一般財団法人環境イノベーション情報機構
国連環境計画、メタン排出のデータ活用や対策に進展があるものの一層の削減努力が必要と報告
【地球環境 その他(地球環境)】 【掲載日】2025.11.10 【情報源】国連/2025.10.22 発表
国連環境計画(UNEP)は、世界的なメタンの排出削減に向けたデータ活用の進捗をまとめた報告書「メタン排出の監視2025年版」を公表した。報告書によると、UNEP国際メタン排出観測所(IMEO)のパートナーシップ(注1)に加盟している石油・天然ガス企業のうち、実測に基づいたメタン排出量を追跡把握できる状況にある企業の同排出量を合計すると、世界全体の石油・天然ガス生産に伴うメタン排出量の約3分の1に相当する。
また、IMEOは、衛星データを活用したメタン警報・対応システム(MARS)を通じ、排出を検知した場合に関係する国や企業に通知を出しているが、この通知への対応が確認されているのは全体の12%と、前年の1%から大きく増加した。ただし、依然として通知の約9割が未対応の状態にある(注2)。
UNEPは、排出量の透明性が向上し、排出削減の取組にも一定の進展がみられるものの、気温上昇を最小限に抑え、「世界メタン誓約」の目標(2030年までにメタン排出30%削減)を達成するには取組を加速する必要があると指摘する。
(注1)「OGMP2.0」(Oil & Gas Methane Partnership 2.0)。石油・天然ガス企業を対象としたメタン排出の報告・削減のための国際的なプログラム。測定に基づく包括的な報告枠組みとしては、同業界における唯一のものとなっている。
(注2)これまでに、33ヶ国、3,500件以上の大規模なメタン排出について通知が出された。なお、UNEPは、測定は十分ではないが排出削減の余地があるとして、石炭や廃棄物などの分野にもMARSの対象範囲を広げている。
【国連環境計画】