一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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このゆびとまれ!エコキッズ

いつもの通学路

目的

  • 気づき:道ばたにも草花が咲き、ひっそりと息づく命があることに気づく
  • 知識:自然の中で遊ぶ方法や、自然とのふれあい方を身につける
  • 行動:自然の中で自らの体を動かしながら遊び、積極的 ・主体的に自然とふれあうことができる

背景

知ることよりも感じることを重視する視点

身近な生きものや自然をテーマとして扱うものとして、本ホームページでも「(2−6)学校にいる生きもの」を始め、数多く取り上げています。これらの多くでは、人間活動が身近な生きものに及ぼす影響について、あるいは都市化や人の生活習慣の変化がもたらす環境の改変を、生物の生態や種類、数の変化を指標として捉えるものとして見てきました。

本項では、こうした人と自然や、生きものと自然とのつながりについて意識的に考察する以前に、まずは原体験としての、自然とのふれあいを重視する視点を強調したいと思います。

今日の環境教育の課題のひとつとして、子どもたちが情報過多で、ものごとを「知識」として表面的に知りすぎていることがあげられます。このため、自然にふれあい、その過程で得る本物の体験を重視する動きが盛んになっています。

雄大な自然にふれ、自然の力を学ぶ

ひとつの方法としては、圧倒的存在感を示す雄大な原生的自然に触れ、その中で体ごと自然にまみれる体験を通して、感性豊かな人間性や、生きる力を蓄えていくことです。自然のもつ絶妙なバランスや、人間の力ではコントロールしきれない自然の絶大な力、複雑に入り組んだ生きものの関係から見えてくる意外性など、人間の都合によってつくられた人工的な空間ではなかなか望めないさまざまな体験が期待できます。こうした自然体験活動の受け皿となる施設や指導者、プログラムを充実させようと、古くから自然体験活動を実践してきた多くの団体が一堂に会し、文部省の後押しも受けて「自然体験活動推進協議会」という組織を設立しています。

道ばたの草花に目を向ける視点

自然の中での活動が重視される一方で、ときに通り一遍のものであったり、また一時的な非日常体験に終わってしまうなど、課題も指摘されています。むしろ、日常的な生活の中での自然とのふれあいを重視する必要があるのではないかとの議論もあります。自然との関わりを持つ経験が多いほど、それらの自然に対する具体的な関心が残り、環境に対する意識や態度が育成すると考えられます。

道ばたに咲く草花や虫など、ふだんは通り過ぎるだけの道にも、さまざまな自然が息づいています。しかし、多くの人は気にもかけず、あるいは気づきもしないで生きています。何げない自然の変化を見逃さず、立ち止まる体験を意識的につくったり、仕掛けていくことも、今の状況では必要になってきているといえます。

こうした背景には、今日の複雑化している社会や、その中で常に忙しく生き急ぐようになってしまった人々のライフスタイルの変化などがあげられます。子どもたちも、塾や習い事に追われて、時間的にも精神的にも道草ひとつできる余裕すら失っているといえます。

発展

草花と遊ぶ

五感を生かす

子どもの遊びでは、五感を生かして体全体でふれあうことが楽しみにつながります。道ばたの草花と戯れ、遊ぶ場合にも、単に道を歩いて観察 ・鑑賞するというだけでなく、実際に摘み取って、感触を楽しんだり、匂いを嗅いだり、また味わったりすることが、子どもにとっての楽しみにつながります。楽しみながら自然とふれあい、体験を重ねることで、自然に対する関心や態度が育成されます。

摘んで遊ぶ

野草の花や実、茎などの形や色などをそのまま楽しんだり、つないでネックレスや冠をつくったり、また中空の茎などを利用して笛をつくるなど、さまざまな遊びが工夫されています。自由な発想を引き出したり、ちょっとしたヒントを与えて遊びを発展させるなど、出過ぎない大人の支援もときに有効となります。

道ばたの野草を食べる

有史以来、人は山野の植物を食用にしてきました。日本には、約1万種の植物が自生しており、そのうち300種あまりが食用に利用できるといわれます。春先に日当たりのいい土手や道沿いにはえるツクシの苦みや、草餅につきこまれて独特の香りを楽しむヨモギなど、季節感と共に記憶される味も数多いといえるでしょう。

理屈はともかく、食べるという行為は人間のもっとも基礎的な欲求のひとつであり、子どもにとっても楽しく、喜ばしいことといえます。根絶やしに取り尽くしてしまわないように、また管理地などでトラブルを起こさないようにするなど、少しの注意を払いながら、楽しんでいきたいところです。

草木染め

身近な自然に目を向けるには、何の変哲もないありふれた世界に、思いがけない発見を演出できるとよいでしょう。草木染めは、その辺にあるごく普通の草が、鮮やかな色を染め上げ、しかも元の植物や煮汁の色とは全く違った色が現出します。さまざまな植物が、多彩な色を生み出します。このような意外性に引きつけられながら、自然の多様性について、自らの手を通して実践的に捉えることができることでしょう。

関連情報

社団法人  日本環境教育フォーラム
社団法人日本環境教育フォーラムでは、自然学校のプログラム開発や指導者養成、児童 ・生徒 ・企業人、そして一般社会人向けの環境教育の実務等を過去10年間にわたって実施してきました。この度新しく自然体験プログラム情報検索サイトとしてホームページが一新され、日本全国の膨大な自然体験プログラムやイベントを、「日時」、「場所」、「対象」、「フィールド」、「期間」などの条件で検索することができるようになりました。
〒106-0022 新宿区新宿5-10-15 ツインズ新宿ビル4F
TEL: 03-3350-6770
FAX: 03-3350-7818
http://www.jeef.or.jp/
自然体験活動推進協議会(CONE)
〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町3-1
国立オリンピック記念青少総合センター業務課気付
TEL: 03-5465-0515
FAX: 03-5465-0516
https://cone.jp/
レイチェル・カーソン日本協会
アメリカの作家(兼科学者)のレイチェル・カーソンは、著書「沈黙の春(Silent Spring)」で農薬や化学物質による環境の汚染や破壊に警鐘を鳴らし、大きな論議を巻き起こましした。このレイチェル・カーソンの著作では、「センス・オブ・ワンダー(THE SENSE OF WONDER)」という本もよく知られています。子どもたちと自然の中に出かけ、「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性」を育み、分かち合うことの大切さを、詩情豊かにつづった本で、自然体験活動を進める人たちなどの間では、さながらバイブル的にも扱われています。
なお上記団体の他、本国アメリカの団体である「レイチェルカーソン協会」(http://www.rachelcarson.org/)や、朗読ドキュメンタリー映画として制作された映画の上映を推進する「センス・オブ・ワンダー」上映委員会などもあります。
〒540-0012 大阪市中央区谷町1-3-17-711
TEL/FAX: 06-6920-5595
http://j-rcc.org/
「道ばたの食べられる山野草」村田信義、偕成社、1997年
草木染めに関する書籍 「草木染め 染料植物図鑑」山崎青樹、美術出版社、1985年(なお、続刊が1987年に、続々刊が1996年に刊行されています)
「母と子の 草木染めノート」山崎青樹、美術出版社、1991年
「子どもとつくる17 草木で染める」村上道太郎、大月書店、1987年
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