一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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このゆびとまれ!エコキッズ

飲みものを買うとき

目的

  • 気づき:自動販売機が当たり前のように身の回りにあって、日々使っている日本の現状が、世界的には当たり前な状況ではないことを知り、自動販売機のない生活を想像できる
  • 知識:自動販売機による電力消費と、至る所にあることによる日本全体の電力消費との関連を理解する
  • 行動:身の回りの必要なものと必ずしも必要のないものを区別できる視点を持って、行動に反映できる

背景

コンビニエントなライフスタイルを象徴する自販機

自動販売機は、現代日本の「豊かさ」を象徴しているといえるのではないでしょうか。いつでも、どこでも、手軽に、好みのものを手に入れることのできる便利な社会を、「豊かさ」として追求してきた反面、飲み終わって投げ捨てられる空き缶の散乱や、常時冷えた/温められた状態を保ったり、ネオンを光らせて存在を示すなど膨大なエネルギーが消費されるなどの負の側面も生み出しています。
平成11年末現在で、全国に553万7500台、飲料自販機だけでも265万1800台が設置されているというその膨大な数や、諸外国ではあまり見られない非常に高度な機能など、日本の状況は世界の中では特異なものとなっています。

自販機に由来する環境問題

自動販売機に由来する環境問題としては、空き缶の散乱などごみの問題と、1台当たりで平均的な3〜4人家庭一軒分のエネルギーを消費するというエネルギー問題に大きくは分類することができます。
ごみ問題に関しては、消費量の増加に伴うごみ処理にかかるコスト増や環境負荷の増大、またアルミやスチール製の缶が自然分解しない素材のためにポイ捨てられた空き缶がまちの至る所に散乱するという景観上の、またマナーとしての問題など、主に現実的に発生している問題への対応が求められています。多くの自治体でポイ捨て禁止条例を制定したり、市民の自主的な清掃活動も含めて散乱ごみの清掃回収を行うなど、対策につとめています。
一方、自動販売機が消費する大量の電力に関しては、火力発電によるエネルギー生産が地球温暖化問題の原因物質の主要なパートを占める二酸化炭素を大量に排出することや、資源の枯渇性の問題など将来世代におけるさまざまな問題も予測されています。特に飲料自販機の年間消費電力が自動販売機全体の90%を占めることから、業界では飲料自販機の省電力化を環境対策のひとつの柱として位置づけています。平成3年度に飲料自販機の中でも最も普及台数の多い清涼飲料自販機の1台あたりの消費電力を5年間で20%低減するという計画を立て、これを平成8年に達成しています。この後、カップ式コーヒー自販機や牛乳自販機などを含む全ての飲料自販機の消費電力量を、平成13年度までにさらに15%低減する計画へと移行しています。具体的な方策として、エコ ・ベンダーと呼ばれる省エネ型自動販売機などを普及促進しています。エコ ・ベンダーは、エコロジー(環境)とエコノミー(経済的)とベンダー(自販機)を組み合わせた造語で、午前中に機内の飲料を十分に冷やして、夏場(7〜9月)の電力ピーク時の午後1〜4時に冷却運転をストップしても冷温を維持するシステムを確立し、従来型に較べて消費電力を年間10〜15%節約できるとされます。現在、全国各地に約30万台が設置されています。
これら諸問題の根源には、「持続可能性」というキーワードを考える必要があります。今日のわれわれの社会システムやライフスタイルは持続可能なものといえるでしょうか、また持続可能な発展はあり得るのでしょうか、あるいはどのような発展であれば持続可能性を有するといえるのでしょう。そもそも持続可能な社会像というものは共有されているのでしょうか。

何ができるか?

全国津々浦々まで普及している自動販売機を一気になくすことは困難ですが、数の制限や、使い方の工夫、技術的な対応等によって、自動販売機に由来する環境への影響を軽減するなど、状況の変化を生み出すことはできます。
どのような「豊かさ」を求めるか、またそれによって発生する影響とはどのようなものになるかを想像できることが大切といえます。

発展

自動販売機由来の環境負荷を軽減するために

自動販売機に由来する環境負荷について整理し、それぞれの対策について、@制度面での対策、A使い方の工夫など消費者の価値観の問題として、B技術革新などによる対策、といった3つの面から検討してみます。実際に取り組まれている事例については詳しく調べて、また将来的なアイデアなども検討してみるといでしょう。
例えば、愛知県豊田市では、市が管理する公共施設に設置してあった飲料および菓子類の自動販売機112台のうち、医療施設にある3台をのぞいた109台を、平成11年3月末までに撤去しています。公共施設から自動販売機を撤去することで、市民に環境問題を身近に考えてもらうきっかけとすることを目的としています。
また、同県刈谷市でも、平成12年度から17年度にかけて実施する市の率先行動のための『市環境保全行動計画  エコアクション刈谷』の中で、「環境負荷の削減に向けた資源、エネルギーの利用抑制」の一環として、「自動販売機の削減並びに省エネルギー型への切り替え」を行うこととしています。これは、「利用内容を精査し、更新時に自動販売機台数の見直しを行いエネルギー消費の少ない機器への変更を図る」ことと、「閉庁、閉館日等自動販売機の利用不用な時間帯は極力停止する」ことによって、平成9年度をベースとして、電気 ・ガス使用量の10%削減を目標として掲げるものです。
一方、業界側でも環境保全の対策としてさまざまな技術開発を進めています。1999年に実施された「エコプロダクツ1999」(主催:社団法人産業環境管理協会、日本経済新聞社)では、『地球温暖化防止とオゾン層保護』『資源保護』をテーマに、すでに製品化されているものや近い将来に製品化が予測されるものの促進を目的として日本自動販売機工業会が出展されました。主なものをあげると、ヒーターを使用せずに冷却機の排熱によって予備加温し、販売時に電磁加熱器によって瞬時に加温する省エネタイプの『瞬間加熱自動販売機』や、庫内全体を冷却するのではなく、売り上げに応じて販売待機部分のみを冷却する『局部冷却自動販売機』、太陽電池と蓄電池を組み合わせて、夏の昼間などの電力消費ピーク時に商用電力の代わりに太陽光エネルギーによって作動したり、太陽光エネルギーと商用電力の混合によって省エネルギーを図る『ハイブリッド型ソーラー自動販売機』などが紹介されました。

関連情報

日本自動販売機工業会
〒105-0003  東京都港区西新橋2-37-6  新橋田中ビル
TEL: 03-3431-7443
FAX: 03-3431-1967
http://www.jvma.or.jp/index.htm
特定非営利法人  環境文明21
〒211-0006 川崎市中原区丸子通1-665-201
TEL: 044-411-8455
FAX: 044-411-8977
http://www.neting.or.jp/eco/kanbun/index.html
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