議」の開催も行なっています。
なお、日本ウミガメ協議会では、ウミガメの目撃や捕獲、産卵後の巣穴や孵化した子ガメ、また死体の発見などウミガメに関するあらゆる情報について、日時や場所、その場の状況、写真などと併せて上記宛先まで情報の提供を呼びかけています。
また、海とウミガメに興味がある法人 ・個人会員、ボランティアも随時募集しています。
〒573-0163 枚方市長尾元町5-17-18-302
TEL: 072-864-0335
FAX: 072-864-0535
http://www4.osk.3web.ne.jp/~umigame/index.html
財団法人 名古屋港水族館
〒455-0033 愛知県名古屋市港区港町1番3号
TEL: 052-654-7080
FAX: 052-654-7001
サンクチュアリ ジャパン 事務局連絡先
〒433-8123 静岡県浜松市幸2-17-9
TEL: 053-475-6535
FAX: 053-475-6548
http://www.tcp-ip.or.jp/~sanc-jp/index.html
屋久島うみがめ館(屋久島・永田・田舎浜)
ウミガメの剥製や生態の説明のコーナーなどがあります。入館料200円。
〒891-4201 鹿児島県熊毛郡上屋久町永田1161-1
TEL/FAX: 09974-2260
「道の駅」紀宝町ウミガメ公園
〒519-5711 三重県南牟婁郡紀宝町井田568番地7
TEL: 0735-32-3686
FAX: 0735-32-3998
入園料 無料、 開園時間 9:00〜16:00、 休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
http://www.nhk-chubu-brains.co.jp/mie/kiho/info_kame.html
PDWatchers
プラスチック・レジン・ペレットの海岸漂着等に関する情報収集、提供をしています。
〒158-8501 世田谷区上用賀1-18-1 国立医薬品食品衛生研究所
TEL: 03-3700-1141
FAX: 03-3700-7592
Center for Marine Conservation(CMC、海洋自然保護センター)
国際ビーチクリーンアップを展開しています。
http://www.cmc-ocean.org/
クリーンアップ全国事務局
国際ビーチクリーンアップの日本事務局としてデータ取りまとめなどをしています。
〒185-0021 国分寺市南町3-23-2 小松ビル3F
TEL: 042-322-0712
FAX: 042-324-8252
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