一般財団法人 環境イノベーション情報機構

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EICピックアップ環境を巡る最新の動きや特定のテーマをピックアップし、わかりやすくご紹介します。

No.002

Issued: 2001.05.18

家電リサイクル法(前編)

目次
EICネットでは...Pick Up! 環境ニュース
Pick Up! 環境Q&A
そもそも家電リサイクル法って?
施行前後の状況を伝えるニュース
「このゆびとまれ!エコキッズ」より(本文と直接関係ありません)

「このゆびとまれ!エコキッズ」より
(本文と直接関係ありません)

 5月3日が何の日かご存知ですか? では、5月30日は?
 答えは、「ごみの日」と「ごみゼロの日」。「ご(5)み(3)」、「ゼロ(0)」の語呂合わせでアピールするということらしいのですが、うまく考えたものですね。この機会に、自分の出す「ごみ」や社会にあふれる「ごみ」などふりかえり考えてはいかがでしょう。
 日本でも、4月1日より家電リサイクル法、食品リサイクル法、グリーン購入法などが施行され、リサイクルを推進していく循環型社会への移行を目指しての取り組みが一層進んできたといえるでしょう。
 今回の「Pick Up!」では、これらのうち特に市民の関心を集めている家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)について取り上げてみようと思います。今回は、前編・後編に分けてお送りします。

EICネットでは...Pick Up! 環境ニュース

 「環境ニュース」には、家電リサイクルに関するニュースがいくつか寄せられています。メニューの「環境ニュース」を選択し、画面右上のSEARCH窓に「家電リサイクル」と打ち込んで検索してみてください。標題やニュース本文に「家電リサイクル」という語があるニュースが表示されます(検索語句が赤字で表示される)。
 最新の情報として、経済産業省が5月7日に発表した家電リサイクル法の施行スタートから1か月間の廃家電の引き取り実績について、また同省では消費者の家電リサイクルへの理解促進を目的に家電リサイクルプラントへの見学受け入れを決めているとの報道発表もありました。法律施行の直前には、取り組み状況の調査として、環境省は全国自治体に対して、また経済産業省は全国主要小売業者を対象に実施しており、その結果についてもそれぞれ公表されています。
 また、海外のニュースでは、2001年3月5日にイギリス環境・運輸・地域省が公表した「市町村の廃棄物処理に関する新たなガイドライン」の中に、家電品(electric and electronic equipment)に関するリサイクル率についての記述も見られます。


Pick Up! 環境Q&A

 少しずつ活況を呈してきた「環境Q&A」では、が寄せられています。「不法投棄を見かけたときに、どうすればいいか」という質問に対して、いろいろと考えさせられるコメントがついていました。不法投棄はなぜ起きるのでしょう? それを防ぐにはどうすればいいのでしょう? 皆さんはどうお考えですか?


そもそも家電リサイクル法って?

 ごみがあふれて全国各地で処分場が逼迫しています。また、焼却処理や埋立処分による環境影響も小さくはありません。東京都環境科学研究所では、廃家電リサイクルの動向についての研究成果を公表しています。粗大ゴミとして収集された廃家電を無作為抽出して、廃棄の傾向や処理上の問題点・留意点等を分析したもので、法施行前の状況の実際が思い浮かぶようです。
 こうした状況もあり、循環型社会形成推進基本法やリサイクル関連法の制定または改正が進んでいます。すでに施行されている容器包装リサイクル法や同時に施行された食品リサイクル法、今後施行されることになる自動車リサイクルに関わる法律などと合わせて、焼却等による減量が困難な家電製品についても適切な対策が必要だとされています。
 これらの法律(法案)に共通する基本的な考え方として、『「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成すること』(「循環型社会形成推進基本法の趣旨」より)があげられます。この実現のために、メーカーや小売業者、消費者、公的機関等の各主体がそれぞれの責務を果たしながら取り組んでいくことが大切だとされます。
 家電リサイクル法でも、消費者(排出者)、小売業者、製造業者、さらには国や地方自治体の責任と役割の分担を規定しています。

 なお、「家電リサイクル法」を担当する国の窓口は、環境省と経済産業省が分担しています。

環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
〒100-8045 東京都千代田区霞が関1-2-2 TEL:03-3581-3351(代表)
経済産業省商務情報政策局情報通信機器課
〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 TEL:03-3501-1511(代表)

 環境省は、「使用済み家電製品のリサイクルが始まります」というサイトを用意し、法律の概要や基準、条文の他、趣旨や想定される疑問点への回答集(Q&A)も作成しています。また、経済産業省の担当課では、「家電リサイクル法のホームページ」を作成して、入門解説や法律の概要、条文やその逐次解説などが閲覧できるようになっています。


施行前後の状況を伝えるニュース

 家電リサイクル法が施行されて1ヶ月が経ち、各地で多発する不法投棄の状況や、困惑・憤慨する関係者の声、また廃家電の排出状況等が報告されています。
 朝日新聞では、生活欄にリサイクル特集を定期的に掲載していますが、家電リサイクル法に関する記事も施行前から何度か取り上げられています。法律施行直前には駆け込み需要の急増(3/14)や、駆け込み買替・廃棄による大量の廃家電の排出(3/17)等が報じられているほか、オランダ・ドイツ・韓国・台湾など各国の状況についてレポートした「家電リサイクル 各国”収集”事情」(2/24)なども取り上げられています。5月3日付けの記事では、施行1ヶ月の販売実績や回収廃家電の状況等についてまとめた記事も掲載されました。
 産経新聞の4月30日社会面には、各地の不法投棄防止対策について紹介した「家電リサイクル法施行1ヶ月 民間Gメン監視の目」という記事が掲載されています。郵便配達員やタクシーの運転手に協力を求めるほか監視カメラを設置するなど、全国各地の自治体担当者が不法投棄対策に頭を悩ませている様子が伺えます。
 東京新聞では、5月1日に「足立区不法投棄パトロール同行ルポ」と題した記事を掲載しています。東京都足立区では家電リサイクル法施行を機に独自の監視をはじめたとのことですが、その夜間パトロール隊に同行し、不法投棄の実態について報告しています。

 また、地方紙でも関連のニュースが記事として取り上げられています。北海道新聞では5月1日に「家電リサイクル法施行1ヶ月、不法投棄増加し混乱続く」という記事を、また山梨日日新聞でも5月2日に「集積所、山林へ投棄横行 家電リサイクル法1ヶ月」という記事が、さらに東奥日報の4月30日の記事でも「家電リサイクル、不法投棄が課題」と題して、いずれも多発する不法投棄問題の状況や対策事例等について紹介しています。
 熊本日日新聞の5月2日のニュースでは、「家電リサイクル法施行1ヶ月 運搬料、量販店は安めに設定差額負担」と小売業者が独自に設定できる収集・運搬に関わる料金を販売戦略の一環としている現状について報告しています。
 神戸新聞では、法の対象外で引き取り義務がない家電製品についても積極的に引き取りリサイクルを推進していくことを決めた西宮市の家電店組合の取り組みが4月28日の記事で紹介されています。「家電引き取り 義務外品も対象に 西宮で県内初」。特定家電4品目に限定される引き取り・引き渡し義務等は、裏を返せばそれ以外の機器については義務が生じないということでもあり、こうした問題への対策の一例として注目されるものといえます。

 次回・後編では、各方面から指摘される、また一部現実の問題として表面化してきた家電リサイクル法の課題等について整理し、今後のあり方などにも言及しているサイトについても紹介していきたいと思います。


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