一般財団法人環境イノベーション情報機構

H教授の環境行政時評環境庁(当時)の職員から大学教授へと華麗な転身を果たしたH教授が、環境にかかわる内外のタイムリーなできごとを環境行政マンとして過ごしてきた経験に即して解説します。

No.034

Issued: 2005.11.04

第34講 本時評の2年半を振り返る(その2)付:メディアの傲慢その他

目次
メディアの傲慢
環境間奏曲
環境税と特会見直し
地方環境事務所のスタート
時評2年半を振り返る ─2

H教授いやあ、さわやかな小春日和だなあ。

Aさんセンセイ、とうとうぼけちゃったですね。今は秋ですよ。季節の感覚もなくしちゃったんですか。

H教授♪今はもう秋、誰もいない海♪ ──か。辞書で「小春」「小春日和」というのを調べてみろ。陰暦の11月と書いてあるぞ。院生たってホント、常識ないんだから。

Aさん(膨れて)イヂワル! そんな死語をつかわず、「紅葉の秋だなあ」でいいじゃないですか。(小さく)これじゃあ学生に嫌われるわけだ。
(思い直して)ところで前講から2005年10大事件に入るようなことが目白押しですね。


H教授例えば?

Aさんパキスタン大地震。4万人もの人が死んだという話です。

H教授うん、悲惨だよねえ。カシミールを巡る印パ紛争がちょっと雪解け状態になったことだけが救いだ。ほかには?

Aさんドイツでは大連立政権ができて女性首相が誕生することが決まったし、イラクでは憲法制定の国民投票が行われ、タイミングを計ったようにフセイン裁判が始まりました。

H教授タイミングを計ったんだろう、そりゃあ。新たな国民統合の第1歩になればいいけど、亀裂をさらに深めるだけになってしまうかもしれない。アメリカ以外のほとんどの派兵国はイラクから撤退しようとしているし、米国だって撤退したいんだろうけど、撤退すりゃあ内戦になるのは目に見えてる。大義なき愚かな侵攻のツケが回ってきたんだ。
コイズミさんは...。

Aさんま、その話は置いといて、国内に目を向ければコイズミさんが靖国参拝。郵政民営化法案が可決、自民党の造反議員たちも大半が転向。大阪市では突然市長が辞職し、市長選再出馬というドタバタ劇。
そして、何よりもタイガースがリーグ優勝しました。これだけはセンセイもうれしいでしょう。

H教授なんで? しかも日本シリーズはボロ負けの2連敗。【1】


Aさんえ? センセイ、関西人なのにタイガースを応援してなかったんですか。

H教授興味ない。今シーズンは楽天を応援していた。

Aさんホント、天邪鬼なんだから。

H教授どこも引き取り手がなくなったロートルが頑張る姿って、胸をうつじゃないか。

Aさん(小さく)自分の姿と二重写しにして自己陶酔してるんだ。

H教授だけどもうやめた。あの田尾サンを突然首切りするなんてひどすぎるよ。おまけに後任がノム...。

Aさんはい、ストップ。固有名詞を出しちゃあダメ。じゃ、TBSとの経営統合を言い出した楽天は。

H教授今じゃあ大っ嫌いだ。ホリエモンのほうがあけっぴろげな分だけまだいいかも。

Aさんあのう、いつまで経っても環境問題にいかないんですけど。

H教授わかった、わかった。まあ、さっきキミが挙げたような事件が次々起きるというのも今が大きな過渡期だということかも知れないなあ。あと、この時評がアップロードされる頃には内閣改造があるはずだけど、どうなるのかなあ【2】

メディアの傲慢

H教授ところで先日のNHKのアスベスト特番視たか【3】

Aさんみました。センセイ、2分間だけ出てましたね。

H教授うん、でもその大半はナレーション。ボクの発言はその2分間の最初と最後の方で10秒ほど2回あっただけだった。2時間もインタビューを収録していったんだけど、力説した部分はすべてカットされた。


Aさんどんなインタビューだったんですか。

H教授ボクのやったアスベスト調査が主眼だったけど、アスベスト全般について31講のような話をした。
最初は調査なんかより一般環境中への排出規制をすべきだったんじゃないかって話だったんだけど、平時に調査なしで規制などできるわけがない、一般環境中の測定法からはじめなければならなかった、などとじっくり説明したらわかってくれた。
また調査終了から規制まで時間が経ちすぎたんじゃないかという話もあった。こっちの方はボクがやったわけじゃないけど、県を相手に測定法の研修をする一方、その間、各省や県にも排出抑制の指導を依頼していたんで、欧米と比べても実質的にも決して遅すぎたとはいえないという話をしたら「なるほど」と納得してくれたんだけどねえ。

Aさんふうん。全然そんな話は出なかったですねえ。

H教授うん、要は、ディレクターか誰か知らないけど上の方では、なにがなんでも「省庁の縦割り行政」と「経済優先社会」が規制を遅らせたというストーリーにしたかったんだろうね。
ま、一般的にそのことは否定しないけど、アスベストに関しては欧米の動向を見て、追随するように排出抑制指導や規制をしたから、遅すぎたという批判は当たってない。旧・労働省なんかは法規制の前に業界団体に対する行政指導ではあったけど実態的な規制を先行させたそうだ。青石綿の使用禁止が10年近く遅れたなんていうけど、青石綿が使われなくなったのは欧米とほとんど同時くらいなんだ。

Aさんセンセイのやった調査に関しても冷淡なナレーションだったですねえ。

H教授「環境庁のやった調査では一般環境中の濃度は低いとされた」みたいなナレーションだった(苦笑)。
報告書では、「一般環境中の濃度はアスベスト工場にくらべると低く、アスベスト労働者に比べてリスクは低いが、アスベストは環境蓄積性が高く、発がん物質の閾値はないとされていることから排出抑制の必要が高い」というような結論だったんだけど、「濃度は低いとされた」だけで片付けられて、それが大気汚染防止法の規制へとつながっていたことなんておくびにも出なかった。
インタビューでは「排出抑制の必要が高い」という結論をもっと一般国民に知らせるべきじゃなかったんですかと言われた。だから「ボクらもそう思い、記者発表もしたし報告書の市販もやった、NHKさんはじめメディアはなぜもっと持続的に報じてくれなかったのか、残念だった」と答えたけど、それもカット。

Aさんま、そりゃあカットでしょうね(笑)。
でもそうすると、放映をみて随分腹が立ったんじゃないですか。

H教授まあ、メディアはそんなものだと思ってたから、どうってことはないよ。
ボクらのやった調査をベースに大気汚染防止法で規制に持ち込むことができたんだから、なんと言われようと誇りに思っている。

Aさんそういえば前講のお便りで、

開講当初から楽しく閲覧させていただいてます、都道府県庁で環境行政に携わっている者です。日頃からマスコミの非科学的扇動的報道や、その煽動に乗せられた市民団体の対応に腐心しています。希望するならば、そういうマスコミの非科学的な報道姿勢を実例を持って斬ってもらいたいなあと思います

──というのがありましたけど、ワタシたちがメディアの報道に接するときの注意事項ってなんかありますか。


H教授そうだなあ。「環境会議」という雑誌に書いたことがあるけど【4】、もう一度繰り返そう。
まず第一に、新聞やTVで報道される頻度や大きさが、社会問題としては重要であると捉えねばならないことはもちろんだが、それが当該環境問題の真の重要性を反映しているかどうかはわからないということを意識しておくことだな。
地球温暖化でいえば、第二約束期間のことについてほとんど報道されてないけど、京都議定書のマイナス6%が達成されるかどうかよりもよっぽど重要だ。

Aさんそりゃそうですねえ。どう考えてもマイナス6%は達成できませんもんねえ。

H教授第2に新聞の見出しは、しばしばオーバーだということを知っておいたほうがいい。新聞記事にはあからさまなウソはまずないだろうから、見出しに興味を持てば、まずはじっくりと記事を読むことだね。
それにしてもうちの学生はそもそも新聞を取ってないというのが多いんだから呆れるねえ。


Aさん...(実はAさんも取っていない)。

H教授第3にウソはないものの、先日のNHKもそうだけど、記事や報道にはしばしばあらかじめのシナリオというか図式が描かれていることがあるし、誘導という意図、あるいは記者の思い込みがあることもある。
また、記者のニュースソース、例えば記者発表だよね、そちらのほうに意図があることもある。
したがって、その図式や意図や思い込みにそぐわないデータや事実はカットされがちだ。だから、そうしたものがないかどうか、まずは疑ってかかることが必要だろう。

Aさんそれって新聞による違いも大きいんじゃないですか。

H教授役人にはどういうわけかA新聞を嫌う人が多い。反政府的だって思い込みなんだろうなあ。
でもボクが役人現役の頃、商業新聞のほぼ全紙を部屋で取っていたけど、A新聞ではない1紙が異質なだけであとはほとんど変わらないと思い、逆に危惧したよ。いろんな見方があるのが当然で、もっと個性を出せよ、という感じだったなあ。
つまり、今のアスベスト報道もそうだけど、総じてどの新聞も同じ論調、方向になだれこむ傾向があるんだ。
だから、そうした方向に抗するものの言い分も探して、きちんと耳を傾ける必要もある。今じゃネット全盛だからそういう意見も割と簡単に拾えるよ。

Aさんセンセイ、いつ研究室に行ってもパソコンに向かってるのはそういうことなんですか。アタシャ、てっきりアダルトものかと...。

H教授うるさい!!
一方、こうした流れに抗する論調は逆方向に偏する危険性も高いことに留意しておかなきゃいけない。

Aさん12講でとりあげた「環境危機をあおってはいけない」のロンボルグなんかがそうですね【5】

H教授うん。そして環境情報はどの程度の科学的な確かさがあるかという点を考えなければいけないし、その環境情報がどの程度の背後の広がりを持つものなのか、社会、経済、歴史やわれわれの日々の生活との関わりの程度を考える習慣をつけることだ。
97年当時、某大新聞はCOP3において日本がリーダーシップをとって大胆な温室効果ガス削減を進めよと論陣を張ったんだけど、その隣のページではガソリンの値段が日本は米国に比べ格段に高い、これで生活者大国といえるのかと一大キャンペーンを張っていたんだ。某大新聞はこの2つの命題は本質的に両立するかどうかに一抹の疑問も抱いていなかったようだけど、少なくともこの時評を読んでおられる読者は、この2つの命題は決して独立したものでないことはわかっておられると思う。
...ただ、キミや一般学生だとちょっと不安だなあ。


Aさん偉そうに言ってセンセイだって──。

H教授(遮るように)ボクだって環境問題以外は意外とそうじゃないかと、これでも一応は自戒しているんだ。
要は、まずは環境情報を自分の経験や理性で判断して、決して丸呑みにせず、常に疑いを心の片隅に持っておくこと、そして同時に疑いつつも自分なりの現時点での判断をし、必要に応じて行動するということになる。行動する中で得られる情報により行動自体を修正することもあると思うよ。

Aさんつまりはこの時評も鵜呑みにするなということですね。ま、センセイは始めから独断と偏見だと断っていましたもんね。
そういえば、先のお便りには続きがあって、

Aさんはもっと教授に鋭くツッコんでもらいたいです、でないとキョージュもどんどん惚けちゃいますよ。

──ですって。センセイのためにも、私ももっとがんばらないと!

環境間奏曲

H教授(無視して)あと役所はまず自分の過ちを認めたがらないとよく言われるし、それはその通りなんだけど、マスコミはもっとそうだ ということも知っておいたほうがいい。
それに役人の綱紀の緩みは厳しく批判するけど、大昔の記者クラブなんて真っ昼間から酒、マージャン...。

Aさん(慌てて)いや、まあ、その話はそのあたりで置いておいて、31講【6】に対して「グラスファイバーやロックウールは発がん性はないとあったけど本当か」というお便りがありましたけど。

H教授うん、ボクもそれでちょっと心配になったから専門家の先生に問い合わせたら、「間違いない、IARC(国際がん研究機関)の評価でもそうなっている」という話だった。


Aさんアスベストの話は新法の骨格が固まっただとか、環境省が今後の死者の推計を発表しただとか、まだまだいろいろニュースが飛び込んできますねえ。

H教授うん、だけど今回はパスしよう。ほかにも重要なニュースがあるし。

Aさん容器リ法見直しですか。そういえばスーパーのライフが国と容器リ協会【7】を提訴したなんて話がありましたねえ【8】

H教授うん、容器リ法に関しては自治体vs産業界って構図でみられがちだけど、じつは産業界っていったって一枚岩じゃないんだ。ま、この見直しの話も今度にしよう。

Aさんじゃ今回は何を?

環境税と特会見直し

H教授9講で温暖化対策税、今でいう環境税は必要だけど、エネルギー特別会計だとか道路整備特別会計をガラポンして制度設計すべきだと言った【9】。ここへ来て、その可能性も出てきた。

Aさんああ、例のコイズミさんの特別会計の見直しですね。政府系金融機関の一本化なんかも言い出してますね【10】。でも、できるんですか。

H教授ああ、今や自民党内ではコイズミさんの言うことには誰も反対なし、道路公団改革のときのように言うことを聞く振りして、骨抜きにするなんて芸当もできそうにない。
でも、今回のはどちらも関係省庁にとっては死活問題だから族議員とタイアップしての骨抜きの動きも相当あるんじゃないかなあ。
それに郵政民営化はコイズミさんの執念だったから、それなりにディテールにも詳しいんだろうけど、31特別会計の統廃合だとか、政府系金融機関の一本化なんて話はよほどのブレーン集団がいないと省庁の反対論に太刀打ちできないんじゃないかなあ。
ま、今のコイズミさんだったら理屈抜きでやれと言うかも知れないけどね。

Aさんそんな下手な評論家みたいな話じゃなく、センセイはどう思われるんですか。

H教授え、ボク? 政府系金融機関の“なんちゃらかんちゃら”のことは皆目分からない。特権官僚の天下り先が減るんだったら「ざまあみろ」という感じはしないでもないけど、そんなのはボクの一種の劣情というかルサンチマンだもんなあ。

Aさん環境省には無縁な天下り先ですから気楽に言えるんですよね。それにしても「劣情」だとか「ルサンチマン」だとか、回りくどい言い方はやめて、もっとわかりやすく言いましょうよ。「他人の不幸はわが身の幸せ」だって。

H教授そんな露骨な...。
特別会計のこともよくわからない。そもそも31もあるなんて知らなかった。
もちろん一般会計と違って著しく透明性を欠いていたことだけは事実だから、それはなんとかしなければならない。
それはともかく、道路特別会計とエネルギー特別会計はガラポンし、これらに関連する税と環境税の問題をこの際すっきりさせるべきだね。そしてCO2抑制の道筋をこれにより付けるべきだと思う。
あとは、強いて言うと国有林野特別会計は廃止すべきだと思う。どんなにリストラしようが赤字になるのは決まってるんだもん、森林の公益性を重視し、一般会計で面倒を見るべきだ。財源は公共事業を大幅削減するんだね。国立公園内の国有林はマンパワーともども環境省と一体化して、可能なところでは入園料をとる。放置林化を防ぐ必要のあるところは有償ボランティアとか、以前にキミが言ってた林業体験の場とするというのも一案かもしれない。それ以外のところは放置林化しても、自然林への遷移途上と割り切ってしまう。
もちろん、苦しいながらも民間で林業経営しているところはその経営が成り立つための支援を補助金以外の方法で考える...。


Aさんセンセイ、また脱線です。

H教授そうか、ま、いずれにせよこの2つの問題がどうなるかで、コイズミ内閣の真価が問われることになる。【11】

Aさんさ、いよいよ本時評の「2年半を振り返る」パート2に行きますか。

地方環境事務所のスタート

H教授その前に全国7つの地方環境事務所が10月から発足した【12】。まずはオメデトウ、頑張ってくださいとだけ言っておこう。

Aさん国立公園や野生生物などの自然保護関係以外に温暖化対策や産廃対策にも関与するんでしょう。楽しみだわ。ただ広域にまたがる国立公園なんかは分割されて管理されるんでしょう? 大丈夫かしら。

H教授うん、ボクは一つの国立公園は一つの事務所の管轄下でやるのがいいと思っている。今度の組織再編では、その辺も考えてそれぞれの事務所の管轄範囲が決められているようだけど、発表された資料からは具体的な管轄範囲がわかりづらい。
まあ、多少の混乱はあるだろうが、やってみなきゃわからない。今後に期待しよう。


時評2年半を振り返る ─2

Aさんさて第12講ですが、いよいよ2004年に入りました。「2004年新春 環境漫才」と銘打つだけあって、おせち料理のように幅広い話題をつまみ食いしていますが、メインは温暖化とロンボルグですね。
ロシアはほんとうに批准するだろうかという話から始まり、イラクとのかかわりで批准しない可能性もあるんじゃないかと危惧してました。ま、うれしいことに杞憂に終わりましたけど。
そこから、温暖化は本当に起っているのか、起っているとしてもそれは温室効果ガスのせいなのか、温暖化は悪いことなのかなどという異論反論を取り上げ、それとの関連で温暖化対策不要論をぶち、「世界の環境はどんどんよくなっている、生物多様性は減少していない、未来は科学技術によりどんどん明るくなる」などといった超楽観論をばらまくロンボルグの本に噛み付いています。もっともあまり科学的な反論じゃなかったですけどね。


H教授あとは淀川水系流域委員会の話。委員会は5ダムの原則計画中止をうたった報告書を出したけど、近畿地方整備局の方は飲まないだろうという予測をしておいた。やっぱりぼくの予測どおりになりそうで、近々決着がつくらしいから、その決着もみてみることにしよう。

Aさんエコツアーの懇談会が発足したという話もありましたね。

H教授うん、その結果は18講で触れている【13】

Aさんそれから「ふつう河川」の浄化対策補助金の獲得秘話。でもせっかくセンセイががんばった補助金だったけど、コイズミさんの三位一体改革で廃止になっちゃたんじゃあないですか。

H教授...よけいなひと言が多いな。
そうそう、

「新規補助金獲得秘話」の予算形成のプロセスをなかなか興味深く読ませていただきました。この補助金について具体的に調べてみたいので正式な名称など教えていただけないでしょうか

──というお便りをいただいていたので、調べてみた。
もともとは「生活排水汚濁水路浄化施設整備事業」といっていたんだけど、平成13年度からは、他の小さい補助事業と統合して「良好な水辺空間創出事業」と模様替え。今年度予算は1億3,000万円弱なんだけど、残念ながら今年度限りで廃止になるようだ。

Aさん「惨身遺体改革」のせいですか?

H教授さあ、零細補助金へのプレッシャーが以前からあったし、三位一体改革とは直接関係ないとか言ってたけどね。

Aさんふーん、ほかには?

H教授いろいろ戴いたけど面白かったのは「ちょっと過激でよいです」というご意見と「H教授は公平・客観的なのに好感もてました」というご意見。うーん、好評なのはうれしいけど、どっちなんだろう。

Aさんふふ、どうなんでしょうね。


Aさん13講では、まずは花粉症の話題。センセイ、ご自分が花粉症じゃないものですから、気楽に論評し、戦後林業政策の失敗をあげつらってました。

H教授大事なことは、花粉症は都市環境問題という側面があることだ。

Aさんで、都市環境の大問題ということでヒートアイランド。どの省庁も消極的権限争いを繰り返してきたけど、とうとうそうもいかなくなって対策大綱をつくった。だけど、ヒートアイランド現象は都市化=文明の生理というしかなく、抜本的な解消は不可能だろうというご宣託でした。
ところでヒートアイランド新法の話ってあるんですか?

H教授さあ、まだ話題にものぼってないんじゃないか。でも今年の暑さは尋常なものじゃなかった。緑化対策の補助だとかいった一部で行われていた自治体の独自の対策がほうぼうで行われるんじゃないかな。

Aさんついで都市環境問題、というか“環境省行政時評”じゃない環境行政時評の第3弾として「都市景観と街づくり」。旧建設省の景観形成法の流れと都市再生論をうたい文句にした高さや容積率の規制緩和の流れが矛盾していると批判してました。
この講の読者の反応はいかがでした?

H教授アンケートは29通、うちご意見は5通で比較的少なかった。
「今回は都市景観など、普段とは違った分野も取り上げていて、参考になりました。飛行機排ガスについての続報が気になります」というご意見があった。ごめんなさい、フォローしていません。


Aさん第14講では、やはり“非環境省環境行政時評”の続きとして最初にBSE【14】問題を取り上げています。でもようやく米国牛の輸入再開になるようですね。

H教授まあ、リスクの大小だけの観点からいえば、妥当なんだろうな。でも、問題はリスク論だけじゃないからなあ。日米関係いかにあるべきかという政治、外交が絡んでくる。

Aさんで、そのあと当時世間を騒がせた鳥インフルエンザ問題をとりあげ、食の安全性の問題にちょろっと触れた後、家電リ法で回収した家電製品の北朝鮮への横流し事件を取り上げ、横流しは3つのRという観点からは決して悪くないとひねくれた見解を吐露してくれました。

H教授ひねくれてなんかいないよ。正論だよ。

Aさんセイロン(スリランカ)じゃありません、ここは日本ですから。
で、最後に産廃一廃の処分場で引き受けてもよくなったというニュースを解読。これはダイオキシンの余波だと論じています。
読者の反応はいかがでした。

H教授アンケートは約40通戴き、うちご意見も25通に達した。BSE問題が旬の話題だったかもしれない。


H教授のBSEに関する意見に理性では 賛成しますが、潔癖な日本消費者は 全頭検査が可能であれば、全頭検査を要求するでしょうね。なんといっても日本製造業は「ポカよけ」に代表される 全数検査により、「抜き取り検査」に代表される欧米型品質管理方式を日本式品質管理方式で駆逐したのですから!! 築地の吉野屋は500円で国産牛の牛丼を出しているそうですね、だいたい牛丼を280円程度で食べれる事自体、本来の支払うべき費用を支払ってなかったと認識すべきでしょう

──というご意見。
横流し事件では、

横流し問題は、私も「けしからん!」と単純に思っていました。この記事を見て本当に目からうろこでした

──で、うんうんと思ってたら、

廃家電の横流しについては、リユースという観点からは悪と言い切れないかもしれないが、某国でフロンが適正に処理されるとは考えにくく、オゾン層から見ると悪では?

──という切り替えしがあり脱帽した。
あ、それから、

I'm very happy to read your articls every time. Now I'm taking Social Science class which is about global studies in my college, and then I could see what's going on the earth politically, economically, and environmentally. My major is envrionmental science, so I'm really interested in this HP. I want to thank to you for this HP.

──というご意見もあった。いよいよこの時評も国際的になった。


Aさん英語で届いたからって、外国から出したとは限りませんよ。センセイが読めるかどうかテストしただけかもしれませんし。ところで、意味はわかったんですか。

H教授し、失礼な!
悪口じゃないことぐらいわかったぞ。ハイ、次!


Aさんで、春うららの15講ですね。いよいよ新年度になりました。ワタシも無事卒業し、晴れて院生。研究者のタマゴになりました。

H教授孵化するかどうかわからないけどね。

Aさんそれもそうですねえ。指導教員が指導教員だから...。

H教授こらこら、ボクに責任転嫁するな。

Aさんで、15講では読者のお便りをきっかけにトレードオフの話からLCAの必要性と困難性の話がありました。

H教授読者からは、

相変わらず、お二人とも絶好調ですね。おもしろかったです。どの世界も「あちらを立てれば、こちらが立たず」というお話ばかりですね

──というお便りがあった。

Aさんメインの話題は環境倫理。「地球にやさしく」というのは間違っている、「人間にやさしく」というべきであるとか、人間中心主義と自然中心主義は実践的にはそれほど異ならないとか、クジラを巡る論争は環境倫理の名を借りた「文明の衝突」だとか。

H教授こらこらボクはハンチントンじゃないんだから、そんなことは言ってない。食文化同士の対立だと言ったんだ。


Aさんま、いずれにしても環境行政とはちょっとかけはなれた議論のあと、カルタヘナ議定書の発効を受けて施行された「カルタヘナ法」と遺伝子組み換えの話、それに国会に提出されていた外来生物法案の話だとかいった生物多様性をめぐる動きを概説してくれました。
最後には、それ以外に国会に出されていた環境省関係の法案についても簡単な解説がありました。

H教授これらの法案はすべて成立して動き出した。
外来生物法は、その後、特定外来生物の指定をめぐってのごたごたがあり、そのトバッチリで、ボクはバス擁護派の人からぼろくそに叩かれた。
あと個人的には大気汚染防止法改正が印象に残っている。20ウン年前に手がけた固定発生源からのNMHCが、ついにVOC規制という形でリベンジされたんだから。
今年に入って省令政令も整備され、本格的に動き出したようだ。

Aさん読者からのお便りは?

H教授この講の最後で環境配慮促進法案【15】という名の環境報告書の作成を推進する法案について触れたら、こんなお便りをいただいた。ちょっと考えさせられるね。

環境意識が低いとつくづく感じる我社も流行に遅れまいと昨年環境報告書を作成、社員全員に配布しました。とここまでは良かったのですが、内容は環境意識の低さを露呈するものでがっかりしました。IT化で紙節約とか廃棄物量が従来比どれだけ削減されたかとか、削減量しか書いておらず全体像が不明で説得力に欠けるものだったからです。減らした量の数万倍(勝手な推測)も大量使用、大量廃棄してるくせに、と思いました。正直に書いたら環境報告書どころか環境破壊報告書になってしまうと思いますが。近年環境関連の仕事を希望する学生が多いと聞きます。就職先として公務員、各種団体職員以外はたいてい民間企業だと環境○○室などと雑誌には書いてありますが、我社の場合、そこは出世コースから外れた中高年が最後に集まる部署になっています(むごいですが誰から見てもそう見える)。そもそも環境問題に対する会社の姿勢も見せかけのように思います。環境報告書とか、環境○○室とか聞くと、私の場合は眉唾もんだなといつも思います。世間の注目度は高いですが、実は見せかけ(ニセ物)が多いのではと思います。(大手メーカー)

Aさんうーん。

H教授ただ見せかけだけのものが多いかもしれないが、ホンモノも結構出始めてると思うよ。だから読むほうも灰のなかからダイヤモンドを見つける目を養わなければならない。

Aさん灰とダイヤモンド? なんです、それ? センセイの趣味の鉱物採集の話ですか。


H教授ゴメンゴメン、アンジェイ・ワイダもマチェックもキミの理解の外だったようだな、さあ次いこう。

Aさん(聞こえぬように)この爺さん、ときどき寝言みたいなことをいうんだから...。

Aさん16講はイラクで人質になったNGOをめぐって自己責任論が世間を賑わせてました。そこへセンセイが借り物のエリート論を引っさげて登場、一席ぶったのが導入編でした。
で、そのあと冷房が街を冷やすか暖めるかでワタシのことをこてんぱんにやっつけました。

H教授いやあ、でもそのあとが悲惨だった。
専門家やメーカーの人から何通も便りをもらったんだけど、「熱力学の一歩から勉強しろ」といって冷房が街を冷やす論を真っ向否定する人や、空冷式と水冷式とではどうだとか専門用語を使ったお便りをいただいたりして、頭が混乱しちゃった。いったんは冷房が街を冷やす論で納得してキミを説教したはずなんだけど、よくわからなくなっちゃった。

Aさんふふ、知ったかぶりをしてお説教なんかするからですよ。
次いで前講のBSE論の補足があって、メインディッシュは一時世間を騒がせた「環境ホルモンのいま」でした。


H教授わかりやすいって好評のお便りを何通もいただいた。
環境省もSPEED98から今年3月にExTEND2005【16】に方針転換、SPEED98に挙げた物質リストもなくしちゃった。ただ低用量仮説についてはまったく否定されたというわけでもないらしく、そのあたりのことを23、24講で触れておいた【17】

Aさん17講では新石垣空港とSEA(戦略的環境アセスメント)が最初の話題で、そのあとセンセイもかかわったS湾アセスの裏話でした。

H教授面白かったと楽しんでいただけたようだけど、新石垣空港については、

「いや、まったくない。耳学問と憶測。だからボクの独断、偏見かもしれないってあらかじめ断っておくよ。」という科白が気になります。いい加減な事を書き、科白の中で責任逃れをしているということでしょうか。読者はここに掲載されていれば正しい情報であると信じます。こちらのホームーページは影響力が大きいのですから、確実な情報だけを掲載していただきたいです

──という苦言をいただいた(首をすくめる)。
また、「ネタに窮してきましたか? 時評というわりには、古いネタでしたね」という寸鉄人を刺すようなご意見もあった。


Aさん18講では、12講で触れた懇談会の報告書を受けたエコツーリズム振興のための環境省の施策を概説しています。

H教授ただ、国立公園内の利用調整地区とリンクさせてはどうだという意見は具体化されなかった。

Aさんで、そのあと政府の温暖化対策大綱の見直し状況を話してくれました。

H教授大綱を引き継ぐものとして「京都議定書目標達成計画【18】」が今年の4月に閣議決定された。このように温暖化対策は着々と進んでいると言いたいんだけど、進んでいるのはコトバと紙の上だけって気がしないわけでもない。

Aさんそのあと、メインの話題として、原発と核燃料サイクルについて持論を全面展開してくれました。

H教授読者の反応はさまざまだったし、EICネットの「Q&A」ではこれが契機でさまざまな意見が飛び交った【19】
政府は、先日、10月14日に「原子力政策大綱」を閣議決定し【20】、全国初の使用済み中間貯蔵施設の建設に青森県が同意するなど、再処理路線を進めてきているが、このまま順調にいくかどうかだな。

H教授読者から直接いただいたご意見は、

今回は、環境問題の根本的なエネルギーのはなしだったのでとてもよかった。しかし、脱化石燃料の方針はわかるもののその代わりとなる代替エネルギーについてもう少しふれてほしかった。
これからは、各国独自のエネルギー生産が問われる時代だと思う。日本にある資源で持続可能な生活ができればよいが、何かがわからない。風力太陽光発電バイオマスなどは本当にエコロジーなのかも気になるところ

──というのが代表的なところかな。
面白かったのは、ボクの意見が原発の危険性を謳うだけで無責任だというご批判と、ボクの意見は原発は安全だと強調しすぎだという正反対のご批判の両方があったことだ。これで少しほっとした。

Aさんえ? どうして?

H教授ボクがつくばの研究所にいたときの話だけど、研究者の間では研究者の評価だとか処遇をめぐって大きく3つの意見に分かれていた。
ひとつは論文を中心とした研究業績によって評価し処遇に反映すべきだという意見、2つ目は論文の数のようなもので業績を評価するのでなく、環境問題の解決なり環境行政への貢献を評価すべきだという意見、そして最後は後世になってはじめて研究が評価されることもあるのだから、一所懸命研究しているのだったら年齢に応じた平等な評価と処遇がなされるべきであるという意見だ。
で、ボクが評価や処遇について、全部を足して3で割ったような私案を公表したんだ。そうすると3つの立場、それぞれから痛烈な批判を浴び、ちょっと落ち込んだ。

Aさんへえ、鉄面皮なセンセイが落ち込むなんて相当ですね。


H教授そのときI所長から慰められた。
これでHさんがもっとも公平な立場に立っていることが立証されましたって。

Aさんなんかヘンな慰め方。要はセンセイの意見が批判されたんじゃなくて、すべての研究者から単にセンセイが人間的に嫌われてただけじゃないんですか。

H教授キ、キッミー!(図星を突かれて声が裏返る)

Aさんいけない、言い過ぎちゃった。ジョ、ジョーダンですよ、ねっ、大好きなセンセイ。じゃ、センセイ、もう時間もだいぶ経ったし、あとは来月にしましょうね。サイナラー。(走り去る)

H教授ア、ウ、ウッ、ウー...。


注釈

【1】日本シリーズ
結局4連敗でよいところなく敗れ去った。
結果は、日本野球機構オフィシャルサイト参照。
【2】第3次小泉改造内閣の発足
平成17年10月31日午後4時過ぎ、改造内閣の閣僚名簿が発表された。
【3】NHKのアスベスト特番と、アスベスト問題について
【4】環境会議
2005年春号/3月5日発売「環境情報の正しい読み方 〜市民のための京都議定書講座」
【5】12講でとりあげた「環境危機をあおってはいけない」のロンボルグ
【6】12講でとりあげた「環境危機をあおってはいけない」のロンボルグ
【7】容器リ協会
【8】ライフの容器包装リサイクル委託料返還請求
スーパーチェーンのライフコーポレーションは、10月17日に「小売業に著しく過大な負担を求める容器包装リサイクル法は違憲・無効だ」として国と容器包装リサイクル協会に対し、リサイクル委託料の総額6億円あまりの損害賠償請求を東京地裁に提訴。
【9】エネルギー特別会計だとか道路整備特別会計をガラポンして制度設計すべきだと言った
【10】】特別会計の見直しおよび政府系金融機関の一本化
【11】本講の脱稿後、10月25日に環境省の「環境税の具体案」が公表されている。
【12】
【13】
【14】BSE
【15】環境配慮促進法案について
【16】ExTEND2005(Enhanced Tack on Endocrine Disruption 2005)
化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について(ExTEND 2005)
【17】環境ホルモンと低用量仮説について
【18】京都議定書目標達成計画
【19】EICネットの「Q&A」ではこれが契機でさまざまな意見が飛び交った
【20】原子力政策大綱

(平成17年10月24日執筆、同月末日編集了)
★本講の見解はEICや環境省の公式見解とは一切関係ありません。